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政府が国民に対して約束した「被ばく限度線量」は年間1ミリシーベルトー原発のスタートにあたって1950年代

福島原発過酷事故避難指示の解除にむけての動きについて、神奈川新聞の松島佳子記者が「『時代の正体』ー災後を生きる」に書いている。


3回連載で行われたルポが昨日終わったが、私の心の中は、政府や東電、原発事故への憤りがさらに激しくなり、もどかしく苦しい。


松原記者の記事は、被災者の思いに寄り添った素晴らしい記事だった。改めて政府が、原発被災者に対して冷たい仕打ちをしていることに、言葉を失う。


政府は、帰還困難区域を除く福島県内の「避難指示解除」を急いでいるのだ。


関東圏で、福島県富岡町の住民に対する説明会が3回行われている。最後に行われた、神奈川県内での説明会を、松島記者はルポルタージュされている。


神奈川新聞の記事から、大きな疑問を2点紹介したい。


一つは、政府は、年間被ばく線量20ミリシーベルトを「健康に影響のないレベルで設定している」と繰り返すだけで、何故、原発を日本で稼働する時に国民に約束した、年間被ばく線量1ミリシーベルトの20倍なのかが、まったく解明されないこと。


二つ目は、帰還後に、原発事故現場でまた事故が起きたとき、「政府は町民に対してどのような対応をするのか」安全というなら対策を、という問いに、そのときにどうするのかは「東電も含めて今後、検討しなければならない」等と答弁していること。


こんなことが、この日本であっていいのだろうか。住民の不安は置き去りにされたまま、富岡町は2月17日に「4月に避難解除」とする政府方針を受け入れた。


チェルノブイリ原発事故でも、5ミリシーベルト以上は移住だ。


横浜では、原発避難生徒がいじめにあっていたことが明るみに出た。全国でも同じようにいじめを受けていた子どもの事案が明らかとなり、自ら命を絶った事件もあった。家族全体が、いじめを受けていた事例も聞いている。


こんな中で、住民の納得のいかない帰還だけが決められてしまえば、「何故帰らないのか」「安全なのに」という目が、避難住民に向けられるのは、明らかではないだろうか。


丁寧な取材に裏打ちされた、新聞の文字の力を信じたい。

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横浜市会議員〈港南区〉

三輪 智恵美

みわ ちえみ

三輪智恵美

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