甘利明

衆議院議員〈比例代表 南関東ブロック〉

甘利 明

あまり あきら

  • プロフィールを見る

国会リポート vol.341(2017年9月19日)

2017年09月20日 11:10

北朝鮮の核ミサイル開発が止まりません。最初から分かっていたことですが、金正恩にとって自らの帝国存続のための必須条件として核搭載のICBMを持つということが至上命題だからです。


父の金正日は金王朝が続くための後継人選は息子たちの性格分析から冷徹に行っています。長男の金正男は温厚かつ西側かぶれで民主化・自由化の道を進み、あっという間に金帝国は崩壊をすると読んでいたでしょうし、次男の金正哲では線が細く性格が優しすぎてとても冷血帝国維持のたくましさはない。 三男の金正恩は傲慢と冷酷な性格ゆえに唯一金帝国を託せると分析したはずです。叔父の張成沢が金正男擁立を画策し、中国に働きかけていたことを金正恩が察知し、その芽を全て絶ったという説が有力ですが、中国がなぜそのプランに乗らなかったかと いえば金正男では民主化・自由化が進み、南北朝鮮統一へと繋がり、中国にとってのバッファーゾーンが消滅するという事態への危機感があったのだと思います。


ここまで来たら北朝鮮を核保有国として認知して制御のための交渉をしたらどうだという軽薄なコメンテーターがいます。肝に銘じなければならないのは核保有国になることが北朝鮮のゴールではないのです。 北朝鮮にとってはそこからがスタートです。在韓米軍の撤退を要求し、沖縄米軍にも言及するはずです。 核の恫喝の下に謂れなき賠償を要求し、世界は核拡散の不安に苛まれます。今を止めることが出来ずに核ミサイル保有後の拡散を止めることなど夢のまた夢だと自戒すべきです。テロ支援国家に小型核が拡散する。否、テロ組織そのものに拡散したら世界は核テロの恐怖と隣り合わせになります。


「物理的に資金源を断つ。」 このこと以外、適切な方法は思い当たりません。先般の国連安保理決議を基準点とし、実験を重ねるたびに制裁を強化していく。自分の首を絞めるのも緩めるのも自身の行動次第ということを実感させていく以外に道はありません。外交努力による対話はあくまで圧力という前提があって効果が出てくるという事実に今度こそ真正面から向かい合うべきです。


相手は周到な心理分析の上に陽動作戦を行っています。「そうは言っても」と言わせることをあらゆる視点から仕掛けてきているのです。一致結束して隙を与えない。このことが何より重要です。北朝鮮の一連の行動はむしろこちらが試されているのです。