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国会リポート vol.436(2022年5月11日)

 5月1日から7日まで自民党訪米団団長として米国を訪れて来ました。会談相手は4人の上院議員に2人の下院議員、複数の元職にホワイトハウス高官、国務省・商務省幹部、更にハドソン研究所やCSIS始めいくつものシンクタンク所長等々これ以上詰め込み様のない日程で会談数が30カ所でそれぞれ1時間前後、私の政治史上最も過酷な会談日程をこなして来ました。


 4年前にも訪米団団長を務めましたが今回強く感じたのは米国にとって同盟国としての日本の重みが格段に増しているということです。今回の主要テーマは「経済安全保障とインド太平洋、ウクライナ問題と台湾海峡問題」でしたが米国には経済安全保障を特定した定義はなく、軍事安全保障の延長戦上に存在する統合安全保障と言う概念のようでした。日本では経済を内政干渉の武器に使うと言う意味での「エコノミック・ステートクラフト(経済による国政操縦術)」は米国では中立的な政治戦略の意味が含まれ、我々の意味する経済力を使った内政干渉は「エコノミック・コアーション(経済を使った恫喝)」と呼ばれていました。


 4年前にはそれほど大きな声でなかった「米国もTPPに参加すべきだ」が頻繁に聞かれました。現状ではそういう政治環境にないがという但し書き付きでしたが、東アジアにもっと強くコミットすべきだという文脈の中で頻繁に出て来ました。そのいわば代替案としてバイデン大統領はインド太平洋経済枠組み(IPEF)を提唱しています。この点については「特にASEANにとっては魅力的なものとは言えない、なぜならアメリカ市場へのアクセスにほとんど言及していないから」と私からはっきり申し上げました。多少の温度差は包含して全体を包み込む寛容性がASEANには必要です。「ASEAN全体の後ろにアメリカと日本が控えているという図柄が必要なのです」とも説明をしました。アメリカはとかく一国一国、白黒の判別をつけたがる傾向があります。戦略的曖昧性は対中国ではなく、対ASEANにこそ必要な考え方です。そういう点ではインドも対中国と国境紛争をしている関係でロシアからの武器供与を受けている複雑な背景を考慮に入れることが必要です。衆議院安全保障委員長の大塚拓衆議院議員や有村治子参議院議員から「台湾はロシアのウクライナ侵攻の事態に直面し中国が台湾に侵攻した時にアメリカは本当に腰を上げてくれるのかという不安が広がっていますが」という機微な質問が出ましたが、アメリカは国内法で台湾を支援すると言明している等々の発言がありましたが、それ以上具体的な展開にはなりません。ロシアのウクライナ侵攻を検証しながら施策を巡らせている姿勢が伝わって来ました。私のレポートは関係諸国大使館がチェックしていると思われますので詳細を報告することは控えますが色々なシュミレーションをしていることは確かです。


 話題の中で中国市場への投資に対してどう対処するかということもテーマの一つになりました。米国議員の間にも温度差がありビジネス出身の議員は中国市場は積極的にとっていくべきとの考え方であり、軍出身の議員は技術やデータの窃取を警戒し、より慎重な対応をすべきと考え方の分かれるところでした。私は日本の経済界には市場参加するなら、抜かれてもいいデータや技術だけを持って参加すべきだという話をしていますが、日米欧でルールを決めて中国市場に向き合うべきではという私の提案は一考に値する反応でした。

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衆議院議員〈比例代表 南関東ブロック〉

甘利 明

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