誹謗中傷・なりすまし対策等(2)
2. プロバイダ責任制限法の特例
選挙運動又は当選を得させないための活動に使用する文書図画に係る特定電気通信※による情報の流通によって自己の名誉を侵害されたとする候補者・政党等からの情報削除の申出を受けたプロバイダ等の対応について、特例が設けられます(プロバイダ責任制限法第3条の2)。
※特定電気通信とは、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信(放送を除く)をいいます。
既存のプロバイダ責任制限法に基づく権利侵害情報の削除等に関する枠組み
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」といいます。)第3条第2項では、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者からプロバイダ等(プロバイダ、掲示板の管理者等)に情報の削除等の申出があった場合、以下に該当するときは、プロバイダ等が当該情報の削除等を行っても民事上の賠償責任は負わないこととされています。
1. プロバイダ等が当該情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足る相当の理由があったとき
2. プロバイダ等が情報発信者に対し情報削除等の措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、情報発信者が照会を受けた日から7日を経過しても同意しない旨の申出がなかったとき
プロバイダ責任制限法の特例
発信者に対する削除同意照会期間の短縮
選挙運動期間中に特定電気通信により頒布された選挙運動又は当選を得させないための活動に使用する文書図画に係る情報の流通により自己の名誉を侵害されたとする候補者・政党等からプロバイダ等に情報削除の申出があった場合、プロバイダ等から情報発信者に対する削除同意照会期間が、通常の「7日」から「2日」に短縮されます。
照会を受けた日から2日を経過しても情報発信者から削除に同意しない旨の申出がなければ、プロバイダ等が当該情報を削除しても民事上の賠償責任は負わないこととされています(改正プロバイダ責任制限法第3条の2第1号)。
電子メールアドレス等が表示されていない情報を削除した場合に係る特例
選挙運動期間中に特定電気通信により頒布された選挙運動又は当選を得させないための活動に使用する文書図画に係る情報の流通により自己の名誉を侵害されたとする候補者・政党等から、当該文書図画に表示を義務づけられた電子メールアドレス等の表示がないこと等を示してプロバイダ等に情報削除の申出があった場合であって、当該情報発信者の電子メールアドレス等が通信端末機器の映像面に正しく表示されていないときには、プロバイダ等は、当該情報を直ちに削除しても民事上の賠償責任を負わないこととされています(改正プロバイダ責任制限法第3条の2第2号)。
3. 選挙に関するインターネット等の適正な利用
選挙に関しインターネット等を利用する者は、表現の自由を濫用して選挙の公正を害することがないよう、インターネット等の適正な利用に努めなければならないこととされています(改正公職選挙法第142条の7)。