佐藤知一

県議会議員〈厚木市・愛川町・清川村〉

佐藤 知一

さとう ともかず

  • プロフィールを見る
  • 動画を見る

「地方議会議員年金制度」について

2025年07月02日 12:18

現在、一部の地域では、議員のなり手不足が深刻な課題となっており、その対策として「議員年金制度の復活」を求める声が、数年前から一部で上がっています。
しかしながら、制度の再導入には慎重な議論が必要です。制度設計のあり方はもちろんのこと、財政的な裏付けが不可欠であり、公費を充てる以上、その使い道が県民・市民の理解と納得を得られるものでなければなりません。私は一貫して、「公費はあくまで県民・市民のためにあるべき」との考えを持っています。

ここで、議員年金制度について私自身の経験を踏まえ、所見を述べさせていただきます。
かつて、正式には「地方議会議員年金制度」と呼ばれる仕組みが存在しており、都道府県や市町村の議員が一定の在職期間を満たすと年金を受け取ることができる制度でした。この制度は、議員が納める掛金と、自治体が拠出する公費(税金)によって運営されていました。
しかしながら、議員数の減少に加え、年金受給者の増加によって制度の財政状況は急速に悪化。最終的には「財政的に持続不可能」と国が判断し、2011年6月1日をもって廃止されるに至りました。
制度廃止前の2009年当時、地方自治体からは年間で約300〜350億円もの公費が議員年金制度に投入されていたとされます。廃止以降、新たな加入は停止され、公費負担も段階的に縮小され、結果としてこの10年間で約3,000億円超の税金支出が削減されたと見られています。
私はその制度廃止の議論が進められていた時期に、厚木市議会副議長を務めておりました。また、関東市議会議長会の副会長市を代表し、地方議会議員年金制度の見直しと廃止を求める意見表明や要望活動にも取り組みました。当時の会長市であった前橋市議会にも幾度となく足を運び、制度見直しに向けた協議と調整を行ったことを、今でも鮮明に覚えています。
議員として、自らの既得権にメスを入れる——それは決して簡単なことではありません。しかし、それこそが政治への信頼回復の第一歩であり、持続可能な自治体運営につながるものだと、私は確信しています。
なお、制度が廃止された2011年、私は市議会から県議会へと活動の場を移しました。市議会議員2期目の任期中に、このような大きな制度改革の一端を担うことができたことは、私にとって非常に大きな経験であり、今も政治家としての原点のひとつです。
これからも私は、現場の声とデータに基づいた、実効性のある改革に真摯に取り組み続けてまいります。