若者と選挙 番外編⑥「一票と一杯」
2017年10月25日東海大学文学部広報メディア学科2年 猪股修平
〈投票日は台風が接近。投票率も低下〉
10月22日。台風21号の接近に伴い、関東地方は雨と風が次第に激しくなっていた。
この日私は「1番乗りで投票所に乗り込んでやる」と意気込んでいたのだが、起床したのは午後1時。
あの気概は何だったのかと呆然とし、しばらくの間ぼんやりとしてしまう。
それでも投票に行くと決めていたので、改めて立候補者の公約を見直すことに。
数日前、朝刊に折り込まれていた選挙公報を取り出す。
ざっと眺めたのち、自宅近くの投票所へ。靴に雨水が染みこむ。期日前投票をすれば良かったと少し悔やむ。
投票所の入り口には、1時間ごとの投票率の推移が掲示してあった。
前回の衆院選よりも投票率は低い模様。やはり、天候が投票率を左右したのだろう。
小選挙区・比例ともにあらかじめ投票先を決めていたので、2,3分で投票を終える。
最高裁裁判官の国民審査は初めての経験だったが、これも戸惑うことなく終えた。
〈選挙割を使ってみる〉
さて、ここで私の投票は終わるのだが、まだ続きがある。
「選挙割」はご存じだろうか。
恐らく、昨今の報道で度々取り上げられているので、耳にした人も多いはず。
投票所の受付で申請をすると、投票済証明書がもらえる。
この投票済証明書を持って選挙割を実施している店に行くと、サービスをしてくれるのだ。
私は投票所を後にし、雨が降りしきる中ある店を目指した。
「一風堂」である。
一風堂では衆院選に合わせ、国内全店舗で選挙割を実施している。
投票済証明書を提示すると、替え玉か玉子を無料でサービスしてくれるのだ。
(詳細:一風堂ホームページ⇒http://www.ippudo.com/news/1710_senkyowari/)
私は替え玉のサービスを頼んだ。
選挙割を利用した客の数について店員に尋ねると
「今日は20人くらい、全体の1割もないくらいですね」
とのこと。悪天候で店を訪れる人が少ないのか、投票した人が少ないのか、はたまた選挙割の認知がそもそも少ないのか。はっきりした理由はわからないが、どうやら選挙割を利用する客は少数のようだ。
選挙割を実施しているのは一風堂だけではない。
中には地域の商店会などが、複数の店と連携して実施している例もあるという。
筆者は選挙割を目的に投票したわけではないが、一票を投じた後にこうした特典が付くことは、純粋に嬉しい。せこいかもしれながいが、得した気分になる。
今回の衆院選でも、相変わらず投票率の低さが話題になっている。
選挙割が投票率向上の起爆剤となるか、今後の選挙においても注目していきたい。
もちろん、サービスを目的に投票に行くのは短絡的だが、
選挙割への注目が政治への関心につながる可能性もあるだろう。
「お、選挙割か。じゃあ投票に行くか。ところで、どんな候補がいるんだ?」
このように、投票のきっかけが選挙割だった、ということがこれから相次ぐのかもしれない。