若者と選挙③「選挙制度がある限り」

2017年10月27日東海大学文学部広報メディア学科2年 猪股修平

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衆院選が終わった。
総務省が24日発表した18歳、19歳の投票率の速報値は、
18歳が50.74%、19歳が32.34%で、いずれも全年代の平均投票率53.68%を下回った。
昨年の参院選に引き続き、新たに参政権を得た18、19歳の投票率の低さが浮き彫りになった。

しかし、低い投票率が必ずしも若者の政治への関心の低さには直結しない。

選挙期間中、筆者は複数の学生に取材をした。
「大して政治の事なんか知らないし...」
と遠慮がちに口を開く人がほとんどだったが、それぞれが選挙や政治に対する自らの考えを話してくれた。取材して見えてきたことも多い。

今回は、選挙期間中に取材した学生の声をお届けする。

〈東海大・澤村さん「意思表明、他人の目を気にする」〉


「小さい頃から、選挙は絶対に行くものだと思っていた」

東海大学文学部広報メディア学科2年の澤村成美さんは、しっかりとした口調で言う。
今回の衆院選では消費税と憲法、2つの争点に注目していた。

「消費税は自分の買い物にも直結するもの。身近な話題だからこそ注目している。憲法は特に9条改正が気になっている。議論の熟さないまま改正に持っていくのは不安」
澤村さんは自らの考えをスラスラと述べてくれた。

一方で、現行の投票方法には注文したいことがあるようだ。
「前回の参院選では期日前投票を利用したけれど、期日前投票がいつから始まっているかわからなかった。自分から調べないと分からないのは少し不便」
その上で
「若者のライフスタイルも考えてほしいと思う。投票日は日曜だから、予定の入っている人も多いし、活動範囲も限られる。どこでも投票できる制度になれば、若者の投票率も上がるのではないか」

澤村さんは次々と意見を述べてくれたが、気にしていることもあるようだ。

「選挙の話をすると『意識が高い』とか『うざい』と冷やかされるのではないかと、気が引けてしまうことがある。意思を表明するのに他人の目を気にしている」
と吐露してくれた。

政治に関する話をすることに抵抗を感じると言う澤村さんの言葉は、澤村さんの取材の中で一番印象に残るものだった。

〈早大・平出さん「身を削って政治に臨む人がいい」〉


「期日前投票しようと思ったんですけど、雨降ってたんで行かなかったんですよ」

早稲田大学商学部1年の平出さんに取材をしたのは投票日の前々日。
台風21号の接近に伴い、日中から雨が降っていた。

平出さんはこの取材に際し、インターネットで各政党の公約を見比べたという。
比較していくうちに、あることに気が付いた。
「政党ごとに公約が読みやすいところと読みにくいところありました。個人的には立憲民主と希望の2つは見やすかったですね。中にはゴタゴタしてて読みづらい政党もありましたけど」
どうやら政党ごとにHPのデザインが異なるため、その部分で伝わりやすさに差が出ていたようである。

HPの話から、今度は選挙の広報のしかたについて話題が転じた。
「日常生活の中で目につくと良いですよね」
と平出さんは語る。

「通学で電車を利用するので、電車の中に選挙ポスターがあれば目につきやすいと思います。もちろん、煩わしくならない程度にあれば、ですけど。逆にテレビだと見ない人も多いので、有効ではないと思います」

情報の取り上げ方にも平出さんは言及した。
「ニュースで取り上げていることは硬くて、呑み込めるときと呑み込めないときがあります。みんなが政治に詳しいわけではないので、生活の中に問題意識を持てるような話題があると良いです」

また、自身が候補者に望むことについては
「東京に住んでいるので、都民としては舛添元都知事の金の使い方の問題が印象深いんですよ。よくお金が足りないって言っている割に、身を削る政治家は少ないですよね。身を削って政治に臨む人がいいです。」
と強く求めているようだった。

平出さんはほかにも「有言実行」「素早い対応」「迅速な対策設定」を政治家に求めていると話した。

一方で、自身の選挙区の立候補者についてはあまり知らなかった様子。
「調べないと誰も教えてくれないので、知ろうとする気持ちを持ちたいです」
と言う。
街頭で候補者が演説しているのを見かけないかを尋ねると
「見ますけど、急いでいることが多いので立ち止まって演説を聞くことはないです」
とのこと。候補者の声が有権者に届いているとは限らないようだ。

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▲取材に応じてくれた平出さん。取材後も結局期日前投票には行けず、投票日の22日に1票を投じた。

〈東北学院大学・Iさん「プロレスを見ているようだ」〉


福島県出身で東北学院大学法学部法律学科4年のI・Kさん(本人の希望によりイニシャルのみ)は、投票しなかった。
「実家に帰るのが面倒くさくて」
と控え気味に話した。

住民票を移していなくとも居住地で投票することができる不在者投票制度もあるが、
「なんとなく手続きが面倒くさいイメージがあるので」
と、不在者投票を敬遠していることを打ち明けた。

「そもそも候補者の語っていることが自分の生活に直結しているわけではないので、関心を持つことは難しい。選挙戦は自分と離れすぎてて、プロレスを見ているようだ」

Iさんは、実感のわかない今回の衆院選に対して感慨はない様子だった。

〈選挙観、一人一人に〉


選挙期間中、東京、神奈川、宮城の3県で取材をした。その中で共通点が1つある。

誰しもが選挙と自分の距離感を認識していることだ。
一人一人が確かに、自身の「選挙観」を持っていた。

政治は、その言葉が持つ「難しい」とのイメージから避けている人も多い。
それでも選挙が目の前にあると、意識せざるを得ない。

私たちが等しく持つ1票は、その意識を伝えるたった1つの手段ではないだろうか。

もちろん、投票をしないことも1つの選択肢だ。
だが、投票をしないことは黙り込むことと同じである。
伝えることも、願うことも、求めることもできない。

衆院選は終わったが、「若者と選挙」シリーズは終わらない。
私たちが1票を持つことができる社会が続く限り。


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