小泉進次郎さん×政治の村Students 第二弾 環境問題について
2022年03月23日
衆議院議員の小泉進次郎さん(以下、進次郎さん)と「小泉さん自身について」「環境」「若者の政治参加」の3テーマについてお話しした様子を、3つのテーマに沿ってお届けしています!今回の記事は「環境」についてです。
他テーマの「小泉さん自身について」はこちらからご覧ください。
https://seijinomura.townnews.co.jp/students/2022/03/special220318.html
小泉進次郎さんは2019年9月から2021年10月までの2年間環境大臣を務められており、環境分野に関して多くの経験がおありです。普段環境問題に対して関心のあるわたしたちが、環境問題に関して気になることを聞いてみました。
――進次郎さんは環境大臣だった2019年の秋に、スペインで開催されたCOP25に参加されています。大臣経験を通して感じた、環境問題に対しての世界と日本の差について伺いました。
進次郎さん:「世界と日本では、環境問題に対する意識がかなり違います。これは、日本人が基本的に日本語でしか情報を得られていないということも影響してますね。
日本語から得られる環境に関する情報が乏しいんですよね。そのため、世界の脱炭素への急速な動きを共有できている人が圧倒的に少なく、心細く感じるときがあります。
ただ、遅れを取りながらも世界の流れに追いついてきていますよ。日本も脱炭素に向けて大きくかじを切りました。心配なのは、まだ「日本は環境先進国である」と思っている人が少なくないということですね。世界はコロナ対策でいっぱいいっぱいになっているわけではなく、この2年間にもさまざまな社会変革と共に前に進んでいます。環境問題に限らず、コロナ禍があけたらいつの間にか世界から大きく取り残されていたということになりかねません。」
――環境問題に対しては批判や反対意見のなかで政治を進めなければなりません。そこでのモチベーションの保ち方や、これらの意見をどう乗り越えたか、聞いてみました。
進次郎さん:「気候変動が深刻になる世界を生きなければならない次世代のために、いまやらなければいけないという使命感もありますが、強いモチベーションを感じるのは、脱炭素という世界で広がり続けるマーケットの可能性ですね。
日本は今後人口減少が加速していきますが、そうなっても、豊かさは失わないようにしなければいけない。だからこそ、国内外で需要が拡大し続ける脱炭素の市場を獲りにいくことが重要なんです。今から、世界中ほとんどの国がカーボンニュートラルに向かうわけですから。ここで日本が率先して前に出ていくことが、日本が今後も豊かさを保つためには必要です。
例えば自動車に関して言うと、日本は99%がガソリン車、そして残りの1%が電動車となっています。しかし、ノルウェーが今後(2025年)ガソリンとディーゼル車の販売を止めるように、ガソリン車のマーケットは小さくなる一方で、電動車の需要はさらに高まっているんです。
このように広がる市場に目を向ければ、脱炭素の方向に大きく舵を切らなければならないでしょう。ここに大きなモチベーションを感じています。」
――世界が脱石炭に向かう中、日本は今、ここ横須賀で新しく石炭火力発電所が建設されています。一方、今年に入り、EUは原子力発電を脱炭素電源として認めるとの報道がありました。そうした状況の中、日本のエネルギー方針としてはどのようにお考えなのか伺いました。
進次郎さん:「まず、エネルギー計画を作った立場からすると、すべてのエネルギーに対して0か100かの議論はしていません。再生可能エネルギーにも原発にもそれぞれの課題があります。国民のみなさんが、自然と再生可能エネルギーを求められるような社会にしていくことが大切だと思います。
また、石炭火力については、再生可能エネルギーの推進によって石炭火力の割合を縮小していくことが重要です。実は東南アジアでも、石炭よりも再エネのほうがコストが安くなってきている国もあります。しかし日本では、まだ再エネのほうがコストが高い。だから環境大臣だった頃のエネルギー基本計画に「再エネ最優先の原則」を入れました。あの時できる最善の、最大の政策の前進だったと思います。この機会に、みなさんにもぜひ、家の電気を再エネ由来のものにしてほしいですね。
ちなみに原発に関してですが、日本ではあたかも「EUが原子力発電を推進すると決めた」というような報道なんですが、違います。英語でこのニュースを見ると、ものすごく高い条件をつけた上で、天然ガスと原発を投資対象として認めた、という内容であることに気が付きます。しかも、到底日本では達成し得ないような条件をつけた上で、です。正しく読めれば、「原発も認められたんだ」ではなく、「こんなに高い条件がついているんだ」という感想を持つはずです。これも、今の報道のあり方の大きな課題だと思います。」
――気候変動問題や環境問題をもっと国会や世間で取り上げていくためにはどうしたらいいのでしょうか。
進次郎さん:「COP25で、世界に向けてスピーチするときに、あえて「石炭の議論が進められなかった」という内容を盛り込みました。こうすれば日本国内から批判が来るでしょう。しかしそれが狙いでした。そうすれば、国会や世間でも取り上げられるわけですから。
私は可もなく不可もなく環境大臣をするのではなく、批判が来たとしても政策を前に進めたいと思っていました。今は少数派で理解されないかもしれない。でも、必ず変わるときがきます。今に見てろよ!という感じですかね(笑)」
<まとめ>
今回はじめて元環境大臣であった進次郎さんとお話しさせていただいて、どんなことを聞けばいいかとても悩みました。進次郎さんは周りに理解されないことなどとも戦いながらも、とても前向きで、気さくで信念を持っていてすごい方だと思いました。
また、日本語だと、英語と比べて環境に関する情報が乏しいという部分は、気候変動に対する取り組みをされている他の方もおっしゃっていました。進次郎さんからもこの言葉をお聞きして、改めて世界のスタンダードになっている情報が日本には届いていないことが切実な課題であることを痛感しました。
また、進次郎さんとメンタルケアに関してお話して、政治家ならばネット上で誹謗中傷してもいいというような一部の人の行動にも違和感を感じました。どんな政治家でも一人の人間です。政策に対する意見に関係なく、人格を否定したり、偽りを書き込んだりしてイメージダウンを図るのはおかしいと感じました。
原 有穂(FFFY)
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