「12年後のわたし」が今、考えていること

2022年08月19日犬飼 瑞穂

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 初めまして。フェリス女学院大学に通う犬飼瑞穂(いぬかいみずほ)と申します。今回から政治の村Studentsに参加させてもらうことになりました。格差社会を中心に社会問題について記事を書いていこうと思います!

 私は小学校低学年の頃、学校に通うことができず働かされているガーナの子供たちのために募金活動を行っていました。その時初めて貧困に苦しんでいる子供が世界にいるという事実を知り、それ以来、格差社会に興味を持つようになりました。先日、小学校の図工の時間に作った「12年後のわたし」(写真1)というタイトルの粘土で作ったフィギュアを実家の物置で見つけました。そこには「医者でアフリカの子供たちに診察している私」という旨の一文が書かれていました。私は世界の貧困や教育、医療などで苦しんでいる人たちに何年も前から関心を持つようになったのだと改めて思い出しました。大学生になった今、コロナ禍で行動が制限されていますが、自ら社会問題について発信できるように頑張ります。

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写真1 実家で見つけた「12年後のわたし」

世界ではどのようなことが起きている?

 今この記事を読むことができるということは当たり前にインターネットを使えることができる環境があると言えます。当たり前に学校に通え、住む場所があり、友達と会うことができるーー。しかし、こうした「私たちが当たり前と考えている環境」が実は当たり前ではないという人が世界中には数多く存在しています。例えば、誰しもが憧れ美しく耀くダイヤモンド。とても希少価値があり、かなりの高額で売買されています。しかしその裏側で学校にも行けずに低賃金で強制的に働かされている子供達が存在している現実もあるのです。アフリカ大陸では貧困層は家族を養うために、低賃金で危険な鉱山で死ぬリスクを背負いながら働いている子供達が存在しているという現実もあるのです。この子供達は教育を受けることができず1日1日を生きるのが精一杯です。なぜ児童労働が無くならないのか。貧困とはお金持ちが作り出したものではないだろうかと私は考えます。なぜなら、富裕層が希少価値のある金やダイヤモンドを需要としているため、生活が困難で働かざる得ない子供達を低賃金で鉱山で働かせている事実があるからです。教育を受けられない教育格差、病院に行けない医療格差、低賃金で働かせられる所得格差など世界には様々な格差があり、格差社会が存在しています。まずはこうした現状を私たち自身が知ることからスタートすることが大切なのではないでしょうか。そのきっかけになるような記事が書けたらと思っています。

 ユニセフの調査によると、児童労働に従事する5〜17歳の子供の数は世界で1億6000万人おり、そのうち7900万人が危険を伴う仕事をしているというデータがあります。(図1)

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図1.ユニセフの主な活動分野 子供の保護 https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act04_02.html 

ゼミでの研究

 私は学校で格差問題について多く研究しています。今回、ゼミの仲間と取り組んだテーマは韓国の格差社会についてです。映画「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)を鑑賞し韓国の格差社会についてゼミの仲間と考えました。この映画は第92回アカデミー賞で4部門賞を受賞した世界中で注目を集めた作品です。ストーリーを簡単に説明すると、韓国の貧困地区の半地下で貧しい生活をしているキム一家が高台に住むパク家の豪邸にパラサイト(寄生虫)するという話です。この映画は韓国社会で起きている格差問題をコメディ風に生々しく描写しており、鑑賞後、現実世界でも起きている問題だと痛感し考えさせられます。ゼミで研究したことの一つを紹介したいと思います。韓国は極端に学歴を重視する「学歴社会」であり、成功=大企業に就職することだと考えられています。しかし一流大学(ソウル大学校、高麗大学校など)を卒業しても大企業に就職することが難しいという現実があります。そのため世界的にグローバル化が進んでいることから英語力を鍛えさせるために、富裕層の親は子供の社会的成功を願って教育費に投資します。教育費を払えることができる家庭ほど高収入の企業に勤められることから格差が生まれていることが映画でわかります。また映画では半地下は薄暗くトイレが床より高い位置にあり、大雨が降ると雨水が部屋に流れ込むような、生活に充分ではない環境に住んでいるキム家の様子が分かります。一方、高台に住むパク一家は広い庭に高い塀があり、災害に水害の被害があまり出ず充分な生活環境であることがわかります。半地下と高台は、富裕層と貧困の描写を表しているのではないでしょうか。実際にこの映画で描写されているキム一家のような半地下に住む人が韓国市内で69万にも存在しているのです。今回は韓国を中心に考えましたが他にも世界中の格差社会について考えています。

スイス在住の日本人が感じる格差とは

 先日幼い頃から交流のあるスイス在住の日本人の友人にインタビューをしました。スイスは世界で幸福度ランキングに常に上位ですよね。世界からはお金持ちの国とされ生活水準も高く裕福な人が多いイメージです。そのような国で格差を感じたことがあるかインタビューしました。 友人「私が住んでいる地域では、一般的にイタリア人やトルコ人などの外国人が貧困層というイメージがあります。理由としては50年〜60年代に、スイス人は人があまりしたがらない清掃業などの職業に移民してくるトルコ人やイタリア人を低賃金で雇った歴史があります。その移民はスイスで家族を作り、その結果、そうした外国人がとても増えていきました。家族が公用語の一つで人口の6割の人が使うスイス・ドイツ語を理解できないため子供達は学校などで言葉の壁に衝突してしまいます。よって学校の成績もあまり良くない人が多く、低賃金の職業にしかつけない人がいることが現実なのです」。 この話を聞き一見スイス人全体が裕福だと感じていたが、そこには移民の問題もあり想豫と違ったスイスの姿を知ることができました。

今後

 様々な国の格差社会を学んできたが、これからは生の意見を生かし記事にしていきたいと考えています。やはり情報社会では真と偽りの情報が多く、事実と異なるニュースも多いと思います。真の情報を伝えたいので実際に現地で取材をするなど生の情報を皆さんに届けていきたいと考えています。様々な格差社会がある今日、私たちができることはなんだろうと考えられることが大切だと思います。やはり世の中には私たちの知らない社会問題が多く存在しています。知るという行動のきっかけを皆さんに届けたい。そんな思いを込めて記事を書いていきたいと思います。


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