多摩市の「シビックプライド」<後編>

2023年07月07日多摩市若者会議チーム

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第一回のインタビューに続き、「合同会社MichiLab」代表の高野義裕(たかの よしひろ)さんにお話をうかがいきます。後半は「シビックプライド」が醸成される過程で起こる問題にフォーカスしてインタビューを行っていきます。

伊藤「多摩市の良い面が結構あるなと感じるのですが、逆に今の多摩市の問題点って何だと思いますか?」

高野「問題点...沢山あるんですけど...(笑)課題で言ったら一番わかりやすいのは高齢化なんですよね」

浅野 「そうですよね...」

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インタビューをする牧野と伊藤(左から)

高野「なんで高齢化が起こっているのというのはシビックプライドと微妙に関係があって、結構多摩市を気に入ってくれて自分が身体を動かせる限りは多摩市にずっと居続けようと思った人達が多摩に移り住んだ第1世代が多いんです。だからなかなか世代が入れ替わらない。子どもはもっと便利なところに行っちゃおう!というように出て行く傾向にある。そうすると親世代だけが多摩に残ります。子どもがいなくなるからさらに高齢化率が上がってきますよね。そしてどんどん歳を取っていく。これが1つの課題です。ただ、背景には〈多摩市を気に入っている〉から多摩市から引っ越さないっていうのがあるので、そこの課題(?)には微妙に関係があるんですよね」

浅野「なぜ高齢化しているのかってあんまり考えたことがなかったので面白いですね。〈好き〉だから残っているという視点が面白いです...!」

高野「わかりやすいのは市内のある大規模な賃貸住宅で、部屋が比較的狭いです。そうすると子どもが育ってくると手狭なのね。そうするとあの地域は人が入れ替わるんです。その結果、団地は結構古いんですけど子どもが常に多い地域になっている。では他の地域がどうなのかというと、家が結構広いんです。スペースが余ることがあっても足りなくなるなんていう事は起きないので。それも住み替えが進まない要因の一部に入っているのかなと。他のエリアの団地が沢山ある地域は古くて狭い団地が多いので入れ替わりが激しいんですけど、多摩の団地は比較的新しい団地なので居続けやすい理由ですね」

高野「実は、両親が多摩にいて、別の所に戻ってくるとか、多摩に家を持つ若者世代は少なくはないんですよ。だけど、その人達って1回多摩を離れて多摩に戻ってきているとか、場合によっては多摩市にそういった縁はないけど子育てしやすそうな住宅地を探して入る人達がいたりして、ずっと多摩にいるわけではないし、なので両親と関係があって多摩に子どもも居るっていう家もあるけどそうではない家もある。ウチなんかも同じで・・・(中略)子ども世代だけで残っていると今度は子育てのサポートをしてくれる親族がいないという課題があるし、子ども世代がいなければ両親が高齢化したときにサポートしてくれる子ども世代がいないという感じで」

「あと大きな課題になってくると、『作られた街』、特に『歩車分離』が多摩の自慢・魅力なんですけど、歩車分離を実現するためにものすごいインフラを持っているんですよね。陸橋なんか200近くある。あその橋がもう30~40年くらい経っている。それがそのまま維持できるのか。多摩センター駅前なんかが典型的で、パルテノン大通りって3本の橋が同じ方向に架かっているんですね、そういう贅沢な作りのものが老朽化してくるのが問題です。しかも坂道が多い、団地にはエレベーターがついていない、住民は高齢化が進む、若い世代は出て行っちゃっていないと。これらがわかりやすい課題です」

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多摩市内の紅葉(撮影者:牧野)

・これからの多摩市について

笑いも飛び交うこのインタビューもいよいよ終盤、最後に「シビックプライド」について次世代、後世につなげていく若者達への思いを語っていただきました。

高野「今までの話と繋がっちゃうんですけど、もっと自由に地域でいろんな事をやってくれたらいいなって思います。なんか<夢に向かって色々チャレンジ>とか夢がある人だったら、その夢に向かって小さいところを地域で試してみる。とか、そういうのがない人でも楽しそうな事どんどんやってくれたら、きっと地域の人は結構応援してくれると思います。地域との繋がりができて、自分の居場所は地域だってなってくると思うので。もっと地域を使ってほしい!というのが自分が(若者に)期待することですね」

伊藤「それが積み重なれば、もっと多摩市内で窓口が開かれるきっかけになりますよね」

高野「『あれ?やってるんだ』ってわかるだけでも違いますからね」

浅野「もっといろんな人がやってくれると自分でもできる気がするし。高野さんが言うと重みが違いますね・・・」

高野「いやいや・・・笑」

伊藤「取材チームのメンバーの中で他に何か聞きたいことありますか?」

牧野「今までの話の中に関連するキーワードとして「共生社会」というワードがあると思うのですが、若者もいればお年寄りなどいろんな人が居る中で多摩市としてこういうこと・もの・スキルがあれば、より生き生きとした多摩市になるのではないかという高野さんなりの意見があれば聞きたいです」

高野「世代とかその人の属性が違うと持っているスキルと困り事が意外とマッチングすると地域の中でお互いに助け合うことで困り事が解決したりとか、自分の持っているなかなか生かせないスキルが生かせたりとかして、わかりやすいところだと子育て世代は時間が無い。一方で高齢の夫婦になったシニア層はもっと若い子と接したい。子育て経験はあるといったら子どもを預けるとかって簡単に預かれますよね。子どもにしてみても地域のおじいちゃんおばあちゃんが居るみたいな感じになるとか・・・」「本当に困り事とできることをマッチングしていくとそれがいろんなところで起こるとこれが共に支え合う社会ができると思うので・・・仕組み作れたら良いなって思いますね!自分がシステム関係であるというのもあるけど」

牧野「こういう動きをしていく事でお互いがお互いを求めているものをつなげていく形になるってことですね」

高野「そういうこと。アプリとか」

浅野「まずアプリ作ろうとは思わないもんなぁ...」

高野「なかなか作るの大変なんだけどね(笑)でもそういうアプリがあったらいいなって思うよね」

伊藤「高野さんご自身がこれから何か若者会議で自ら企画したいとかやってみたいとかって思っている事ってありますか?」

高野「若者会議でっていうか、自分としてはもっと地域の中でわかりやすい地域課題を正面から解決していく取り組みをやってみたいなって。今ってワークショップとかでみんながやりたいと思ったことを実現するのを中心にやっているんですけど、もうちょっと若い子から見たら興味が無いような地域課題を真正面から行くところに私はシフトしたいなぁて思ってます。どちらかというとそろそろヤバいぞと・・・(笑)というのがあってもうちょっと地域に入り込んでやりたいなぁいう感じで。若者会議はもうこれだけみんな育ってきたからもうMichiLabは責任だけを取るというのをやっていって、若者会議のメンバーが楽しんでいていいんじゃない!という風な形で見守るような感じにしたいですね」

伊藤「すごい...さすが高野さん...!!」

高野「いやいや...(照)」

高野「あとやりたいのは団地に関するイベントをやりたいよね(笑)」

浅野「やりましょ!月1くらいやりましょ!」

・まとめ

多摩市のシビックプライド醸成に関するお話から多摩ニュータウンの団地のお話、さらにはこの記事に載せるには少し抵抗があるようなリアルなお話まで、同じ「多摩市若者会議」の中で活動してきたからこそ聞ける話があり、気づけば1時間に渡る盛り沢山な取材となりました。改めてこの場をお借りして高野義裕さんに御礼申し上げます。

多摩市は他の市区町村に比べて、住民が積極的に活動している地域です。しかしながら、「多摩市若者会議」に所属するメンバーの年齢層を見ても、年齢層は30代が多く、いつまでも若者でいられるわけではありません。若い世代に「シビックプライド」を醸成していくことこそが魅力的な多摩を作る第一歩だと感じました。

市民一人一人が「シビックプライド」を持ち、「まちの事を自分事にして動く」ことができるようになれば、そのまちはより住みやすい、より良い街になっていくことでしょう。そのためにも、まずは自分たちが暮らす地域のことを学び、まちへの帰属意識を持つことが重要です。高野さんのように、一度離れてもなお多摩市に戻ってきたいと思う人や、多摩市が好きだと言える人をいかに増やせるかが、今後の多摩市の魅力度アップの要となるように思います。

また、近年は若者の選挙の投票率が低いことが問題視されています。これもまちの動きを自分事に出来ていないことが関係してくるのではないでしょうか。不満や要求ばかり言うのではなく、「やってみたい」ことを実践しようとする中で市役所と建設的な話し合いの中から具体的なお願いをすれば、行政と市民の壁もなくなり、おのずとスムーズな連携が出来るようになるでしょう。そのためには、行政の側も市民に寄り添い、市民がまちに対して抱いている感情・想いを拾っていくことが大切なのだと思います。

タウンニュース政治の村studentsの多摩市若者会議チームもシビックプライドを持って、まちの動向に対して常にアンテナを張って活動していきたいと思います。

(浅野・伊藤・隈本・牧野・山口)

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多摩市内の景色(撮影者:牧野)

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