SDGsのランキングとその意義とは?

2024年01月04日伊藤 千夏

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2030年までに達成しようと立てられた17の目標、SDGs。日本では達成のために実際どんなことをしたのでしょうか。前回は北川さんの話からSDGsを学んでいく記事でしたが、今回は自分なりにSDGsについて考察します。

そこで調べてみると、持続可能な開発ソリューション・ネットワークが発表した「Sustainable Development Report」の2023年版SDGsの達成度ランキングで日本は166カ国中21位でした。課題が残っているゴールの内容には赤いマークがついています。
https://datahub.sdgtransformationcenter.org/rankings/sustainable-development-report

例えば、ゴール5「ジェンダー平等」では男女による賃金の差が解消されていないこと、ゴール7「手頃な価格でクリーンなエネルギー」では再生可能エネルギーの割合が課題であること、ゴール12「消費する責任、つくる責任」では電子廃棄物とプラスチック廃棄物の問題など幅広い問題に対して赤いマークがついています。一見、順位が高いのかと思いきや、クリアしなければいけない課題は山積みであるようです。

ランキングを見て、世界規模で達成目標を立てることは大切だと思いましたが、全ての国が同時期に一斉に改善に取り組むことには疑問があります。1位のスウェーデンと最下位の南スーダン(スコアなしの国・地域を除く)では、最初の状況が異なります。「飢餓」という言葉ひとつとっても、全く同じ背景は存在せず、その飢餓にはさまざまな要因が絡み、簡単に課題解決の糸口を見つけられません。

突然ですが、皆さんは2023年12月、日本が気候変動対策を話し合う国連の会議「COP28」の場で国際的な環境NGOから『化石賞』を与えられたことはご存じでしょうか。化石賞は環境に対してマイナスな言動をした国に与えられる不名誉な賞です。「日本は石炭火力発電所などを延命させ、再生可能エネルギーへの移行を遅らせている」として受賞しましたもので、今回で4回連続となってしまいました。非常に残念なことですが、これも課題解決には日本ならではの課題があります。
https://www.can-japan.org/press-release-ja/3771

日本では戦後、化石燃料の使用、つまり火力発電をしてきたわけですが、火力発電をすると二酸化炭素が出ます。そこで日本は火力発電から原子力発電に切り替えようとしました。しかしながら、そんな折、東日本大震災が起こり、原子力発電そのものに安全性をはじめとする問題があることを認識させられます。その他の発電だとどうでしょうか。水力発電に適した地形を持っている日本ですが、発電所設置には大規模な開発が必要で、結果的に環境破壊に繋がる可能性があります。そして今、日本は太陽光発電に力を入れる方向で動き出しました。太陽光発電のためには各家庭にソーラーパネルを設置する必要があります。非常に地道な作業になるでしょう。

と、ここまで書いてきて、日本は日本なりに適応してきたのではないかと思います。2024年には、太陽光発電に切り替えるために東京都が発表した内容では、大手ハウスメーカー等が供給する新築住宅等では太陽光発電設置が義務化するそうです。

一方、世界には未だに焼畑農業を行う地域や火力発電に大きく頼っている国があります。原子力発電を使う国もあります。

この話で私が言いたいことは「日本の方が凄いんだぞ」ということではありません。各国によって全く異なる課題とその背景があります。それを同じ期間に同じ基準で評価をすることはあまりにも世界を一律に単純化しすぎていると思います。

改めて、私なりにSDGsの意義、そしてSDGsの達成度ランキングの意義を考えると、SDGsはより良い生活のために重要な世界的目標であり、ランキングがあることでいかに各国が異なる背景を持っているのかを明確化し、この差を見える化することで自国だけではなく世界各国の課題について考える窓口が広く開かれるということに意義があるのではないかと考えます。ランキングの上位に入ったから偉いわけではありません。このことを的確に伝えるためには、すべての国はスタートラインが異なるということを表に出すことが必要であると考えます。

日本で見るSDGsの特集は、あくまでも自分にとって非常に身近な環境のことを扱っていることが多いように思います。身近なことから考えることも大切です。その情報に加えて、これからは日本がこのような取り組みをしていることを世界に向けて発信すると同時に他の国にはどういった課題があり、どんなアクションを起こしているのか発信することも重要なのではないでしょうか。そしてメディアを見る私たちは日本国内だけではなく、世界の状況も意識して見ることが大切です。

前回の記事でも話が上がりましたが、国民の声が政府に届いていない状況があると思います。少し前に、岸田総理がスーパーに足を運び、「野菜や肉、確かに高くなっている」と発言していました。物価上昇は随分と前から続いていますが、そのことが届くまでに時差があります。この時差が短くなるためにはどんな方法があるのかという視点で政治の流れを見ていくことで、私たちが生きやすい世の中を選択することに繋がるのではないかと考えます。


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