フェリス女学院大学と"女性活躍" その3
2024年12月25日フェリスチーム2024
その3 ~ジェンダースタディーズセンター~
はじめまして!フェリス女学院大学の大木彩音です。
第一部では倉賀野清子人事課長への取材、第二部では今年度よりフェリス女学院大学の学長に就任された、小檜山ルイ学長への取材を通して女性活躍について取材を行いました。そこでは、フェリス女学院大学が女子大であるからこそ発揮できる部分が多くあることを改めて知ることができました。
第三部では2023年度に設立された「ジェンダースタディーズセンター」への取材を取り上げていきます。
ジェンダースタディーズセンターでの取材では実際に活動している学生スタッフの鈴木文乃さん、古谷絵里子さん、石戸祥予さん、担当されている小ヶ谷千穂教授、山本千晶准教授に話を聞き、活動しようと思った経緯や今後の活動について取材させていただきました。ここでは学生スタッフの声を紹介します。
ジェンダースタディーズセンターとはフェリス女学院大学において「新しい時代を切り拓く」女性を育成するために、学生自身が自らの生き方を考え自立した女性として社会に参画できるようなジェンダー教育およびジェンダー研究、キャリア教育・支援を実施することを目的として、2023年4月に開設されました。
ジェンダースタディーズセンター|フェリス女学院大学 より引用
ジェンダースタディーズセンター(※以降、愛称のGem)で活動しようと思ったきっかけを聞いてみると、3名の学生全員が「ジェンダーに興味があったことが始まりです」と答えました。ジェンダーに興味はあっても話す機会や場所が少ない、と感じたため、Gemの学生スタッフへの参加を決めたそうです。
古谷さんは、Gemで活動する前に「Halo‐Haro Club」にも参加されていました。「Halo‐Haro Club」とは「多様性」を切り口に、ジェンダーやLGBTQ、ミックスルーツといった幅広い問題への理解を深めるとともに、さまざまなイベントやSNSでの啓発活動に取り組んでいる公認団体。自由度が高くスピードよく活動できるそうです。そこでの活動と比較し、古谷さんはGemの特長として、学生が活動の主体である点を挙げます。「会議を重ねて活動を進めるため、スピード感は(ハロハロクラブより)ないが、大学としての組織であり、学生が主体となって活動を行っている」と語ります。
次に実際に活動してみての感想を聞いてみると、3名の学生全員が「Gemの知名度を上げたい」と口をそろえました。現在、フェミニズム小説を読む「フェミニズム読書会」を隔週で実施中ですが、参加人数が少ないことから、「学内で参加募集の掲示を増やしたい」と語ってくれました。
Gemでの活動を通して感じたことについて聞くと、「フェリスが女子大であるため、取り組んでいる活動が男受けを狙っているものだと思われることがなく自分の感じた好きを素直に表現できる」と鈴木さんは言います。
古谷さんはこの活動を通して「解放感を感じた」そうです。浮いてしまう、変な目で見られるなどの不安を持っている人が多いことをこの活動を通して改めて実感したと語ります。
石戸さんはGemは「自分らしくいられる場所」と答えてくれました。ジェンダーという共通の話題があることでの居心地の良さ、Gemの参加で人脈の広がりを感じたそうです。
これまでに行った印象的な企画を尋ねると鈴木さん、石戸さんは「写真展」と即答してくれました。「女子の多様性」をテーマにした企画で、女子大生は、世間一般的に「清楚でおしとやか」だとイメージされやすいため、その固定観念を変化させたいと思ったのがきっかけとなり、フェリスには多様な学生(ラグビーをしている学生、ノンバイナリーの学生、一人行動が好きな学生など)がいるということを鑑賞者に向けて表現しました。「多様性とアートを絡め、企画から人選まで自分たちで決めたものであり、やりがいを特に感じた」そうです。
古谷さんは大学祭の「パトロール」が印象的だったそうで、「大学祭では関係者以外にも様々な方が来場するのでパトロールの必要性を実感した」とのことでした。思い付きで昨年から始まったもので、「女子学生が主体となって自分たちを守らなければならないことを体感した」と語ってくれました。
Gemで活動している学生スタッフへの取材を通じ、ジェンダーに興味を持っている人が公に言いづらい環境である現状を知りました。また、企画から全て自分たちで行うその姿勢は同じ大学生として見習わないといけないなと感じました。少しずつでもジェンダーについて理解しあえる場が増えれば「自分らしく」いられる人も増えるのではないでしょうか。
三部構成で行った女性活躍については以上となります。フェリス女学院大学の小檜山ルイ学長、人事課の倉賀野清子課長、そして、ジェンダーについて高い意識を持って活動している「ジェンダースタディーズセンター」の学生スタッフという三者から見ていきました。今回の取材を受けて女性活躍が浸透しづらい中で女子大だからこそできる活動が多いのではないかと思いました。ジェンダーについても大学生が活動をしていることは少ないのではないかと思います。多様性であることが価値を持つ世の中で今後どのように女性活躍がなされていくのか注目していきたいです。
※以下三部を担当した、大木、杉原、牧田の感想。
自分の大学を取材対象にすることは女性活躍をテーマにすること抜きにはできないと思いました。このテーマで女性のことではなくジェンダーそのものについての知識や理解を高めることへの重要性を感じました。
大木彩音
女子大の魅力とはなんだろうと考えた際、Gemで活動しているみなさんも言っていた通り女性しかいない環境であることだと取材を通じ改めて思いました。女性しかいないから服装や髪型も「らしさ」というものに囚われずにいられることが女子大の魅力であると共学学校から女子大に入学した私自身も感じています。今回の取材を終えて、性にまつわる固定観念にとらわれない社会がどのように進んでいくのか注目するべきだと感じました。
取材を終えて、共学と違い、女子大だからこそ、協調していける部分であったり、女性だけの環境にいる私たちにとって、女性のリーダーシップについて学べたりすることは非常に貴重であると改めて感じました。
杉原奏音
また、単位互換制度で来年度から男子学生を受け入れるというお話もありました。講義を受講する中で、女性だけの環境で自分の意見を言うことは普段からしているため抵抗なくできていますが、そこに男性も入った場合、自分の意見を言えるのか。男子学生がいる中でディスカッションする環境があれば、そういった力も養っていけると考えました。
今回の取材を通じて、理想の女性活躍がどういうものなのか、女子大に通っている私たちだからこそ経験できることについて学ぶことができました。これを機に、私自身も"女性活躍"を実現できるよう、残りの学生生活を意識的に過ごしていきたいと思います。
取材を終えて女性活躍に関しての自分自身の知識不足や視野の狭さを痛感しました。
牧田未来
今まで私は中学校、高校、そして大学と、9年間女子校に通っているため、「女性だから〇〇」と性別で役職や役割を決めることは一度もありませんでした。
そのため、女性管理職の現状を調べ、取材をするうちに女性が活躍しにくい現状を知り、女性活躍が叫ばれている現代社会で現状のジェンダー・ギャップ指数の低さや世界と比較して日本がどれだけ低い順位にあるのかを知りとても残念な気持ちになりました。
私は役職に性差は一切関係ないと考えています。
今回の取材をきっかけに女性活躍推進が今後どのように変わっていくのか注視していきたいです。