林芳正に寄書きを手渡した「モットミル」って誰? 若者の「非政治的な政治参加」について考える
2025年02月19日深江 悠斗
こんにちは!夜に閲覧された方はこんばんは!東海大学1年の深江悠斗です。今回は、今年1月に林芳正さんに「寄書き」を手渡されたモットミルさんという方に独占取材を行いました。本記事では、動画投稿者であったモットミルさんが、なぜ林芳正官房長官に惹かれ、寄書きを手渡したのか。そして、モットミルさんの「寄書き」を具体例に、若者による「非政治的な政治参加」の意義について考察していきたいと思います。
モットミルさんは、今は20歳で台湾の大学に留学する傍ら、主にYouTubeやX(旧Twitter)で活動をされています。そのモットミルさんが運営するYouTubeチャンネル「モットミルチャンネル」では、主に歴史に関する動画や料理動画を投稿されており、その動画総再生回数は105万回以上(2025年1月、深江調べ)を誇ります。
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では、なぜそんなモットミルさんが林芳正さんに寄書きを手渡されたのか、本文をお楽しみください。
【第1部】「モットミル」って誰?
―まず、読者の方に向けて自己紹介をお願いします。
モットミル:元々は歴史、主に冷戦時代のソ連やルーマニアなどの東欧の歴史が好きで、好きが転じて、そういった国々の歴史をもとに替え歌を作る活動をYouTube上で始めました。最近は幅を広げて、政治についてもX上で投稿しています。
―ありがとうございます。なぜ、政治に興味をもたれたのですか?
モットミル:きっかけはぼやっとしていますが、私の家庭が政治の話をよくする方だったからだと思います。一番早い記憶だと、私が小学校低学年くらいだった時の野田さんの民主党政権の頃から、家で両親が政治の話をしているのを聞いていたのを覚えています。それで、うっすら時事とか政治に関心を持つようになりました。その後、歴史にハマっていきました。殊に近現代史だと、現代の政治と関わっていることが多いと思います。例えば、幕末期の討幕の中心が長州藩で、今もその山口県が総理をたくさん輩出しているとか。歴史と政治がつながっていくことで、余計に興味を持ちました。この時はまだ、特定の政党を応援しているとかはありませんでした。
―もともと家で政治の話題を話すことが多かったのですね。近現代史と政治の繋がり、面白いですよね。
では、なぜそこから林芳正さんを応援され始めたのでしょうか
モットミル:実は、他人の空似から始まりました(笑) 好きな歴史上の偉人と林芳正さんが似ていて、それがきっかけで林さんに興味を持つようになりました。そこから、林さんが外相の時代に、好きな歴史上の偉人に似た人が閣内にいて、外交をやっているという形で林芳正さんを見てきました。ところが、気づいたら林さんが外相を退任してしまっていて、また気づいたら官房長官に戻ってきていて驚きました。そこから、林さんの記者会見をウォッチャーとして欠かさず見るようになりました。
林さんのことを調べていくうちに、自民党の公式YouTubeチャンネルが出している、自民党が野党だった時代の動画に辿りつきました。その公式チャンネルが投稿していた、いろんな議員に話を聞くという企画に林さんが出演していて、最後に「Let It Be」をピアノで弾き語りをしているのを見ました。その弾き語りが「上手ぇ!」って思ってから、本格的に興味を持ち始めました。
―林さんの雰囲気や芸術活動を見ることを通して、林さんへの応援の気持ちが芽生えてきたのですね。
モットミル:最初に政治的じゃないところから応援し始めたのが林さんですね。そこから、林さんについてもっと調べていくうちに主義主張に辿りつきました。その主義主張が、私にとって受け入れやすいものでした。右翼だとか左翼だとか、そういうことは言わないけれども、私にとってはスッと入ってくる、「この人の言うことは一理あるな」と思えるようなものでした。そこから、政治的にも林さんの応援を始めました。
―なるほど。ある意味「推し」を調べるみたいに、林さんのことを調べていく中で、その政治的スタンスにも共感し始めたのですね。
次に、林さんに寄書きを渡そうと思ったきっかけがあれば教えてください。
モットミル:去年、岸田前総理の誕生日に、ある二人の方が「ヨセッティ」というサイトで寄書きをされていました。そこで、色々な人が祝福のコメントを書いていて、私も一筆書かせていただきました。後日、岸田さんがお礼の動画を撮影し「ありがとうございます」とコメントしていました。それを見て「良いな」って思いと、「ネットの時代ってこういうこと出来るんだ」という驚きがありました。それで、1月の林さんの誕生日にも同じような企画があれば参加したいと思いました。だけど、そのような企画をされている方がいなかったので、「私がやるか」と思い、Xで活動されている林よしまさ応援団さんという方に声をかけました。そこで、林よしまさ応援団さんが林芳正事務所に、企画の確認を取って下さり、そこからこの企画が始まりました。
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―岸田さんの喜ぶ姿を見て、林さんにも同じことをしたいと思われたのですね。すごい行動力だと思います。
この寄書きを渡すことは、一見政治的なように見えて、実は非政治的な活動に思えてくる内容ですが、モットミルさんはどのように考えて動かれたのでしょうか。
モットミル:確かに、あの寄書きは政治的じゃないですね。単に「国会議員の役職に就いている人の誕生日を祝う」というコンセプトがありました。これは、岸田さんの方でそうされていたので、私も真似ていたところはありますが、寄書き内で具体的な政策の陳情とかは禁じました。例えば、「教育費を無償化してください」とか。そういうことはやめて、単にお誕生日をお祝いしましょうという風にしました。
―本当に、純粋な気持ちで林さんの誕生日をお祝いされたのですね。
話は変わりますが、Lit.Linkというサイトで、林芳正さん以外に、山本一太さんなども好きな政治家としてあげられているみたいですが、それについての理由を教えてください。
モットミル:私の応援している政治家は、結構林さんの関係者が多いと思います。林さんが活動されている「Gi!nz(ギインズ)」というバンドがあります。山本一太さんは今いらっしゃりませんが、もともとの立ち上げメンバーは林さんと山本さんで、もともとお二人の仲が良かったりしたそうです。また、山本さんの発信がとても面白くて、ブログも前向きなことを書かれていて、読んでいて元気になったりして、好きになっていきました。
―林さんから広がっていったのですね。
モットミル:そうですね。広がっていった感じです。
―次に、ずばり、モットミルさんの考える林さんの「良いところ」を教えてください。
モットミル:これは、たくさんありますね(笑)
最初に思いつくのは、「能力が高い」方だということです。林さんが1月19日生まれということもあって、林さんがそれで「永田町の119番」と呼ばれるくらい、ピンチの時に駆り出されるような方です。林さんは、安倍元総理と地元が一緒で、先祖からの因縁があり、結構対立していたそうです。そんな安倍さんでも、ピンチの時には林さんを頼っていて、安倍政権下でも林さんが三回入閣したりしました。ピンチ、不味いときに任される人は、普通の人よりも能力がないと呼ぼうと思われないですよね。と思うのもあります。
あとは、林さんが政策を形にしていく中で、自分が全然知らない分野でも、例えば文部科学大臣とか、その役職を任されたらその職を全うしているところ。また、その経験を活かして政策に反映しているところなど、自分が受けたポストを、全部自分の力、肥やしにして、次に繋げている姿が真面目だと感じますし、本当に政策が好きな方なのだろうなと思います。
他にも、人柄が素晴らしいところです。私もお会いした時に、すごくやさしくして頂きました。「怒ったところを見たことがない」と林さんに近しい方がおっしゃるくらい、いつも落ち着いていて、冷静で、慌てたりしない慎重さや応用力とか・・・なんていうんでしょうね(笑)
―何かを包み込むような・・・。
モットミル:そうそう、包容力がすごくて安心感があります。これも、私が林さんに総理になっていただきたい理由の一つですが、国を任せられるような安心感があることです。
あと、歌が上手い(笑)
―林さんの良いところ、想像していたより多くの事柄が出てきてびっくりしました(笑)
モットミルさんは、林芳正さんのイラストを描かれているとお聞きしましたが・・・。
モットミル:絵は沢山描いていますね。
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―応援するイラストを?
モットミル:そうですそうです。林さん中心に、いろんな方を描いています。
実は、当初は予定の無かった寄書きのアイコンも、Xのフォロワーさんからの勧めで描かせていただきました。
もともと、10年くらい絵を描いていて、好きなものを描くという習性が付いちゃったんですよ。だから、それで描くのが多いですね。総裁選の時とかは、特に応援として、イラストをいっぱい描きました。
―そうだったのですね。
林さんの所属している自民党について、応援しているなどはありますか?
モットミル:「やや支持」くらいですかね。自民党絶対ジャスティスみたいな感じではありませんが、色々スキャンダルなどもありますし、そういうところは「ちゃんとしないと」と思います。でも、やっぱり与党としてふさわしいのは自民党なんじゃないかと思います。
個人的に、公明党との連立はすごく良いんじゃないかと思います。自民党と公明党は、少し視座が違うと思います。自民党は俯瞰して国を見ているので、マクロのことを進めるのが得意だと思います。公明党は、大衆政党として、一般庶民の視点から自民党に政策を提案することで、政権のバランスが取れていると思います。
【林芳正官房長官からコメントをいただきました】
本記事の掲載される「政治の村Students」は、若者世代からの関心が多く注がれる媒体であることをふまえて、今回、本記事の作成にあたり、内閣官房長官の林芳正さんから、若者向けに大変貴重なコメントをいただきました。
若者世代に向けた林芳正さんのお言葉を、ぜひご一読ください。
―改めて、寄書きを受け取られての感想。
林芳正:寄書きを受け取り、心から感謝の気持ちでいっぱいです。多くの方々からの温かい言葉や励ましのメッセージは、私にとって大きな力となります。特に、若い世代の皆さんからの期待の声を聞くことができ、身の引き締まる思いです。
―若い人から林芳正への期待が高まっていることについて。
林芳正:若い世代の皆さんからの期待の高まりを感じ、大変光栄に思うと同時に、大きな責任を感じています。これからの日本を担う若者たちの声に真摯に耳を傾け、その期待に応えられるよう全力を尽くす所存です。若者の皆さんの夢や希望を実現できる社会づくりに向けて、政策立案や実行に取り組んでいきたいと考えています。
―若い人に発信したいこと。
林芳正:皆さんの声は日本の未来を作る力となります。どんな小さな意見でも、それぞれの思いや考えを大切にし、積極的に発信してください。政治は皆さんの生活に密接に関わっています。自分の将来のため、そして日本の未来のために、政治に関心を持ち、主体的に参加することが重要です。私たち政治家は、皆さんの声に耳を傾け、共に明るい未来を築いていく決意です。一緒に、より良い日本を作っていきましょう。
内閣官房長官
衆議院議員
林 芳正
【第2部】「非政治的な政治参加」について考える
第2部では、モットミルさんの活動を具体例として、「非政治的な政治参加」の意義について考えていきたいと思います。まず、日本における若者の政治参加の現状について、NO YOUTH NO JAPANの『YOUTHQUAKE ―U30世代がつくる政治と社会の教科書』によれば、「若い世代の投票率は、年々低下傾向」にあること、「U30世代(30歳未満)の投票率は、全世代中最低の水準」であり、「世界の先進国と比較しても、日本の低さは目立つ」状態にあるとされています。また、同著書内では、若い世代の投票率が高い国々について、「自分がアクションを起こすことで社会は変えられる」という成功体験を積める社会であることなどを言及しています。
では、そもそもの政治に関わるきっかけとなる「非政治的な政治参加」とは、どのようなものなのでしょうか。まず、「非政治的な政治参加」について、以下のように定義したいと思います。
- ・世間一般における政治的活動(ビラ配り、街頭演説など)ではない。
- ・政治的な主張無しに政治や政治家と関わる。
つまり、あくまでも「趣味」を楽しむ中で、政治的主張はなくても自然と政治に参加していく。これは、色々な言い換えが出来ると思います。政治に関係ない所で、政治に関係していく。政治的主張を含まずに政治に参加する。これが「非政治的な政治参加」であると私は考えます。その具体例が、第一部で取り上げた、たまたま官房長官職にあるだけの「推しである林芳正さん」の誕生日を祝うために「寄書きを手渡す」などの活動ではないでしょうか。
また、「非政治的な政治参加」について、若者の政治参加に詳しい、『わたしたちの世界を変える方法 アクティビズム入門』(河出書房新社)著者の中村眞大さんに、その意義についてコメントをいただきました。
中村眞大:政治や政治家と聞くだけで拒否反応を示す人は多いなか、少しでも政治参加のハードルを下げることは大切だと思う。地域の行事に来ている政治家に話しかけたり、政治家のSNSをフォローするだけでも政治参加になる。更には開票速報をスポーツ中継のように「観戦」したり、選挙カーを「乗り物」として楽しむのも良い。少しでも政治的なものを身近に感じやすくなれば、そこからより本格的な政治参加へと発展していけるのではないか。
以上のように、中村さんからは「非政治的な政治参加」に該当する例についてご教授いただきました。このように、実際の政治参加につながる前座としての「非政治的な政治参加」には①政治参加のハードルを下げる、②政治への拒否反応を緩和するなどの意義があると考えます。
これらのことから、「非政治的な政治参加」には、大変大きな意義があると感じます。「非政治的な政治参加」を促す先駆者の例としては、林芳正さんが山本一太さんと結成した音楽ユニット「Gi!nz(ギインズ)」や、福島みずほさんの料理写真の投稿が挙げられると思います。願わくは、政治や政治家が「趣味」や「文化」を楽しむ姿を積極的に発信し、それが若者の心を惹き、若者世代の更なる政治参加が促されることを、今後の社会に期待します。
【編集後記】
今回は、モットミルさんが林芳正さんに寄書きを手渡された背景、そして、それを中心に若者の「非政治的な政治参加」について考察しました。モットミルさんが、林芳正さんを好きになった経緯は、とても興味深く面白いお話でした。
私も、本企画の作成のために林芳正さんのことを調べ、その考えに触れる中で、モットミルさんと同様、林芳正さんには、ぜひとも総理大臣になってほしいと思いました。
最後に、本記事の企画から編集、取材に至るまでモットミルチャンネルのモットミル様に一部お世話をいただきました。また、本記事の作成にあたり、衆議院議員で内閣官房長官の林芳正様とフリーランスライターの中村眞大様に、ご多忙の中コメントをいただきました。更に、林よしまさ応援団(非公式)様(旧Twitter:@yoshimasa_ouen)に取材活動で便宜を図っていただきました。皆様の協力により拙文ながら記事を完成させることが出来ました。本企画に関係された皆様に改めて感謝申し上げます。
本ブログをお読みいただきありがとうございました。次回のブログでまたお会いしましょう。深江
取材協力:モットミルチャンネル モットミル様
内閣官房長官 林芳正様
林よしまさ応援団(非公式)様
フリーランスライター 中村眞大様