ストライキにバッティング!(後編)

2016年12月10日東海大学文学部広報メディア学科1年 猪股修平

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前編はこちら

労働三権と労働三法の違いとは??

前回は労働三権について調べた。今回は労働三法との違いを探る。
前回に引き続き、参考文献は私の高校時代の教科書(『高校政治・経済』実教出版 2014年発行)から。

労働三法は、労働三権を具現化するために整備された法律である。
日本国憲法第27条では勤労の権利及び義務、勤労条件の基準、児童酷使の禁止を定めている。労働三法は27条と前述した同28条を根拠に整備された。
以下の3つが労働三法である。

  • ・労働基準法...労働条件の最低基準を定める。
  • ・労働組合法...労働組合をつくることや、労働協約を結ぶ権利を保障することを定める。
  • ・労働関係調整法...労働争議の予防と解決のため、仲介役の労働委員会が紛争の斡旋、調整、仲裁を行うことを定める。

このうち労働基準法は憲法27条に基づき、ほか2つは28条に基づいて整備されている。

なるほど、労働三権と労働三法の違いとは前者が労働者の権利を定義するもので、後者がその法的根拠を示すために整備されたものなのか。
(私はそのように解釈しましたが、もし違うのであればコメントでご指摘いただきたいです)

衰退する労働組合の数

今日に続く労働者に関わる法律や権利が確立した昭和20年代以降、次々と労働団体が結成された。労働争議の件数は高度経済成長期からオイルショックが起きる昭和40年代の後半までは増加の一途であった。
しかし、昭和50年代後半には団体の数も労働争議の件数も減少していき、現在の労働組合はじり貧傾向のようだ。背景には、正社員のみを組合員としていたため、近年増えている非正規雇用者が組合員に加入していないためらしい。
(最近では非正規雇用者が加入できる労働組合を組織化する動きも出ているようだ)

ちなみに公務員は、団体行動権がない。これは公務員が「全体の奉仕者」であるかららしい。なんとも不公平な気がするが、海外では公務員による労働争議が行われているところもあるようなので、日本の公務員にも労働争議の機会が与えられてもいいのではないかと個人的には思う。

労働者の権利行使は当たり前

さて、ここまで労働者の権利とそれを保障する法律を見てきた。
所々で端折った点もあるが、改めて調べてみると労働者に認められた権利は案外多いことに気付いた。
考えてみれば件の臨港バスがストライキを起こしたことも、労働者として当たり前のことなのだ。単に与えられた権利を行使したに過ぎない。
それに対して一時でも嫌悪感を抱いてしまった自分を私は恥じた。

働く人がいるおかげで、私たちの生活は成り立っているのだ。

昨今はブラックバイトや過重労働など、労働者が不利益を被る事案が目立つ。
今一度、労働者の権利について考えを深めていくことが大切ではないかと私は考える。

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