日本版DBS施行決定③ 適切にこどもを守るためのアクション
2026年02月11日 伊藤千夏
今回は、前回からの続きで日本版DBS導入について取り扱います。
日本版DBSとは、こどもに関わる職業に性犯罪の犯罪歴がある人を就けなくさせるための法律です。
日本版DBSについて議論を始める初期段階で、こども家庭庁が中心となって、こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議が2023年に開かれました。そこで、日本版DBSを導入するにあたって、どんなことに気を付けて法整備をするべきなのか、何が求められているのか、性犯罪の現状等について話し合われました。
今回はオンラインにて、有識者会議の委員を務められた、鎌倉女子大学児童学部子ども心理学科の教授、小國美也子先生にお話をお伺いしました。
小國先生は、東京女子医科大学医学部博士でもあり、小児神経を専門に医師としても勤務をしていました。その傍ら、難病のこどもたちのケアをする社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会委員としても動いており、そのご縁からこども家庭庁の「こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議委員」を2023年に務められていました。

1.性被害にあったこどものサポート
小國先生は、「性被害にあったこどもがいく場所がないんです。園児同士で性被害、性加害があるんです。こどもは被害を理解しきれず、でも、その子どもが成長したときにもし被害を振り返って認識した場合、誰がどうサポートをすればいいのか、そのサポート体制が日本にはまだないんです。」と話します。
近年、幼稚園での園児同士の性トラブルが増えているようで、その被害の認識が出来ないこどもに対するフォローの場所や加害をした児童への注意体制が整っていないそうです。一方で、加害者の児童が放置されれば、このまま性犯罪者として育ってしまう危険性があります。また、加害者が保育士だった場合は、もっと悪質で、「特別だよ」等と声をかけて加害を行う事例があるそうで、こどもを多角的に保護する体制が今後必要だと感じます。
2.日本版DBSの導入への期待と課題観
小國先生は、「無認可の保育士、無認可の塾講師との間にも被害があります。現在の日本版DBSの法案では、ここに手が届いておらず、無駄なのではないかという意見もあります。ただ、不十分だらけだけれど、まずはここからだと思います。早く作らなければ拡充しないどころが、いつまでたっても解決しないんです。」とまずはこの法案を始動させることが大切だと話します。
日本版DBSは、海外で施行されているものと比較しても、ややゆるい法整備ではあります。ですが、今後の動向に合わせて日本に合う形で法整備していくのであれば、今の日本版DBSをまず施行することがこどもを守るための第一歩であると私も思います。
期待することとして、小國先生は「(保育の現場で)日本版DBSの認証制度を使うことが当たり前になってほしい。採用時に日本版DBSの適用が義務になっている場所とそうではない場所があります。ですが、最終的には義務になっていない場所でも、使わなければという意識を持ってほしいです。」と話します。特に親世代の中で「使うことが当然である」という意識が芽生えてほしいと話されていました。こどもへの被害を防止することは親の責任という側面もあるため、日本版DBSを活用することがこどもを守るための手段であると広まってほしいと思いました。
小國先生は、大学の教員として、なるべくこの日本版DBSについて取り扱うようにしているそうです。現状、昔も今も性についての授業がうまく出来ていません。それは小中高と共通する課題であるそうです。そんな中で小國先生が目にしたのは、体育教諭が性についての授業を担当する場面や教育実習生が性について教える場面でした。このことについて、小國先生は、「養護教諭でないとその「性」という心の葛藤を理解しきれないのではないか」と危惧していました。

3.日本版DBSの認知度の課題
最後に日本版DBSの認知度について伺うと、「日本版DBSはまだまだ日本で知られていません。ここからの1年で、報道や新聞で取り上げてほしいです。これから充実させていかなければいけないという国民の気持ちが高まってほしいと考えています。加害者も、その予備軍も、みんなが危険視しているんだなと思ってくれるといいなと思っています。」と話します。
日本版DBSについて広まることは、性犯罪者を子どもから遠ざけるだけではなく、性犯罪の防止にも役立つのかもしれません。
子どもを守るためには、日本版DBSを作って終わりではないのだと考えさせられました。作ってから、どこまで知ってもらえるかでその後の動きが変わります。だからこそ、この政治の村Studentsをはじめとするメディアが取り上げることが日本の性犯罪防止の一助になればと思います。
そして今年の12月から施行開始です。現段階ではその効果が不完全なところがあるかもしれません。ですが、まずは導入をし、日本に合う形の法律へと模索を繰り返しながら、作り変わっていくことを願います。