緒方夕佳 熊本市議会議員が、ゼロ歳児の乳児を連れて、議場の席に着いたことが大きなニュースになっています。
ただ、他の自治体議会と同じに考えていけないことは、熊本市は被災地であり、現状も被災から懸命に立ち直ろうとしているところです。熊本市・熊本市議会では、現地視察の受入れも大きく制限しています。
熊本市子ども支援課が運営する「熊本市 結婚・子育て応援サイト」では、保育園の空き状況が検索できるシステムとなっています。平成29年11月2日時点の情報では、当該の緒方議員の住む熊本市東区では、保育園、認定こども園、地域型保育施設のいずれの施設でも、0歳児の空きはありませんでした。
私たち夫婦が授かった第一子(今は小学校2年生)も、最初は、認可保育園に入ることができず、待機児童となりました。我が家も共働きですので、無認可保育園に預けて仕事をしていました。当時は、現職の市議でありましたが、議員だからと言って、特権はありません。他の待機児童を抱えるご家庭と同じで、大変苦労しました。
被災地である熊本市の保育園の状況、無認可保育園も十分にあるのかどうかも含めて、承知していませんが、おそらく、厳しいと言われる首都圏よりももっと厳しい状況なのではないかと推察しています。(私の私見です)
みんなで力を合わせて、被災から立ち上がろうとしている状況ですから「議会に託児所を作ってくれ」と要求しても、まずは「被災地の復興にお金を使うべき」との意見もあるでしょうし、当該の議員もそう考えていたのかもしれません。
私は「熊本市議会で話し合って決めるべきこと」と思いますが、世の中には、無認可保育園にも子供を預けることができずに困り果てている子育て世帯も多くいます。そうした状況に対して一石を投じ、問題を提起してくれたことに大きな意味はあったと思っています。
議会は神聖なところですが、私が初当選した頃と比べても大きく変わっています。
2005年9月14日、「総合的学習」の一環として職場体験に当時、厚木市議会議員だった私の所に中学生が来てくれた時のことです。妻田北地区住民との陳情対応、障害者作業所(白根工房)や地元のお店屋さん(床屋さん等)への訪問。教育長(厚木市三役)との面会、タウンニュース(地元タウン紙編集部)へ訪問し、支社長や編集長との面談などを行いました。
が、当時のベテラン市議会議員から「こんな子供を神聖な議会に連れてきてとんでもない。遊びじゃないんだぞ。」と強い口調で一喝されました。その発言は、私に向けられたものでしたが、彼女(中学生)は、泣いてしまいました。
あれから12年、今では、中学生議会として、厚木市議会の議場を開放し、中学生に議論をさせています。神奈川県議会でも、高校生に議場を開放して、ハイスクール議会を毎年行っています。議場は神聖な所であることは、今も昔も変わりませんが、少なくとも昔なら、考えられなかったことです。
海外の事例を見ていても、今回、大問題とされた出来事も(遠からず)問題とならない時が来るのではないかと私は考えています。
はじめに記した通り、今回のことは、当該自治体議会(熊本市議会)で考えることであって、そこでの議論を経て得られた結果が、全国に広がり、定着するということになるのでしょう。私のいる首都圏とは、保育環境もそれを取り巻く周りの環境も異なるのではないかと思っています。
カテゴリー:佐藤知一コラム
2017年11月24日 00:13