2026年5月12日〜13日 静岡県視察報告(慶應義塾全国議員連盟)
2026年5月12日から14日にかけて行われた慶應義塾全国議員連盟による静岡県視察研修に、副会長として(初日のみ)参加した。2日目以降は、さとう知一1人で視察を行い、各視察先に受け入れていただいた。
今回の視察では、多文化共生、地域外交、地域コミュニティ形成、観光交流、子育て支援、医療・健康産業振興などを主なテーマとして、静岡県および静岡市・富士市内の先進的な取り組みについて調査・研究を行った。
1.静岡県における多文化共生施策と地域外交について
視察第1日目は、静岡県庁を訪問し、静岡県における多文化共生施策や地域外交の取組みについて説明を受けるとともに、鈴木康友知事との意見交換の機会をいただいた。
静岡県では、人口約347万人に対し、約13万人を超える外国人住民が暮らしており、県全体の約3.2%を占めている。製造業を中心とした産業構造を背景に、多くの外国人住民が地域社会を支える重要な担い手となっている。
一方、神奈川県でも外国人住民の増加は都市部だけの課題ではない。例えば、私の地元である愛川町では、人口約3万9千人に対し、外国人住民は約3,900人にのぼり、人口の約1割を占めている。これは全国的に見ても高い割合であり、地域社会のあり方そのものに大きな影響を与える水準である。
愛川町では、これまで製造業を中心に外国人材が地域経済を支えてきた歴史がある。現在では、単なる「外国人労働者」という位置付けを超え、生活者や子育て世帯、地域コミュニティの一員として、多文化共生は現実の行政課題となっている。
今回の視察で特に印象的だったのは、鈴木知事が浜松市長時代から一貫して推進してきた「多文化共生」を、単なる支援施策ではなく、“地域の成長戦略”として位置づけている点である。
その象徴的な取組みが、インターカルチュラル・シティ・ネットワーク(ICC)への加盟である。浜松市は日本で初めてICCへ加盟し、その後、静岡県としても参画している。
ICCは、「外国人等による文化的多様性を、脅威ではなく、地域の活力や創造性、成長の源泉として捉える」という理念を共有する国際的な自治体ネットワークであり、多文化共生を地域発展へ結び付ける先進的な考え方として大変参考になった。
神奈川県でも、横浜市や川崎市だけでなく、愛川町をはじめ県央地域でも外国人住民の存在感は高まっている。一方で、日本語教育、子どもの学習支援、医療、防災、地域自治会との関係づくりなど、多くの課題が山積している。
私自身、県議会において、外国人住民を取り巻く実態把握や支援体制の強化を求めてきた。しかし、国全体としての制度設計や基本法整備は十分とは言えず、自治体単独での対応には限界がある。
そのような中、鈴木知事が全国知事会を通じ、多文化共生施策の根幹となる基本法制定や、国の責任ある制度構築を提言していることにも強く共感した。
今後、育成就労制度の導入などにより、外国人材の受入れはさらに進むことが想定される。重要なのは、「受け入れるか否か」ではなく、地域社会としてどのように共に暮らし、地域の活力につなげていくかという視点である。
愛川町のように、すでに外国人住民比率が高い地域では、行政の対応力と地域コミュニティの理解が、地域の安定と発展を左右する段階に入っている。
今回の静岡県視察で得た知見を、神奈川県における多文化共生政策の推進、そして県央地域を含めた持続可能な地域づくりにしっかりと活かしてまいりたい。
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2.地域交流拠点「MIRAIEリアン コミュニティホール七間町」
中心市街地活性化を目的として整備された地域交流拠点「MIRAIEリアン コミュニティホール七間町」を訪問した。
施設内には、飲食可能スペース、ベビールーム、キッズスペース、多目的ホール、会議室などが設置され、市民交流促進や官民連携、空き店舗対策の拠点として活用されている。特に、子育て世代が利用しやすい空間設計や、多世代交流を意識した運営が印象的であった。
地域コミュニティの希薄化が課題となる中、このような交流拠点の整備は、地域活性化と住民交流促進の両面で大きな役割を果たしていると感じた。
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3.富士川楽座
富士市にある道の駅「富士川楽座」も訪問した。
富士川楽座は、東名高速道路富士川サービスエリアと一般道路の双方からアクセス可能な複合型施設であり、観光・交流・地域振興の拠点として高い集客力を有している。
施設内には、富士山を一望できるレストランやカフェ、地元特産品を扱う物産コーナーに加え、プラネタリウムや体験型施設なども整備されており、観光施設としてだけでなく、学びや交流の場としても機能していた。
また、富士山や富士川を望む絶好のロケーションを活かし、地域資源を観光振興へ結び付けている点は大変参考になった。単なる休憩施設ではなく、地域経済活性化や情報発信拠点として道の駅を活用する取り組みは、地方創生の好事例であると感じた。
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4.子育て支援施設「まちのおやこ広場ハレバレ」
2日目には、地域子育て支援施設「まちのおやこ広場ハレバレ」を訪問した。
施設では、子育て世代が気軽に集い、相談や交流ができる環境づくりが進められており、行政のみならず地域住民や民間団体との連携によって運営されていた。孤立しがちな子育て家庭を地域全体で支える仕組みとして、大変参考となった。
少子化対策においては、単なる経済支援に留まらず、保護者同士のつながりや安心して子育てできる地域環境づくりが極めて重要であることを改めて認識した。
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5.静岡県医療健康産業研究開発センター視察
最後の視察先として、静岡県医療健康産業研究開発センターを訪問した。
同センターでは、医療・健康分野における研究開発支援や産学官連携の推進、人材育成などが行われており、地域産業振興と健康増進の両立を目指した先進的な取り組みが展開されていた。
特に、高齢化社会を見据えたヘルスケア産業の育成や、地域企業との共同研究体制は、今後の地方創生において重要なモデルとなる可能性を感じた。
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6.総括
今回の静岡県視察では、多文化共生、地域外交、地域コミュニティ形成、観光交流、子育て支援、医療健康産業振興といった、今後の地方自治における重要課題について、先進事例を直接学ぶことができた。
いずれの取り組みにおいても共通していたのは、「行政だけで完結させず、地域・民間・住民と連携しながら課題解決を図る」という姿勢である。人口減少や少子高齢化が進む中、地域の持続可能性を高めるためには、多様な主体が連携する仕組みづくりが不可欠であることを改めて実感した。
特に、多文化共生については、今後の地域社会の在り方そのものを左右する重要なテーマであり、静岡県の先進的な取組みは神奈川県においても大いに参考となる内容であった。
今回得られた知見を、今後の神奈川県政ならびに地域政策、議会活動に積極的に活かしてまいりたい。






2026年05月14日 12:26