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国会リポート 第267号 総覧より

先週は地上波から始まって、BS放送、インターネット動画、内外各種記者会、
さらにはEU大使会合へとアベノミクスに対する講演や説明依頼が殺到しました。

久々、日本の経済政策に対する関心の高さを痛感する一週間でした。G8サミット
においてもアベノミクスはかなり高い評価を得ましたし、まさにJAPAN is BACKの
タイトルにふさわしくなってきました。

行く先々で質問される点は2点。一つ目は今までの経済政策とどう違うかという点。
二つ目はあなたが一番訴えたいアベノミクスのセールスポイントは何かです。
違いは多々ありますが、何といっても個々の政策の達成に向けてロードマップが描かれ、
進捗状況を一年ごとにチェックし、その進捗を担保する仕組みと組織が出来ている
ことだと思います。

「アベノミクスは必ず成功します。なぜなら成功するまでやり続けるからです。」

私がよく使うフレーズですが、達成を担保する条件が二つあります。参議院でも与党が
安定多数を持ち、アベノミクス関連法案を政府主導の下で成立出来る環境を作ることです。
今国会にも山中教授のips細胞を迅速に製品化するための法案、医療機器の許認可手続きを
圧倒的に短縮する仕組みのための法案等を提出しておりますが、いまだ成立はして
おりません。与党が主体的に衆参を運営できるマジョリティが必要です。

2点目は政権が長期安定することです。1年ごとに総理が代わるようではロードマップの
遂行が担保されません。5年、6年の長期安定政権が必要になります。

そして冒頭のよく受ける質問の2点目。私が一番訴えたいアベノミクスの成果は、科学技術
の司令塔機能が名実ともに出来たということです。以前から科学技術の司令塔機能と言えば、
法律に基づいて内閣府に設置されている「総合科学技術会議」を指していました。しかし
そこには予算もなければ法律上の権限も実態上はありません。それゆえ、文科省や経産省、
厚労省を始め、各省で行なっている研究の重複や方向性の調整が取れませんでした。
民主党時代にもその改革案が文科省から提案されましたが、私から見れば実質を伴わない
目先だけのものでした。その改革案すら前政権では御蔵入りとなってしまいました。省庁間の
縄張りに極めて大胆に切り込んだ今回の案は相当力ずくの仕事でありました。

担当大臣の山本大臣と私のタッグマッチによりようやく成し得ることが出来た力業です。
それゆえにこれからもその完成をしっかりと監視していないと、いつ揺り戻しに遭うやも
しれません。総合科学技術会議に権限と予算を付けることによって、各省の科学技術予算の
概算要求段階からその重複と方向性を調整し、予算のコストパフォーマンスを上げることが
出来ます。合わせて総合科学技術会議の会議員の比率を学者と実業界の技術責任者で2、3年の
内に半々に持っていくこと。これを通じて各省の基礎研究の分野に「産業化を見据える」
という視点を持ち込みます。つまりこうすることを通じて、10年以上先を見据える国の
基礎研究と5年以内の視点において行われる企業の実用化・製品化研究とがお互いが触手を
伸ばしあって、繋がっていくような一気通貫の体制が出来上がります。

同時に医薬品や医療機器、医療法の分野で基礎研究から製品化まで一気通貫で行うアメリカの
NIH(国立衛生研究所)のミニ日本版を作ることに致しました。「基礎研究から製品化まで」
という精神とシステムが最大の売りです。


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衆議院議員〈比例代表 南関東ブロック〉

甘利 明

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