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国会リポート vol.310(2015年5月11日)

先般の安倍総理訪米は、歴史的なものになりました。上下両院の合同会議において、日本の総理が演説をするのは初めての事ですが、演説中、10回以上ものスタンディングオーベーションが起きた事も歴史的成果を象徴しています。内容は多岐にわたりましたが、私の所管するTPP交渉の進展においては、共和党からしか拍手が起きないのではないか、という事前の観測を覆し、民主党側からも大きな拍手が起こりました。これは米国がアベノミクスに最大の注目をし、それを構成する柱の一つとしてのTPP交渉の進展を評価したためと思われます。日本が経済を中心に復活しつつある、ということをアメリカ側は真に信頼できるパートナーが復活してきた、と歓迎しているわけです。

今回の総理演説では二つの点が注目すべき柱です。一つは、日本が経済大国としてアメリカと共に世界経済をけん引する役に復活しつつあること。その点で米側はアベノミクスに最大限の期待を抱いている事。二点目は、歴史認識とその表現がきわめて適切であったこと。議会指導層から、総理の歴史認識とその表現は心打つものがあった、という発信がなされていること。つまり、アジア太平洋で一番頼りになる信頼できる日本が、アメリカのパートナーとして名実ともに復活しつつあることを象徴する議会演説だったということです。

ウォールストリートジャーナルは、「安倍総理は米議会上下両院合同会議において、秀逸なパフォーマンスを行った。同演説は文化的共感および、戦争に対する後悔の念を示す見本として広く賞賛された。」と報じ、ベイナー下院議長や、ガードナー上院東アジア小委員長、大統領候補になったマケイン上院議員、そして次期大統領選に出馬表明をしているルビオ上院議員等から、最大級の評価が寄せられたことが何よりの証左です。日本の外交スタンスはまず、アメリカと鉄壁な信頼関係を築くこと。そして、アジア各国にとって最も頼りになる存在となること。つまり、右足をアメリカに、左足をアジアにしっかりと据えて、この両者を結び付ける結節点となることです。

TPP交渉は私とフローマン代表との未明までの交渉により、かなりの進展を見、引き続いて行われた事務折衝でさらに展開を見せました。もちろん、まだ解決すべき課題は残されていますが、克服できないものではないと思います。インサイドUSトレードは、15日から始まるCN(首席交渉官)会合の後に、今月下旬にも大筋合意のための12ケ国閣僚会合がグアムで開催されると報じました。まだ確定したわけではありませんが、CN会合で残された課題がかなり処理され、大臣会合で決着がつく段取りが整理されれば、この日程も不可能ではないと思いますが、それにしても、その時までに米国議会でTPA(大統領貿易促進権限法)が、成立していることが必須要件となります。ベストシナリオは、それを構成する要素が遅れる分だけずれ込んでいきます。年内のスケジュールを考えると、残されている時間はそう多くありません。

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衆議院議員〈比例代表 南関東ブロック〉

甘利 明

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