• このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を印刷

国会リポート vol.326(2017年2月14日発行)

 一年ぶりに国会リポートをお届けさせていただきます。昨年は年初より大変なお騒がせとご心配をお掛けし、誠に申し訳ありませんでした。3年間わき目も振らずに大臣としての職務に専念している間に地元事務所で起きた出来事でありました。秘書の監督責任を取るため、そして、国政に停滞を招くわけにはいかないとの判断から、断腸の思いでありましたが大臣を辞任した次第です。なお、当事者の秘書は不起訴となりました。これからもひたむきに国政に取り組み、信頼回復に努めてまいります。


 さて、日本中がハラハラしながら見つめていた日米首脳会談が終わりました。結果は想定以上でした。トランプ大統領自ら「安倍首相とは相性がいい」と述べておられる通り、極めて友好裏に会談は進んだようです。両首脳のフロリダ滞在中に発生した北朝鮮の弾道ミサイル発射という挑発行為に対し、その場で共同記者会見を開催し、「米国は、偉大なる同盟国である日本を100%支える。」とトランプ大統領が発言された点に、全てが象徴をされています。


 一部のマスコミにはトランプ大統領の理不尽さを糾弾すべきだという論調もありましたが、首脳会談は討論会ではありません。トランプ大統領は自身を勝たせてくれた有権者に対して、それに応えるメッセージを送ろうとしている面もあるわけです。大統領は就任したら直ちに4年後を見据えると言われている通りの行動を取っている面もあるということです。その問題意識を共有しつつ、より良いアプローチを提案することが肝要です。頭ごなしに相手の主張を否定してもいい結果には結びつきません。懐深く構えて相手を理解しつつ、ウィンウィンになる、より良いアプローチを提示することが肝要です。そういう視点で会談の成果を見れば、安全保障の面ではかつてないほどに日米関係の強固な絆が確認されました。日米安保条約の尖閣諸島への適用を今回文書で初めて確認し、東シナ海や南シナ海において航行の自由が貫徹されるべく、力の行使や威嚇による、いかなる現状変更の試みにも日米は反対するとの強い意思を改めて確認されました。


 経済分野においては相互補完的な財政・金融及び構造政策という3本の矢のアプローチの重要性を米側と共有できたことは大いなる成果です。また、アジア太平洋地域において知的財産・国有企業・政府調達・電子商取引等の貿易投資に関連する各種ルールやマーケットアクセスを高いレベルのものとしていくことの意味を共有できたことは大きな成果であり、これはTPPが目指す方向とも整合性を持っています。具体的な経済対話は麻生副総理とペンス副大統領の下で進めていきますが、


1)経済政策
2)インフラ投資やエネルギー分野での協力
3)貿易・投資ルール


の3つが柱になります。日米の経済対話を進めていく中で、その成果を他のアジア太平洋地域とどう繋げていくかが今後の課題です。RCEPはASEAN10ヵ国と日本・中国・韓国・インド・オーストラリア・ニュージーランドの枠組みであり、アメリカ抜きの経済連携です。先ほど述べた高い水準のルールや市場アクセスは日米が連携してスタンダードとしていかなければなりません。その意味ではアメリカ抜きということをどう避けていくのか、やはりその先にはTPPという姿がおぼろげに見えてきます。TPPは今後どうあるべきかという質問をよく受けますが、アメリカ以外の11ヵ国が粛々と国内承認手続きを進めていけばいいと思います。11ヵ国が準備を終えればいつでもアメリカを迎えることはできますし、それが叶わなければ、色々な選択肢を考えればいいことです。もとよりTPPは大筋合意後、各国の手続きが取り終わるまでに2年はかかると言われていた条約です。慌てて結論を出す必要はありません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を印刷

衆議院議員〈比例代表 南関東ブロック〉

甘利 明

あまり あきら

甘利明

プロフィールを見る

月別アーカイブ