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国会リポート vol.372(2019年1月8日)

 アメリカの利上げや中国の景気減速予測でニューヨークダウが大幅な下げを記録したかと思えば、翌日には予想を大幅に超える雇用増や米中貿易摩擦解消への期待で大幅反転をしました。日本もそれを受けて株安円高になったかと思えば、先物は大幅に戻すなど世界中の市場が乱高下しています。今年の経済見通しは多くの識者が弱気でいますが、その中で米中貿易摩擦の妥結に期待する声が少なからずあります。市場にとってはいいことであり、私も大いに賛成ですが、米中関係にせよ、日中関係にせよ、表層的な出来事に振り回されず、根本的な事情を理解しながら表層的な事態に対処していくという目が必要です。現在交渉中の米中貿易経済協議が妥結しても、それは部分合意に過ぎず、米中冷戦構造の根本的な解決には至らないことを前提とした長期の経営戦略が産業界には必要です。


  中国はデジタルプラットフォーマーを政権の手足として使い、データ覇権戦略を目論んでおり、一帯一路政策も中国の覇権戦略の一翼を担っているに過ぎないという事実を冷徹に踏まえつつ、現状をどうすべきかを考えるべきなのです。


 最も危機感を抱いているのがアメリカであり、自由と民主主義に基づくデータ取り扱いの公正で透明な国際ルールを構築しない限り、冷戦構造は終結をしません。アメリカの警戒感は安全保障上の危機感に裏打ちされたものである以上、妥協することはありません。


 「中国が軟化しつつある今こそ日中関係改善のチャンス」と主張している識者がいます。それはそれでいいのですが、中国が突然親日的になっているのは戦術上の必要性からだということは冷徹に認識していく必要があります。21世紀の覇権戦略を進めていく上でデータ覇権戦略にせよ、一帯一路政策にせよ、その魂胆が明らかになるにつれて四方八方から批判の声が上がり、四面楚歌になっている中で戦術上、日本を巻き込む必要性があるからです。これは何も中国に限ったことではありません。もちろん、同盟国はそのベースに自由と民主主義があり、法の支配という価値観を共有しています。ですから、これを対中政策と一緒には出来ませんが、基本的に自国の国益戦略があり、それを実現するための戦術政策があるということは政治家である以上、冷静に見極める必要があります。急に或る国にすり寄る必要もなければ、断絶する必要もありません。各国の地政学上の必然性を分析しつつ、その上に立って最善の付き合いをするということがオピニオンリーダーの要件です。マスコミや識者の一部には情緒論に終始し、そうした冷徹で戦略的な思考に欠けている人がしばしば見受けられます。


 英国の外相・首相を務めたパーマストン子爵は「英国にとって永遠の同盟国も永遠の敵国もない。あるのは永遠の国益のみである。」またアメリカのキッシンジャー氏は「国家に真の友人はいない」と述べています。これは各国には地政学上どうしても譲れない原理原則があるということを踏まえた上で外交をしなければ、戦略なき情緒論的外交では予想だにしない結論になるということを過去の戦争の歴史から学ぶべきだということです。それぞれの国益はぶつかり合うという冷徹な認識の上に国際友好のハンドリングをしていく認識がリーダーには必要です。

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衆議院議員〈神奈川県 第13区〉

甘利 明

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