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国会リポート vol.389(2019年9月4日)

 G7が閉幕しました。首脳コミュニケはたった1枚のペーパー。G7開催期間中、G7メンバーに限った会合はごくわずかで、ほとんどの時間は招待国を交えての会合になっていました。トランプ大統領が当初出席に否定的だったと報じられましたが、安倍首相以外のG7メンバーとの折り合いが悪いのに加えてG7メンバー間の会合時間の短さにその意義を感じなかったからかもしれません。主催するマクロン大統領もトランプ大統領に対する苦手意識からかG7メンバーだけの顔合わせ時間を出来るだけ短くしたかったのではとの憶測も飛んでいました。最終的にはまたもや安倍総理の仲介で何とかまとまったようでした。


 G7の重要性とは中国とロシアが入っていない先進国の会議だからという考え方があります。つまり安倍総理が演説の枕詞に使う「自由・民主主義・法の支配という価値観を共有する国々・・・」という集団がG7だからです。自由と民主主義そして法の支配という共通の価値観を共有する国が集まり、そこで作られるルールや目標が世界のルールになり、目指すものになるということがG7の存在意義です。


 先般、ルール形成戦略議員連盟でアメリカの提唱する機微技術に関するサプライチェーンの同盟国間での完結、すなわち中国デカップリング(中国との分離)と対中国市場との棲み分けについて提言を行うことを発表しました。その日の朝刊で日経新聞や読売新聞が報じ、当日はNHKのネットニュースが取材したためかなり話題となりました。日本に限らず、経済界はアメリカとの共同研究に機微技術が関わっていれば、下手に中国とビジネスをすればアメリカの経済圏から追い出されるという不安感を持っています。逆に言えば、中国の市場からは全面撤退しなければならないのかという不安感でもあります。アメリカ市場を取るか中国市場を取るかという二者択一は両方の市場の規模を考えれば取り得ない選択です。アメリカの機微技術を守りながら中国とのビジネスを展開していく、その解を経済界は求めているのです。我々は2点を指摘しています。第一は機微技術の特定です。現状でもアメリカ政府は特定はしていますが、第三分類は広範で解釈によっては際限なく広がる危険性があります。逆に言えば機微でない分野を特定していくというやり方を合わせていく必要性もあります。第二はアメリカ企業と共同事業している部門と同じ社内の別部門とを明確に仕切るファイアウォールの信頼性とそれを担保する設計です。それには同盟国完結のメンバーが関わり、共通の仕様にすることです。そして非ハイテクに位置づけられる事業を日本企業は自ら能動的に定義して米国政府に説明する努力も必要です。それを踏まえた上での中国側の喫緊の課題は2つあります。一つは温暖化に対する対応。二つ目は水の消費に対する対応です。電気自動車が普及するまでには電池やインフラ整備等20年はかかると言われています。その間を超低燃費ガソリン車でカバーするための技術供与と生産体制、さらには水を大量に使用する半導体生産の域外生産協力等棲み分けは可能なはずです。

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衆議院議員〈比例代表 南関東ブロック〉

甘利 明

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