• このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を印刷

国会リポート vol.392(2019年10月17日)

 台風19号の豪雨災害で多くの犠牲者が出ました。心からご冥福とお見舞いを申し上げます。安倍政権、政府与党あげて人命第一の精神の下、復旧作業に全力で取り組んでいます。60年ぶりの超大型台風と報道されましたが温暖化で海水温が上昇している為、毎年あの規模を想定した対処をしなければならないと思います。台風は高い海水温でエネルギーを吸収し肥大していき、陸でそのエネルギーを放出し温帯低気圧となって消えていきます。このシステムからすると、温暖化による影響は小型台風を大型化し、大型台風を巨大化させます。今回、減災化に大きく貢献したものの一つに八ッ場ダムがあります。東京ドームの60杯分の雨水を食い止め、利根川水系の氾濫を防止しました。民主党政権時代に八ッ場ダムを廃止せよという議論が起こりました。自民公明が中心になって冷静に説得し、この事業を進め完成に到りましたが、頓挫していたらと思うとぞっとします。治水にとって大事なのはダムの存在と遊水地です。ラグビーワールドカップは横浜の日産スタジアムで行われ、日本がスコットランドを破り4戦全勝、グループ1位通過で決勝進出という快挙を成しえましたが、近隣を流れる鶴見川の氾濫があったら試合どころではありませんでした。鶴見川の脇には遊水地があり、一定水量を超えるとそこに水が誘導される仕組みになっています。スタジアムの地下にも広大な貯水槽があり豪雨の受け皿になっています。こうして被災地に勇気を与えてくれた、偉大な勝利が実現したわけです。


 


 過去の教訓が減災に貢献したもう一つは、早期の避難でした。NHKが「命を第一に考えて早急な避難を」と、再三呼びかけ、エリアメールは再三の警告を発し、レベル4での避難を呼びかけました。私の選挙区でも避難所に避難してくる人の数は一桁多かったと報告を受けています。今回も犠牲者が出た原因を徹底究明し、次に備えることを行っていかねばなりません。


 社会インフラとして水の供給と共に大切な電気の送電の復旧が遅れています。水没したところ以外は近日中に復旧しますが、電柱の倒壊も問題になっています。菅原経産大臣は電柱を太くすることも対策の一つと言って、抜本策は電線地中化との叱責を一部受けましたが、調べてみると台風の風雨に頻繁にさらされる沖縄では本土より電柱の太さが強化されていると確認しました。地中化は抜本策ですが、復旧をする際には電柱の強化も間違ってはいません。加えて国土強靭化3か年計画は来年の秋に終了しますが、災害の大型化に備えた防災・減災を撤退していくためには、更なる延伸の検討の必要性も出てくるのではないかと思います。


 さてアメリカの大統領選に向けての予備選が民主党内で佳境に入ってきました。バイデン前副大統領の独走でスタートした予備選は、エリザベス・ウォーレン上院議員との拮抗という事態になってきました。第3位のサンダース上院議員が日本で言えば昔の社会党左派とすれば第2位のウォーレン上院議員は社会党右派との立ち位置で、いずれにしても米国民主党では二人とも最左派の存在です。バイデン元副大統領を追い抜きそうな勢いのウォーレン上院議員ですが、民主党左派が大統領選に勝てるとは思われていません。オールアメリカで言えばバイデン元副大統領がトランプ大統領に勝てる可能性のある幅広い支持層を持ちますが、現在の民主党内の多数派はアメリカの多数派とはなり得ないというジレンマです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を印刷

衆議院議員〈比例代表 南関東ブロック〉

甘利 明

あまり あきら

甘利明

プロフィールを見る

月別アーカイブ