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国会リポート vol.395(2019年11月27日)

 韓国がGSOMIAの終了通告を停止致しました。合わせて3品目に関する日本の対韓輸出管理に関しWTOへの提訴の手続も中断しました。輸出管理の日本側対応を理由に挙げてGSOMIAの終了を日本に通告しましたが、江戸の仇を長崎で討つ以上に次元の違う対応でした。GSOMIAは日韓間での軍事機密情報の保護のためのものです。日米・米韓・日韓とトライアングルで2国間情報保護協定を結ぶことによって極東地域の安全保障に関する周辺国の動きが共有され、事態が深刻になる前にそれぞれの国が協力して対処でき、事態を深刻化させないという協定ですから報復として云々というものとは全く次元が異なり、終了させた韓国にとっても極めて不都合な事態になるというものです。


 一方、輸出管理のリスト国制度は、貿易に関し、関連する国際レジームが厳しくその管理を規定している物品に対して安全に輸出入が行われているかが確認できる国について通関の簡便化を図るシステムです。通常の手続き、つまり必要に応じて一品ごとに通関させるか、抜き打ち検査で通関させるか、それとも一括承認で通関させるか、通関システムと運用の適格性に応じて国ごとに取り扱いが分かれます。


 いわゆるホワイト国はアジアでは韓国にのみ認めていた制度で、シンガポールにもタイにも中国にも認めておりません。特別扱いのホワイト国の位置づけには各国とも定期的に貿易管理システムの確認やアップデートのための政策対話が必要とされています。この3年間ホワイト国を維持するために必要な政策対話を何度韓国に呼びかけても拒否をされてきました。最後は、ようやく応ずると思ったらドタキャンをされてしまいました。3年間話し合いを拒否されるということは特別扱い国の前提が失われることになります。そこでやむなく日本は韓国を一般国扱いに戻したのです。つまり日本が仕掛けたわけではありません。韓国がホワイト国扱いを受けるために必要な作業を拒否したからなのです。それと防衛機密を共有して、極東の軍事的異変に日米韓が対処するというものとは全く別次元のものです。


 GSOMIAの終了通告についてはアメリカが激怒しました。北朝鮮のミサイル実験の頻発など極東の不安定要因は増加しています。合わせて中国の南シナ海での軍事的覇権行動は、日米のみならず周辺のASEAN諸国の不安を増大させています。こういう不測のリスクが高まる中で自らが引き起こした輸出管理の取り扱いの変更に対する「報復」として安全保障の措置を破棄するという行為自体、常軌を逸した行動です。アメリカにこれ以上なく強く警告をされ思いとどまったようですが、良識ある韓国国民には事態の本質を理解してもらいたいものです。


 輸出管理については話し合いが始まるようです。できるだけ迅速に局長級対話の再開をし、輸出管理の体制や運用の確認や必要なアップデートを行い、輸出管理に不安のない状況を作り出せばその先にホワイト国復帰も見えてくるはずです。説明すれば小学生でもGSOMIAと輸出管理の次元の違いを理解できると思います。現地の報道では日本の支援のおかげで韓国の今日があると叫んでいるお年寄りもいました。確かに日韓請求権協定で支払われた当時の5億ドルは韓国の経済成長に寄与しました。彼らが肩身の狭い思いをしないよう、お隣の国同士胸襟を開いて話し合うベースを作りたいものです。政権の支持率を上げる為に反日政策をという魔法のカードが効力をなくすよう日本側が微動だにしない心構えが必要です。駄々をこねれば最後はいう事を聞く日本を返上することが何より必要です。

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衆議院議員〈比例代表 南関東ブロック〉

甘利 明

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