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国会リポート vol.402(2020年3月9日)

 カリフォルニア沖に停泊中の大型クルーズ船から新型コロナウイルスの罹患者が発生し、一人が亡くなりました。横浜港のクルーズ船と同会社の船だということです。今度は米国が対応に苦慮しています。日本のクルーズ船での対応が適切であったとの評価のもと、詳細な対処経緯の問い合わせが来ています。各国とも外国からの入国者の制限や罹患者の隔離に苦慮しています。タイでは発生国からの入国の全面拒否をかけましたが現行法上できないということがわかり、慌てて部分的対応に変更しました。アメリカがいきなり中国からの渡航の全面禁止をかけましたが、大統領令は緊急事態に万能のようです。入国制限やウイルス検査や隔離の問題は基本的人権の制約とも受け取られる案件ですので、どの法律を使えばどこまでできるのか、できない部分はどういう立法措置が必要なのか、安倍総理は連日ギリギリの判断の中で対処をしています。


 感染力はインフルエンザとほぼ同等、致死率はインフルエンザより若干上と専門家から報道されています。インフルエンザプラスアルファその範囲であればパニックに陥る必要は全くありません。ただ不安を助長しているのは根本治療薬が開発中ということです。製薬メーカーからは試作は完成。製品化まで9ヶ月という報道もあります。ウイルス検査は1日4,000件まで可能となりました。罹患国で最大だと思われます。検査も健康保険適用対象になりました。安倍総理を中心に政府は最良の対処を目指して奮闘しています。


 WHO(世界保健機関)の事務総長が中国を擁護し、他国を批判しているとも受け取られる発言が続出しています。原因国の発生原因に対処しなければ第2、第3のコロナウイルスの可能性は出てきます。SARSが中国から発生した時もウイルス媒体の野生動物を食する食習慣が原因と言われました。コウモリやハクビシン、そしてネズミ類等ウイルス媒体と指摘されているものは禁止ガイドラインを作らねばこの種の事件を絶やすことは出来ません。WHOは中国を擁護する前に抜本原因に言及しなければ存在意義が問われます。日本ではイノシシや鹿など一般的食肉対象の野生動物、いわゆるジビエを捕獲・食する際にも保健衛生上の厳しい措置をかけています。WHOが率先してウイルス媒体の危険防止へのルールを作らねば抜本解決には繋がりません。


 今回の事態が景気の後退に与える影響が深刻になっています。東日本大震災と比べ、リーマンショックの方が経済的打撃が圧倒的に高かったのは経済被害のエリアが全世界に渡ったからです。新型コロナウイルスは世界全体の経済活動にブレーキを掛けています。世界中が協力をし、一刻も早く封じ込めなければなりません。同時に今年度と来年度の予備費をフル活用し、あらゆる対処をしていかなければなりません。春には強力な経済対策の補正も必要になってくると思います。補正の必要性があるなら本予算を作り直せという議論はありますが、作業のやり直しよりも出来ているものから迅速に発動する実施のスピード感が何より重要です。病気を封じ込めるという視点と、落ち込んだ経済を引き上げることの二層構造が必要です。後者にあってはリーマンショックの時の経済対策を検証し、何が効果があり、何が効果がなかったか、足らざる政策は何であったかしっかり検証して財政・金融政策のコストパフォーマンスを最大限に検証すべきです。

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衆議院議員〈比例代表 南関東ブロック〉

甘利 明

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