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国会リポート vol.410(2020年8月6日)

 香港国家安全維持法の内容が世界に激震を与えています。報道の通りだとすれば、中国政府を貶める言動(その判断は中国全人代常務委員会が独占的に行う)をした者は香港人であろうと世界中どこにいる外国人だろうと訴追すると云う驚天動地の内容だからです。


 分かり易く言えば中国を貶める言動と常務委員会が判断すれば例え何処かの大統領だろうと身柄引き渡し要求をすると云うものです。 この法律は過去に遡及しないとうたいながら次々と民主運動家を逮捕しています。世界中のジャーナリスト、マスコミ、政治家、人権運動家を黙らせる法律と報じられています。1998年香港が宗主国イギリスから返還される際、中国は向こう50年間は外交権と国防権を除き香港に高度な自治を認めると云う一国二制度の協定をイギリスと結びました。50年間の半分も行かない内に息をするのも許可を取れと言わんばかりの内容に強制的に変えた訳です。


 アメリカは中国の経済発展を支援し、中国が豊かになれば世界に貢献する民主国家になると信じ対応を取って来ましたが見事に裏切られたと言うことです。日本も引っ越しが出来ない隣組として中国の近代化に貢献して来ましたが徒労に終わろうとしています。中国人一人一人と面会すれば立派な人格者もいるのに「政府」が入ると途端に口をつぐんでしまうのは独裁国家の常ですが、これだけ内外に独裁的手法を包み隠さずあからさまにすることで世界覇権を行おうと思う事が驚愕です。監視カメラと位置情報と顔認証とAI分析、公安の情報化である金盾(きんじゅん)システムで国家監視社会モデルを築きこれをデジタル一帯一路に組み込んで行く、そして一帯一路参加国のデータは全て中国に集まる。デジタル技術の負の側面です。


 日本学術会議は防衛省予算を使った研究開発には参加を禁じていますが、中国の「外国人研究者ヘッドハンティングプラン」である「千人計画」には積極的に協力しています。他国の研究者を高額な年俸(報道によれば生活費と併せ年収8,000万円!)で招聘し、研究者の経験知識を含めた研究成果を全て吐き出させるプランでその外国人研究者の本国のラボまでそっくり再現させているようです。そして研究者には千人計画への参加を厳秘にする事を条件付けています。中国はかつての、研究の「軍民共同」から現在の「軍民融合」へと関係を深化させています。つまり民間学者の研究は人民解放軍の軍事研究と一体であると云う宣言です。軍事研究には与しないという学術会議の方針は一国二制度なんでしょうか。そもそも民生を豊かにしたインターネットが軍事研究からの出自に象徴されるように、機微技術は現在では民生と軍事の線引きは不可能です。更に言えば、各国の学術会議は時の政府にシンクタンクとして都度適切なアドバイスをしています。評価されたドイツのメルケル首相の会見もドイツアカデミーの適切な助言によるものと言われています。学術会議には日本の英知としての役割が期待されます。政権の為ではなく国家の為にです。 さて、中国バイトダンス社の動画サービス「TikTok」をトランプ大統領は使用禁止にする宣言をしました。個人情報が中国に抜かれているという警鐘です。同アプリには無断で個人情報を転送する隠し機能や意図的に作り込まれたと思われる脆弱性などが存在し、顔認識情報や位置情報も収集され続けていると警鐘が鳴らされています。データが盗まれる、個人認証が盗まれればなりすましのリスクが発生します。しかし、何より恐ろしいのはフェイク動画でその国の民意を操作できることです。

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衆議院議員〈比例代表 南関東ブロック〉

甘利 明

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