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国会リポート vol.418(2021年1月29日)

 「本来、日本はワクチンを供給される側でなく、供給する側に回っていなければならない」私の思いです。新薬を創薬する能力は世界でもアメリカと日本、そして一部の欧州国に限られています。その日本がワクチンを供給される立場にあることは忸怩たる思いです。ワクチンは言わば予防薬です。ウイルスを不活化し、希釈したものを投与し抗体を作る方法とウイルスのDNAを採取して投与する方法があるようですが、いずれも抗体を作り防御力を高めるものです。ワクチンの迅速な接種には、マイナンバー活用が必須です。いつ、どこで、誰が何のワクチンを接種したかを正確に把握できないと事故が起こる危険性があります。又、副反応の対処にもマイナンバー活用は有効です。更にはワクチンと並行して開発が待たれるのは根本治療薬です。アビガンやレムデシベル等効能が認められる薬はありますが、抜本的な治療薬とはなり得ていません。


 スーパーコンピュータ京の後継機としてその100倍の能力がある富岳が開発され、現存する2,000種の治療薬候補をあっという間に解析し、その能力分布が点描図で示されたのは数か月前です。そこからどういう結論が見いだされたのか未だ知らされておりません。咳がウイルスを飛散させるシミュレーションは富岳のコロナ対策への貢献と報じられましたが、その程度のものは富岳の能力の何十分の一でしかないと思うのは私だけではないと思います。スーパーコンピュータ推進議員連盟の会長として富岳にはコロナの根本治療薬への貢献を心から期待をしています。


 知人が罹患したり亡くなったり、周辺で発症する経験を持つ人がほとんどになってきました。国会議員は9人目の罹患者が出ました。衆参議員数は合わせて700名ですから罹患率は全国平均より高くなっています。政策策定でのやり取りや陳情の処理、そして政策議論の会議等電子化やソーシャルディスタンスで対応していますが、面談必要回数は激減しているとはいえ他の職業の比ではありません。私に関して言えば予備のマスクと消毒スプレーを携帯し、外から帰るたびに手の消毒は励行していますが、それでも完全というわけにはいきません。ただ罹患例を分析すればマスクを外して対面する場面、すなわちソーシャルディスタンスを取らず、アクリル板等防御設備のないところでの会食が罹患リスクが高いように思われます。入店の際、検温と消毒をし、ソーシャルディスタンスのテーブル配置やアクリル板での遮断等防疫にしっかり配慮している店が無対処の店と同列に扱われるのは何とか避けたいものです。


 野党が令和2年度の補正予算にGoToキャンペーン等の経済対策が入っているのはおかしい、その分もコロナ対策に振り向けるべきだと政府を糾弾しています。コロナにせよ、失業にせよ、可能な限り死者を出さないことが至上命題です。補正予算は年度内に執行することを前提としていますから3月31日までに使うというのが基本です。しかしコロナの鎮静化をにらみながら年度内にGoToキャンペーン予算を使い切らなければだめかと言えばそうではありません。過去にも15ヶ月予算、つまり補正の1月、2月、3月と新年度予算の4月からの12ヶ月をシームレスな執行として15ヶ月予算という予算の組み方は過去にも何度もあります。その際予算執行の越年度処理をしていく処置は対処方途の一つです。コロナでも経済でも死者を出さない。アクセルとブレーキの両方に足を置き、コロナと経済の微妙なハンドリングが政府には求められます。

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衆議院議員〈比例代表 南関東ブロック〉

甘利 明

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