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国会リポート vol.421(2021年3月25日)

 LINEの個人情報が韓国のデータセンターで管理され、中国の技術者もLINE利用者の個人データを閲覧できる状態になっていることが発覚しました。LINEについてはその出自(韓国発)もあり、海外に個人情報が送られているのではという危惧は以前から指摘されていました。LINE側は信頼性に一切の心配はないと主張していましたが、それが詭弁であったわけです。ここで誤ってはならないのは、だからといって国産初のプラットフォーマーを目指すヤフーLINE連合は使わないようにしようという判断は拙速です。そもそもヤフーがLINEを買収し、連合体のホールディングカンパニーとしてZホールディングスが日本初のプラットフォーマーを目指すと宣言し、スタートにあたって、デューデリジェンスつまりリスクの洗い出しをかけたおかげで問題点が発覚したわけです。Zホールディングスからすぐに連絡があり、衝撃を受けましたが直ちに信頼構築の為の措置を取ります。と話がありました。


 ①直ちに中国からのアクセスを止める。運用・開発を全面的に国内回帰する


 ②韓国のデータセンターはすぐにというわけにはいかないが、一定の期間内に日本に引き上げる


 ③個人情報の海外移転の承諾項目はきちんと信頼性のある対応にする


というものでした。


以前、合併をするにあたって取材を受けたときに、私からZホールディングスに3点をお話ししました。


 ①日本から初めてのプラットフォームを作るという志には大いに期待する


 ②プラットフォーマーになるということは、私企業から公共財になるという意識を持ってほしい


 ③日本のプラットフォーマーを宣言する以上、合併会社のホールディングカンパニーであるZホールディングスは常に国益を意識してほしい


というものでした。事件発覚後、Zホールディングスの担当責任者はそのことを肝に銘じて抜本的改善に取り組んでいきますということでした。今回の事件は衝撃を与えましたが、日本初のプラットフォーマーとしていい試練になったと捉えるべきだと思います。


 個人情報保護の法的担保に関しては、EUのGDPRが一番厳密で、日本の個人情報保護法はそれに準ずると言われています。アメリカの対応が未整備と言われますが、日米欧が共通のルールを持つことが世界のデジタルトランスフォーメーションの国際標準を作るうえで極めて重要です。来年、施行される改正個人情報保護法では、個人情報の海外移転に国外とだけ表示していたものから、移転先国名を書かなければならないようになります。併せて、EUのGDPRと日本の個人情報保護法の間の差異は、本人同意をとるか契約を交わすと共通していますが、EUの方式では裁判事案に発展することを踏まえ、契約のほうを強調しています。日米欧で基準を揃えることに加え、承諾をしなければ使えないというこの種のやり方に、承諾をしなくてもアプリが使えるというオプトアウト選択も入れた3択にすべきだと思います。


 先般、Webでの日米ラウンドテーブルで基調講演を依頼されました。世界的なDX革命における米中覇権争いの行方と日本の役割を簡潔にわかりやすく説明致しました。台湾有事を制御していくための米国の東アジアにおけるプレゼンス、そのプレゼンスを正当化するためのTPPの存在。TPPで日米が作り上げた貿易・投資・知財・データ等のルールの国際標準化等々。当日はアメリカ側メンバーの一人にかつてUSTRの次席代表代行であったウェンディ・カトラー氏も参加していたためTPPにも言及致しました。

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衆議院議員〈比例代表 南関東ブロック〉

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