「年収の壁」見直しと社会保険料の負担軽減について
「維新が自分たちの政策を通すために、“年収の壁見直し”という国民のための政策を潰した」という批判があります。しかし、実際の制度内容を見てみると、その批判は本質を捉えていないと感じています。
たとえば、現在の「年収の壁」見直しでは、確かに年収106万円を超えても一時的に手取りが1万円程度増える仕組みが用意されています。しかし、その裏には社会保険への加入義務がセットになっており、長期的には保険料の負担が重くのしかかってきます。結果として、多くの方が「働いたのに手取りが減った」と感じる制度になっているのが現状です。
私はいち地方議員の立場から、こうした実態をどうすればもっと分かりやすく伝えられるか、考えてきました。「年収の壁」の見直しそのものはもちろん大切ですが、それ以上に必要なのは、根本的な負担軽減です。私たち日本維新の会が主張している「社会保険料の軽減」こそが、多くの働く方々、とくに国民民主党を支持される方々が求めている政策ではないでしょうか。
教育の無償化、そして社会保険料の軽減は、日本維新の会が結党以来、最も重視してきた政策の柱です。現在も国会で、維新・自民・公明の三党間で議論が進んでおり、一定の合意も得られつつあります。これが実現すれば、全国的に社会保険料の負担が軽くなり、短期的ではなく長期的に安定した「手取りの増加」につながります。
単に“壁”を取り払うのではなく、働いた分だけ確実に報われる社会をつくる――そのための改革を、私たちは地に足をつけて進めています。制度の矛盾や現場の声を無視したままの表面的な政策ではなく、暮らしの実態に即した本質的な見直しが、いま求められていると私は考えています。
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「106万円の壁」撤廃は有名無実に
いわゆる「106万円の壁」とは、パートやアルバイトなどで働く人が年収106万円を超えると、一定の条件を満たす場合に社会保険の加入が義務付けられる制度です。対象となるのは、週20時間以上勤務、従業員51人以上の事業所で働く非学生など。社会保険料の負担が発生することで手取りが減り、「これ以上働かないようにする」という就労調整が生じてきました。
政府は今後、事業所の規模に関係なく、週20時間以上働く全ての非学生に社会保険加入を義務づける方向で制度を見直しています。しかし、これにより労働者の手取りは1割程度減り、企業側の人件費は2割ほど増えるという試算もあり、現場では不安が広がっています。
「壁撤廃」の名ばかり改革
最低賃金が上昇する中で、「106万円の壁」を意識せざるを得ない状況は変わらず、むしろ形骸化しています。政府は「壁の撤廃」と言いつつ、実際には就労抑制の行動が継続される懸念が強まっています。
加えて、所得税や配偶者控除に関する「103万円・130万円の壁」は緩和される方向で進んでいる一方で、社会保険の適用範囲は拡大されています。その結果、働けば働くほど手取りが減るという、制度上の矛盾が生じています。
税制(103万・130万円の壁)は緩和へ、社会保険制度(106万円の壁)は拡大へと、それぞれ逆方向に動いており、家庭の負担はむしろ増しています。制度の方向性が統一されていないことが、生活者の不安を招いているのです。
維新の改革と次のステージ
日本維新の会は、社会保険料の負担軽減に向けた改革を提案しています。公的医療保険制度の見直しや病床数の適正化などにより、社会保険料を含む国民全体の負担を軽減する構想です。すでに国会では、自民党・公明党・維新の3党で一定の合意が成立しており、「次は地方自治体・神奈川県での実現」です。
真の手取り増へ
私が県議会に初当選したのは2011年、減税日本の推薦を受けてのことでした。当時の初心を忘れず、皆さまとのお約束を今こそ実現していきます。名ばかりの「壁撤廃」ではなく、働く人々の実質的な手取りを確実に増やす制度改革を、県政の場からしっかりと進めてまいります。
以上
神奈川県議会議員 さとう知一
※ 私の稚拙な文章ですが、維新支持者もそうでない方にも、一度読んで頂きたい。と思います。
先の土曜日、大学弁論部の10人の学生弁士による弁論を聴いているうちに、私も少し触発されました。文字数は2000文字。長文ですが、お許しください。
2025年06月09日 22:59