神奈川県議会 文化スポーツ観光常任委員会 県外調査(北海道網走市・北見市)3日目最終日/網走市役所・網走市議会・一般社団法人網走市観光協会・地域DMO/道の駅「流氷街道網走」/オホーツク流氷館のある天都山展望台/
「観光を地域経済の柱に」――網走市の観光振興を調査
北海道での県議会・文化スポーツ観光常任委員会の県外調査、最終日です。本日は、網走市役所・網走市議会と一般社団法人網走市観光協会を訪問し、地域と連携した観光振興について調査しました。網走市議会議場をお借りし、松浦敏司議長からご挨拶をいただいた後、網走市観光商工部観光課と(一社)網走市観光協会から、それぞれの取り組みについてご説明いただきました。
その後、網走市観光協会が地域DMOとして観光地域づくりを担う中核施設の一つ、道の駅「流氷街道網走」を視察しました。厚木市と網走市は友好都市の関係にあり、私も厚木市議会議員時代から、松浦議長や平賀貴幸議員(前議長)と交流を重ねてきました。本日も松浦議長とご挨拶することができ、自治体間交流の大切さを改めて感じました。
観光を地域経済の柱に
網走市では、観光を地域経済を支える重要な産業の一つに位置づけ、「網走市観光振興計画」に基づいて観光地域づくりを進めています。特に印象に残ったのは、行政だけで観光を進めるのではなく、観光協会、地域の事業者、農業・漁業関係者、宿泊・飲食事業者など、地域全体を巻き込んで取り組んでいる点です。網走市観光協会は地域DMOとして、観光関係者の合意形成やマーケティング、観光資源の磨き上げ、情報発信など、地域の観光をつなぐ役割を担っています。その一つの拠点が、道の駅「流氷街道網走」です。観光情報を発信するだけでなく、オホーツクの特産品や農水産加工品を販売し、冬には流氷観光砕氷船「おーろら」の発着場にもなっています。単なる「道の駅」ではなく、観光情報、食、物産、人をつなぐ地域の観光拠点として機能しています。
食と酒を観光資源に
その後、オホーツク流氷館のある天都山展望台を視察しました。今回は流氷館には入館せず、周辺の状況を確認しましたが、目の前には上川大雪酒造の新しい酒蔵「北緯44度」があります。網走の緯度にちなんだ名称で、2026年12月には、この新蔵で造られる最初の日本酒の発売が予定されています。酒造りそのものを地域の新たな観光資源として育てていく取り組みとしても注目されます。
また、第一次産業との連携にも力を入れ、地域の農産物や水産物などを生かした「ガストロノミーツーリズム」にも取り組んでいます。観光地を訪れてもらうだけではなく、「何を食べてもらうか」「どこに泊まってもらうか」「地域で何を体験してもらうか」までを一体的に考える。観光を地域経済につなげるうえで、非常に重要な視点です。
「見たくなる」観光プロモーション
さらに、今回の調査で印象的だったのが、YouTubeなどを活用した観光プロモーションです。網走市では、デジタル技術を活用した観光プロモーションを継続しており、観光PR動画の配信だけでなく、広告の閲覧状況やアクセス経路などを分析するデジタルマーケティングにも取り組んでいます。「行政が情報を発信する」のではなく、「思わず見たくなるコンテンツをつくり、網走を知らない人にも届ける」。こうした発想は、これからの観光振興を考えるうえで重要です。
観光客に「どこを見るか」だけではなく、「何を食べるか」「誰と出会うか」「地域で何を体験するか」まで含めて、地域全体の価値として届けていく。これは、神奈川県の観光振興を考えるうえでも重要な視点です。
宮ヶ瀬湖の地域DMOにも活かす
そして、こうした地域DMOの取り組みは、私の地元・宮ヶ瀬湖周辺でも、すでに長年にわたって進められています。公益財団法人宮ヶ瀬ダム周辺振興財団は平成4年に設立され、宮ヶ瀬湖周辺の地域振興に取り組んできました。平成29年5月には日本版DMO候補法人として登録され、その後、観光庁によるDMO法人登録へと進んでいます。現在は「地域連携DMO」として、宮ヶ瀬湖周辺地域の観光地域づくりを担っています。
宮ヶ瀬湖は、清川村、愛川町、相模原市にまたがる広域的な観光資源です。湖やダムだけではありません。豊かな自然、食、アクティビティ、地域文化などをつなぎ、周辺地域全体の魅力として発信していくことが重要です。そのためにも、網走市のように、地域DMOを核として地域の事業者や第一次産業などを巻き込みながら、観光客を呼び込むだけでなく、地域で消費してもらい、地域経済につなげていく視点が欠かせません。
また、YouTubeやSNSなどのデジタル媒体を活用し、「行ってみたい」「食べてみたい」「体験してみたい」と思ってもらえる情報発信を強化することも重要です。今回の網走市での調査は、宮ヶ瀬湖周辺で長年積み重ねてきた地域DMOの取り組みを、さらに発展させていくうえでも、多くの示唆を与えてくれました。
3日間の調査を県政に生かす
今回の3日間の調査では、網走監獄における歴史資産の活用、オホーツク地域の広域観光、北見市の「笑い」を生かした文化振興、カーリングを中心としたスポーツ振興、そして網走市における地域DMOと第一次産業を巻き込んだ観光振興について、現地でお話を伺いました。文化、スポーツ、観光は、それぞれが単独で存在するものではありません。歴史や文化を観光につなげ、スポーツを地域の魅力につなげ、食や第一次産業を観光資源として磨き上げる。そして、その取り組みを行政だけではなく、地域の皆さんや民間事業者とともにつくっていく。
神奈川県にも、箱根、鎌倉、湘南、丹沢をはじめ、豊かな自然、歴史、文化、食、スポーツなど、多様な地域資源があります。今回の北海道での調査で得た「現場の知恵」を、神奈川県全体の文化・スポーツ・観光政策にどう生かしていくのか。そして、私の地元・宮ヶ瀬湖周辺のDMOを、地域経済の活性化にどうつなげ、さらに発展させていくのか。県議会議員として、今後の委員会審査や県政活動にしっかりと生かしてまいります。3日間の調査にご協力いただいた関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。

2026年08月19日 16:48