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国会リポート vol.321(2015年11月4日)

TPP交渉から帰って2週間後、懸案であった数カ国を訪問してきました。ITとマイナンバーの最先進国エストニア、万博開催中のイタリア、そして再三の訪問要請を受けていたアゼルバイジャンです。来年1月からのマイナンバー制度の施行を前に、もっともこのシステムを活用しているエストニアを視察することは関係者から強く勧められていました。ロイバス首相を始め各閣僚、そして政府CIO等々と突っ込んだ話し合いを行いました。EUでミスターITの称号を与えられているコトカ次官補は、エストニアの個人番号システムの説明を始めるや、自分の個人番号をホワイトボードに書き出し、これが私の個人番号ですと説明を始めました。日本では個人番号は人に教えてはいけないと説明しているのに、何でそんなリスキーなことをするんですかと尋ねると、マイナンバーを知ったところでカードがなければ何にも出来ませんし、仮にカードを手に入れてもPINコードを知らなければ使いようがありません、と。何でそんな質問をするの?と言った感じ。エストニアでは税申告を始め、あらゆる行政手続、銀行口座、診療薬剤処方手続き等、およそありとあらゆることがカード1枚で電子処理されます。


 


「日本ではテレビタレントが銀行口座を覗かれるということを一番心配していますが。」「今だって税務当局は必要があれば覗けるんですよ。日本も同じでしょ。アナログシステムでは覗いた痕跡が残らないけど、マイナンバーシステムでは覗く際に自分のマイナンバーカードを使わなければアクセス出来ないので、誰が覗いたか、覗かれた本人のポータルサイトに記録が残るんですよ。権限や必要性がないのに覗いたものは責任を取らされますから。現に患者のカルテを部外者の医者が興味本位で覗いてクビになってますから。今までの仕組みでは誰が覗いているか記録が残りませんからね。」だから平気でマイナンバーを公開しているようです。ロイバス首相と会談後、首相からエストニア国における私のマイナンバーカードを渡されました。カードリーダーと合わせてプレゼントされ、「これで甘利大臣はエストニア国内で起業手続きも出来ますよ。」ということでした。


 


イタリアでは外国投資家を集めたセミナーでアベノミクスの講演を要請されました。同時通訳で40分ほど講演すると矢継ぎ早の質問です。アベノミクスへの関心はまだまだ高いようです。ミラノでの万国博覧会は人また人。日本館は一番人気で何と入場9時間待ち。一日の大部分を並んでいるだけで費やしてしまう長い列に、忍耐強く並んでいるイタリア人の姿を再確認致しました。


 


アゼルバイジャンはアリエフ大統領、アサドフ国会議長、シャリホフ副首相を始めとする閣僚等多数と忙しく会談をしてきました。産油国アゼルバイジャンは油価が下がっていることもあり、エネルギー産業以外の産業振興に懸命に取り組んでいます。最新の化学工業団地の造成にも取り組み、海外からの投資を誘致中です。


 


各国首脳や閣僚との会談で提起された課題はその日のうちに本国に連絡をとり、現状報告を翌日にはいたしました。回答できないものは、帰国後、検討次第返答する旨を伝えました。言いっぱなし、聞きっぱなしにしないということが、外交上の信頼関係の基本です。

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衆議院議員〈比例代表 南関東ブロック〉

甘利 明

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