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国会リポート vol.353(2018年4月9日)

 「佐川前局長は再三再四証言を拒否した」と一部の新聞やテレビは報じました。マスコミの印象操作といわれる所以はこの辺にあるのではないかと危惧します。参考人と異なり、偽証すれば罪に問われる証人喚問の席で佐川前局長は書き換えに関し、第三者の関与は全くなかったと明確に証言をしました。つまりそれは、書き換えは局内で行われましたと証言をしているのです。そして、佐川氏自身の罪状にかかわる書き換えという行為が公文書偽造罪等に当たるか否かについては捜査中なので、それに影響を与える発言は慎ませて頂くという説明は被疑者としては当然のことです。書き換える前と書き換えた後で、その主旨が変えられたという評価は全くありませんし、中身が変わらない書き換えは公文書偽造罪に当たるのかどうかすら怪しいと専門家は論評しています。


 だとすれば政治が果たすべき課題は、決裁済みの文書の書き換えが正当な手続きを無視して行われることのないように、「再発防止策」を図ることです。 


 証人喚問を要求しておきながら自分にとって都合のいい証言が得られない場合は、証人喚問の権威を否定するということでは、証人喚問そのものが存在意義を失います。また詐欺容疑で拘束されている籠池被告に接見し、彼の保身発言をまるで証拠発言のように取り扱うのは危険な行為です。良識ある人間ならそう思うはずです。詐欺罪の被告の自己保身の発言をもって、善良な市民の発言を疑問視するというようなことはあってはならないことです。 


 G7でドイツのメルケル首相は、「酷いことに私は年間15日間も国会に答弁で拘束されている」と嘆いたそうですが、安倍総理なら「なんと羨ましい」と思うことでしょう。森友学園問題をないがしろでもいいとは言いませんが、せめて重要課題を同時進行で進めていくべきです。そうでなければ、国政は大停滞を起こします。森友問題が全てで、北朝鮮の核もミサイルも中国の覇権主義も全て置き去りでは何のための国会かと良識ある人は嘆いています。 


 今月中旬、総理が訪米し、首脳会談が行われます。安倍・トランプ蜜月関係の中でも、かつてないシビアな首脳会談になりそうです。韓国は制裁関税を回避する代わりに、それを上回る輸出自主規制を飲まされました。加えて、アメリカの車が韓国の安全基準に関わりなく輸出できる枠は実質的に青天井となり、更には最大の懸念は為替条項を飲まされたことです。また、EUやカナダやメキシコは交渉中の通商協定を理由とし、その中でアメリカの望むディール(取り引き)ができなければ、いつでも発動するというブラフにされてしまっています。制裁を免れた国は勝ち組で、日本は負け組のような脳天気な報道をしているマスコミは自分の軽薄さを恥じるべきです。 


 日米交渉の際、こちら側の一方的譲歩でなく米側からも拘束力のある交換譲歩を引き出すためには、日米FTA交渉をしなければなりません。TPP12における日米間の合意の枠内であれば、という考え方もありますが、一方、FTAで片が付いてしまうと米国がTPPに復帰する可能性はますます遠のきます。 


 貿易戦争を起こしかねないトランプ大統領の行動は11月の中間選挙に向けての選挙対策アピールが主眼と言われています。それにしても半年以上先の出来事に今から照準を合わせているのでは、混乱は着地点を見失う恐れがあります。 


 米国・中国・ロシア・韓国・北朝鮮、世界の5大リスクと言われる状況の中でハンドリングできる首脳は安倍総理というのが世界の識者の大勢です。

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衆議院議員〈比例代表 南関東ブロック〉

甘利 明

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