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国会リポート vol.400(2020年2月10日)

 新型肺炎コロナウィルスが猛威をふるっています。中心地の武漢市の罹患致死率は4%と言われていますが、その武漢市のある湖北省以外の致死率は0.1%、インフルエンザと同等と報じられています。つまり、伝染力はインフルエンザより強いが致死率は同等と言うことになります。とすればパニックになる必要はなく「正しく恐れる」ことが必要です。空気感染ではなく飛沫感染なので、人混みではマスクをつけ「手で顔を触らない」「顔を触る時にはその前に手を洗う」ことが肝要というのが専門家のアドバイスです。でも自分を含めていつの間にか、顔に触れていますよね。今迄に亡くなっている人は体力のない高齢者か合併症を起こしている人が大層です。日本はまさかの時の医療体制もどこより整っています。先ずはしっかり食べて良く寝て体力を養うことが普段からやるべき予防法と言えます。


 アメリカの経団連とも言われる全米ビジネスラウンドテーブルがマルチステークホルダー論を主張し始めました。会社は株主のものと言う株主資本主義から、会社は従業員や取り引き先、地域社会を含めた公益的存在と言い始めたのです。驚くべきは株主の記述が最後になっている事です。株主のみがステークホルダーと言う理論から、会社と関わる関係者すべてと言うマルチステークホルダー論に「革命的変革」を起こしている事です。7年前、第二次安倍内閣ができた時に学識者の原丈人氏が公益資本主義なるものを安倍内閣に進言してきました。原氏はアメリカでの生活から過度な株主資本主義が資本主義経済を毀損しているという主張で、会社はその会社の存立基盤となる従業員や取り引き先、納入事業者、地域社会との関わりを株主と同等に配慮するべきであると言う理屈でした。安倍内閣においてもその議論をし、株主は大事だが株主以外のその会社と関わる存在も同等に重要と言う議論をいたしました。当時はアメリカ発の株主資本主義が猛威を振るっており、その考えのもとにコーポレートガバナンスが叫ばれていました。会社を執行する役員とその執行を統治する取締役会、そしてその取締役会を社外の目から監督する社外取締役の設置。それは社外取締役の取り合いとなって、新たな問題を提起してきました。外国の社外取締役の中には資産を切り売りし、借金をしてでも自社株買いを行って、一株当たりの価値を上げろと一点張りの社外取締役も多く見られました。四半期ごとの利益を追求し、企業経営は短期的視点に陥ってきました。そこでスチュアードシップコード、つまり、あらまほしき株主像という視点を同列にいたしました。つまり長期的に企業価値をあげることが取締役の使命で企業経営が短期視眼的経営に陥らないことです。


 この時期にアメリカの100年以上にわたって存続をしている企業に共通する哲学とはという調査が行われました。その結果、共通する視点はひとつ。会社経営は世の為人の為という哲学の企業が生き延びるという結論でした。アメリカの資本家の視線を受け止めつつ微妙に調整していく作業が行われてきました。そのアメリカ経団連から日本の取り組んできた考え方が真っ向から主張されてきたのは驚きです。トランプ大統領も作業ばかりが大変で短期視眼に陥りやすい四半期開示をやめろという主張が出ているのはその動機がなんであれ驚きの一言です。ユニコーンの中にはあえて上場しないと言う発想も出てきております。それはひたすら短期的に還元せよと言うアクティビストの影響を受けずに長期的視点で企業価値を大きくしたいと言う経営者の意思表示のようです。

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衆議院議員〈比例代表 南関東ブロック〉

甘利 明

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