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消費税は「間接税」ではない。インボイスの闇。

本日、総務常任委員会にて陳情審査が行われ、「地方財政の充実強化を求める意見書を国に提出することを求める陳情」および「消費税インボイス制度の実施延期を求める陳情」をそれぞれ審査いたしました。私は委員長の立場なので、採否に加われませんでしたが、インボイス制度についての考察を以下に述べたいと思います。

直接税は、文字通り納税者が直接税金を納めるものです。一方、消費税については、その導入当初から「間接税」として理解してきました。その理解は次のような説明から来ています。

コンビニで110円のおにぎりを買った場合、その中に含まれる10円の消費税は、お店が税務署に納めるものです。つまり、納税者と税金を収める人が異なります。これが間接税とされる理由です。

しかし、「消費税は間接税である」という理解については、深い闇が存在すると言われています。その核心に迫るために、もう一度、コンビニでおにぎりを買う状況を考察します。

コンビニが税務署に納める消費税は、消費税10円と仕入れにかかった支払い消費税の差額です。仮におにぎりの仕入れ価格が88円(消費税8円)だとすると、お店が税務署に納める消費税は10円-8円=2円になります。

今話題のインボイス制度では、この2円を納税せずに利益に換算している免税事業者に対し、一般の課税業者と同じように納税を求めるべきだとの意見が主流となっています。
消費税の納税額は次のように計算されます。

(課税売上×10%)-(課税仕入×10%)= 消費税納税額
上記の式を変換すると、
(課税売上-課税仕入)×10% = 消費税納税額となります。

ここで言う課税売上とは、利益と非課税仕入(人件費等)、そして課税仕入(商品など)の合計額を指します。













                課税売上
 利益

 非課税仕入(人件費等)


 課税仕入(仕入商品等)

 


一般的に、課税事業者は(課税売上-課税仕入)×10%を税務署に納税しています。つまり、(利益+非課税仕入)×10%が消費税納税額となります。

法人税は利益のみに課税されますが、消費税は利益に加えて非課税仕入れも課税の対象となります。法人税のように利益だけに課税される場合、赤字の時は税金を納める必要はありません。

しかし、消費税は利益に加えて非課税仕入れ(人件費等)にも課税されるため、売上があれば、赤字でも税金を支払う必要があります。人件費を払えば払うほど、納税額が大きくなります。

このような消費税の仕組みは理解しきれない人が多く、誤解を抱いている場合が多いと思います。私も誤解していました。さらに、インボイス制度を支持している人も、その実態を十分に理解していない可能性があります。

一般的には、コンビニで110円のおにぎりを買った場合、商品代金が100円で消費税が10円であり、この10円が税務署に納税されていると考えられます。

なぜか?

レシートに「本体価格100円+税」と記載されているためです。

しかし、「売る人は買う人から消費税を預かっていない。消費税は直接税である。」という旧大蔵省の説明や、過去の判決内容によれば、我々が10%を消費税だと思い込んでいたものは、実際には価格の一部だったということになります。

つまり、レシートに記載されている本体価格や消費税額は、実際には正確ではありません。この事実を受け入れられるでしょうか?信じられないと思う人が多いところに「この闇」の深さがあります。

では、消費税とは一体何なのでしょうか?

実は、消費税は事業者の1年間の付加価値に対して課税される税金であり、その税率は9.09%(110分の10)です。つまり、商品そのものではなく、事業者が提供する付加価値に課税されているのが消費税なのです。

では、この「付加価値」とは何でしょうか?

事業者は商品を仕入れて、その商品を仕入れ価格で売るわけではありません。仕入れ価格に上乗せした価格で販売します。「売価-仕入れ」が利益であり、これに「非課税仕入れ」(人件費など)を足したものが「付加価値」となります。

したがって、「付加価値税」というのが消費税の本質を表している本当の名前と言えます。つまり、消費税は一つ一つの商品に課せられる税金ではなく、事業者の1年間の付加価値に対する税金なのです。

110円のおにぎりを買って、そのうち10円が消費税だと考えるのは誤りです。消費者がお店を通じて10円の消費税を税務署に支払っているわけではないのです。

110円全体の売価の中には、消費税以外にも、法人税、人件費、家賃、仕入等々が含まれており、なぜか消費税だけ別に表示されている謎。おにぎりを買う時に、消費税を支払っている意識はあるが、法人税を支払っているとは考えませんよね。

国税庁がこれまで「商品価格の一部が消費税である」という説明をしてきましたが、これは誤りです。平成2年の判決によれば、消費者が商品価格の一部と思っていたものは、実際には事業者の付加価値の一部であり、それに対して課される消費税が直接税であると説明されています。

では、なぜ「消費税は間接税である」という誤解が広まったのでしょうか?

本当は「付加価値税」であり、直接税である消費税をなぜ「間接税」と説明してきたのでしょうか?そして、なぜレシートには本体価格と消費税が記載されているのでしょうか?

これらの疑問を解き明かさなければ、「インボイス制度」についての理解は深まらないでしょう。消費税が事業者の付加価値に対する直接税であるという理解を深め、間接税という誤解を払拭することが必要です。

以上が現時点の私の理解の中での消費税とインボイス制度についての説明です。この情報があなたの理解に役立つことを願っています。

本陳情は議会最終日に採否が決定されます。

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伊勢原市議会議員

安藤 玄一

あんどう げんいち

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