介護従事者の処遇改善を要望
訪問介護の人手不足をどう解決するか――介護報酬引下げと処遇改善を問う
令和6年3月定例会 一般質問
1.質問の目的
全国的に介護人材の不足が深刻化する中、特に訪問介護では、ヘルパーの高齢化や人材確保の難しさが大きな課題となっています。
そのような状況で、2024年度の介護報酬改定により、訪問介護の基本報酬が引き下げられることになりました。
私は、介護サービスを維持するためには、介護従事者の確保と定着、そして処遇改善が欠かせないと考えています。
また、高齢者が住み慣れた地域や自宅で生活を続けるためには、訪問介護をはじめとする在宅介護サービスの充実が必要です。
今回の一般質問では、伊勢原市の要介護高齢者数、介護サービスの利用状況、サービス提供体制を確認しました。
その上で、訪問介護の人手不足に対する市の認識と、介護従事者の処遇改善に向けた市独自の対応ができないかを質問しました。
2.主な答弁
要介護認定者は4,552人
2024年1月末時点で、伊勢原市の65歳以上の要支援・要介護認定者は4,552人でした。
高齢者人口に対する認定率は16.9%です。
介護度認定者数要支援1576人要支援2598人要介護11,070人要介護2837人要介護3635人要介護4477人要介護5359人合計4,552人
また、要介護3以上の重度認定者は、2019年1月末の1,374人から、2024年1月末には1,471人へと97人増加していました。
高齢者人口に占める割合も、5.3%から5.5%へ上昇していました。
介護サービスの利用状況
2023年9月時点で、利用者が比較的多い在宅介護サービスは次のとおりでした。
サービス高齢者人口に対する利用率福祉用具貸与6.8%デイサービス3.9%居宅療養管理指導3.6%訪問看護2.5%訪問介護2.2%
※デイサービスは、通所介護と地域密着型通所介護の合計です。
また、市が2022年に実施した調査では、介護が必要でありながら介護保険サービスを利用していない理由として、「家族などで対応できる範囲の介護であるため」が46.8%で最も多くなっていました。
一方、「介護サービスを利用する方法がよく分からない」という回答も9.7%あり、市は制度の理解が十分に行き渡っていないことを課題としていました。
介護を担う家族の負担については、要介護度によって異なり、外出時の付き添いや送迎、認知症状への対応、夜間の排せつ介助などが主な不安として挙げられました。
市内の介護サービス提供体制
2024年2月時点で、市内には訪問介護事業所が25か所ありました。
そのほか、訪問看護14事業所、通所介護17事業所、地域密着型通所介護12事業所などがサービスを提供していました。
市は、今後も後期高齢者の増加に伴って介護需要が増加すると見込んでいました。
2024年度から2026年度までの第9期介護保険事業計画では、小規模多機能型居宅介護施設と看護小規模多機能型居宅介護施設を、それぞれ1施設整備する方針を示しました。
訪問介護の人手は足りているのか
私は、再質問で市内の訪問介護従事者が充足しているのか、直接確認しました。
これに対して市は、介護サービス事業所からの聞き取りなどを踏まえ、介護人材の確保と定着は訪問介護に限らず課題となっており、充足しているとは言えない状況との認識を示しました。
訪問介護の基本報酬引下げと処遇改善
2024年度の介護報酬改定では、訪問介護の基本報酬が引き下げられることになりました。
私は、既に人手不足が課題となっている中で、基本報酬の引下げが介護人材の確保をさらに難しくする可能性があると指摘しました。
特に、小規模事業所では処遇改善加算を取得するための条件を整えることが難しい場合もあり、介護従事者への影響を懸念していました。
市は、介護従事者の処遇改善について、地域の財政力によって格差が生じないよう、国が主体となって改善策を講じることが望ましいとの考えを示しました。
市独自の処遇改善策は実施できないのか
市独自で介護従事者の賃金を改善する方策についても、実施する考えがあるか質問しました。
市は、介護職員の賃金は基本的に国が定める介護報酬を原資として支払われており、国の責任で改善すべきものとの見解でした。
また、市が独自に財源を確保する場合には、次の課題があると説明しました。
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一般会計から支出する場合、他の福祉職との公平性が課題となる。
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介護保険事業特別会計から支出する場合、介護保険料への負担増につながる。
そのため、市独自の賃金改善策について、現時点で実施する考えはないとの答弁でした。
一方、既存の取組として、介護人材の確保や技術向上、定着を目的とした研修費用の一部助成や、市民向けの講演会などを実施しているとの説明がありました。
3.残った課題
今回の一般質問では、市内の介護人材が十分に確保できていないことが確認できました。
一方、市独自の賃金改善策については実施しないとの方針が示されました。
今後の課題は次のとおりです。
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訪問介護従事者の不足状況の継続的な把握
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基本報酬引下げが市内事業所に与える影響の確認
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介護人材の確保と定着に向けた具体策
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小規模事業所の処遇改善加算取得への支援
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市独自で実施できる人材確保策や就労環境改善策の検討
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介護サービスを必要とする高齢者への制度周知
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今後の介護需要の増加に対応できるサービス提供体制の確保
4.質疑応答(要旨)
Q1.伊勢原市の要支援・要介護認定者は何人で、重度認定者は増えているのか。
A.保健福祉部長
2024年1月末時点の要支援・要介護認定者は4,552人で、高齢者人口に対する認定率は16.9%となっている。
要介護3以上の重度認定者は、2019年1月末から5年間で97人増加し、1,471人となっている。
Q2.介護サービスの利用状況と、高齢者や家族が抱えている課題は。
A.保健福祉部長
在宅介護サービスでは、福祉用具貸与、デイサービス、居宅療養管理指導、訪問看護、訪問介護などの利用が比較的多い。
また、介護が必要でもサービスを利用しない理由には、家族で対応できることのほか、制度の利用方法が分からないという回答もある。
家族の負担としては、外出の付き添い、認知症状への対応、夜間の排せつ介助などが挙げられている。
Q3.今後の介護需要の増加に対して、市はどのように対応するのか。
A.保健福祉部長
後期高齢者の増加に伴って、介護需要や保険給付費の増加が見込まれる。
第9期介護保険事業計画では、小規模多機能型居宅介護施設と看護小規模多機能型居宅介護施設を、それぞれ1施設整備する方針としている。
また、介護人材の確保やサービスの質の維持・向上にも取り組んでいく。
Q4.市内の訪問介護従事者は足りているのか。
A.保健福祉部長
介護サービス事業所からの聞き取りなどでは、人材の確保と定着が課題となっている。
介護従事者の高齢化もあり、充足しているとは言えない状況と認識している。
Q5.介護人材を確保するため、処遇改善が必要ではないか。
A.保健福祉部長
介護人材を含む福祉職の確保は全国的な課題である。
処遇改善については、地域の財政力による格差が生じないよう、国が主体となって必要な改善策を講じることが望ましいと考えている。
Q6.伊勢原市独自で介護従事者の賃金を改善することはできないのか。
A.保健福祉部長
介護職員の賃金は、基本的に国が定める介護報酬を原資として支払われており、国の責任において改善すべきものと考える。
市が一般会計から支出する場合は、他の福祉職との公平性が課題となる。
また、介護保険事業特別会計から支出する場合は、介護保険料の負担増につながる。
そのため、現在のところ市独自の賃金改善策を実施する考えはない。
5.所感
今回の一般質問で明らかになったのは、伊勢原市でも介護人材が不足しているという現状です。
特に訪問介護は、住み慣れた自宅で生活を続けたい高齢者を支える重要なサービスです。
その担い手が不足している状況で、訪問介護の基本報酬が引き下げられることには強い懸念があります。
介護従事者を確保し、長く働き続けてもらうためには、処遇改善が欠かせないと考えます。
市は、介護報酬や賃金の改善は国が主体となって対応すべき問題であり、市独自の賃金改善策は実施しないとの考えを示しました。
財源や他の福祉職との公平性という課題があることは理解できます。
しかし、人手が足りていないという現実は、国の対応を待っているだけでは解決しません。
市内の介護サービスを維持するために、伊勢原市として何ができるのかを考える必要があります。
賃金そのものの改善が難しいのであれば、人材確保や研修、事業所への支援など、市が取り組める方法もあるはずです。
今回の一般質問では、国と連携した処遇改善の検討と、実現可能な支援策の充実を求めました。
介護サービスを必要とする人が、必要なときに利用できる体制を守るためにも、介護人材の確保と定着に継続して取り組む必要があると考えています。
6.出典
伊勢原市議会 令和6年3月定例会
2024年3月18日 安藤玄一議員 一般質問
2024年03月18日 20:00