コンセントの陣取り合戦から見える「電流戦争」
スマートフォンやタブレット、ワイヤレスイヤホン、防犯カメラなど、私たちの周りには充電が必要な機器があふれています。
そのため最近は、コンセントの差し込み口だけでなく、USB端子の奪い合いまで起きています。USB端子付きの電源タップを探しているうちに、ふと疑問が浮かびました。
なぜ私たちは、こんなにもUSB充電を必要としているのでしょうか。
実は、この疑問をたどっていくと、100年以上前に繰り広げられた「電流戦争」に行き着きます。
19世紀末、発明王として知られるエジソンは「直流(DC)」を推進していました。一方で、発明家ニコラ・テスラは「交流(AC)」の普及を目指していました。
当時の直流は遠くまで送ることが難しく、発電所を数キロごとに設置しなければなりませんでした。これに対し交流は変圧器を使って高電圧で送電し、利用する場所の近くで安全な電圧に下げることができます。
結果として、送電に有利な交流方式が世界中に広がりました。現在、日本の家庭に届いている電気も交流です。
ところが、ここで面白いことが起こります。
私たちが日常的に使っている機器の多くは、実は交流ではなく直流で動いているのです。
スマートフォン、パソコン、Wi-Fiルーター、防犯カメラ、LED照明、ゲーム機。さらには太陽光発電、家庭用蓄電池、電気自動車まで、その多くが直流を利用しています。
つまり、家庭では
「交流で送られてきた電気を、アダプターで直流に変換して使う」
という作業を何度も繰り返しているのです。
最近増えているUSB-C端子も、その先にある機器へ直流を供給するための仕組みです。コンセントの周りで起きている小さな陣取り合戦は、実は交流中心の時代から直流中心の時代へと社会が少しずつ変化していることの表れなのかもしれません。
もちろん、すぐに家庭の交流コンセントがなくなるわけではありません。長年築いてきた送電網や設備は非常に優れた仕組みです。
しかし、太陽光発電や蓄電池、電気自動車が普及する今、エジソンが目指した直流の世界が、形を変えて再び身近な場所へ戻ってきているようにも見えます。
コンセントの前で「USB端子が足りないな」と思ったら、その背景にある100年以上続く電気の歴史に思いを巡らせてみるのも面白いかもしれません。
2026年06月20日 07:30
