インターネット等を利用する方法による選挙運動の解禁等(1)
1.ウェブサイト等を利用する方法による選挙運動用文書図画の頒布の解禁
ウェブサイト等を利用する方法
何人も、ウェブサイト等を利用する方法※により、選挙運動を行うことができるようになります(改正公職選挙法第142条の3第1項)。
※ウェブサイト等を利用する方法とは、インターネット等を利用する方法のうち、電子メールを利用する方法を除いたものをいいます。例えば、ホームページ、ブログ、SNS(ツイッター、フェイスブック等)、動画共有サービス(YouTube、ニコニコ動画等)、動画中継サイト(Ustream、ニコニコ動画の生放送等)等です。
インターネット等を利用する方法とは
「インターネット等を利用する方法」とは、「電気通信の送信(放送を除く)により、文書図画をその受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に表示させる方法」(改正公職選挙法第142条の3第1項)をいいます。
具体的には、インターネットのほか、社内LANや赤外線通信などであっても、「インターネット等を利用する方法」に含まれます。
電子メールとは
「電子メール」とは、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)第2条第1号に規定する電子メール」(改正公職選挙法第142条の3第1項)をいいます。
具体的には、総務省令において、以下の2つが定められています(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第2条第1号の通信方式を定める省令)。
- その全部又は一部においてシンプル・メール・トランスファー・プロトコルが用いられる通信方式(SMTP方式)
- 携帯して使用する通信端末機器に、電話番号を送受信のために用いて通信文その他の情報を伝達する通信方式(電話番号方式)
【参考】メッセージ機能の位置づけ
電子メールとして定義された2つの通信方式以外の通信方式を用いるもの、具体的には、フェイスブックやLINEなどのユーザー間でやりとりするメッセージ機能は、「電子メール」ではなく、「ウェブサイト等」に該当しますので、一般有権者も利用可能です。
表示義務
選挙運動又は当選を得させないための活動に使用する文書図画を掲載するウェブサイト等には、電子メールアドレス等※を表示することが義務づけられます(改正公職選挙法第142条の3第3項、第142条の5第1項)。
※電子メールアドレス等とは、電子メールアドレスその他のインターネット等を利用する方法によりその者に連絡をする際に必要となる情報をいいます。具体例としては、電子メールアドレスの他、返信用フォームのURL、ツイッターのユーザー名が挙げられます。
【参考】電子メールアドレス等の具体例
例としては、電子メールアドレスのほか、返信用フォームのURL、ツイッターのユーザー名が挙げられ、その者に直接連絡が取れるものである必要があります。したがって、掲示板等に書き込む際に名乗るニックネームであるハンドルネームのみの記載では認められませんが、そこに張られたリンク先のウェブサイトに連絡先情報が記載されている場合には、表示義務を果たしていると考えられます。
選挙期日当日の取扱い
ウェブサイト等に掲載された選挙運動用文書図画は、選挙期日当日もそのままにしておくことができます(改正公職選挙法第142条の3第2項)。
ただし、選挙運動は選挙期日の前日までに限られており、選挙期日当日の更新はできません(公職選挙法第129条)。
違反した者は、1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処することとされており(公職選挙法第239条第1項第1号)、選挙権及び被選挙権が停止されます(公職選挙法第252条第1項・第2項)。
【参考】選挙期日の翌日以降の取扱い
ウェブサイト等に掲載した選挙運動用文書図画を選挙期日の翌日以降もそのままにしておくことについては、以下の理由から、基本的には、次の選挙の事前運動の禁止(公職選挙法第129条)に抵触することは考えにくいです。
- ウェブサイト等に掲載された選挙運動用文書図画には、特定の選挙における特定の公職の候補者等に関する内容が記載されていることが多いと考えられること
- 選挙期日以降もそのままにしておいた選挙運動用ウェブサイト等については、選挙期日後新たな文書図画の頒布が行われたとは言い難いこと
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