• このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を印刷

子どもが自ら学ぶ学校へ――麹町中学校の改革から考える中学校教育


令和5年9月定例会 一般質問


1.質問の目的


AIをはじめとする科学技術が急速に進歩する中、学校教育にも変化が求められています。


これまでのように知識を身につけるだけでなく、その知識を活用し、自分で考え、判断し、行動できる力を育てることが重要だと考えています。


今回の一般質問では、東京都千代田区立麹町中学校の学校改革を取り上げました。


同校では、当時の工藤勇一校長の下で、宿題や中間・期末テストの廃止、固定担任制の見直しなど、従来の学校教育の常識にとらわれない改革が進められました。


その目的は、子どもたちの自律を育み、自ら学ぶ力を身につけさせることです。


こうした取組を参考に、伊勢原市の中学校教育の現状や考え方を確認するとともに、生徒が主体的に学べる教育環境と、教員の負担軽減につながる学校の在り方について質問しました。


2.主な答弁


麹町中学校の学校改革への評価


市は、麹町中学校の「自律した子どもを育てる」という改革について、誰一人取り残さない教育の一つの事例として参考になる取組との評価を示しました。


また、伊勢原市内の小学校でも、児童がタブレット教材や学習プリントなどから自分に必要なものを選び、学習計画を立てて取り組む「マイプラン」による自主学習を研究している学校があるとのことでした。


伊勢原市の中学校教育


伊勢原市の4中学校では、それぞれの教育目標に基づき、生徒が自ら考え、課題を解決する力を育てる取組を行っているとの説明がありました。


具体例として、生徒会活動では、生徒同士が学校生活の課題について話し合い、計画を立て、役割を分担して活動しています。


また、総合的な学習の時間には、キャリア教育や福祉学習などを通じて、教科を横断した探究的な学習に取り組んでいるとのことでした。


宿題の廃止について


麹町中学校では、生徒が自律的に学ぶ姿勢を育てるため、宿題を廃止する改革を行いました。


伊勢原市は、この取組の目的について理解を示したものの、家庭学習の習慣を身につけることも重要であるとして、一律に宿題を廃止する考えはないとの答弁でした。


今後も、生徒が自ら学ぶ習慣を身につけられるよう、指導方法を工夫していくとのことでした。


中間・期末テストの廃止について


麹町中学校では、中間・期末テストを廃止する一方、単元テストや実力テストなどを活用して学習状況を確認しています。


伊勢原市は、定期テストは成績をつけるためだけでなく、生徒の学習状況を把握し、教員の指導を改善するための手段でもあると説明しました。


そのため、中間・期末テストを廃止する予定はないとの答弁でした。


固定担任制の見直し


麹町中学校では、固定担任制を廃止し、複数の教員がそれぞれの得意分野を生かして生徒を支援する仕組みが導入されました。


伊勢原市では、固定担任制を維持しながらも、複数の教職員がチームで生徒を支援する体制を整えているとのことでした。


担任だけでなく、生徒指導担当、教育相談コーディネーター、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどが連携して対応していることが確認できました。


学校長の裁量と学校改革


麹町中学校のような改革を、伊勢原市の学校長の判断で実施できるのかについても質問しました。


市は、法令や学習指導要領に基づく教育課程の編成は各学校に委ねられているものの、校長の意向だけで決定するのではなく、全教職員の協力の下で進めるものと説明しました。


個別最適な学びと集団授業


従来の一斉授業では、生徒ごとの理解度や学習進度に十分対応できない場合があります。


市は、個々の生徒に応じた「個別最適な学び」と、生徒同士が学び合う「協働的な学び」を一体的に充実させることが重要との考えを示しました。


そのために、1人1台のタブレット端末などを活用した学習指導や、生徒一人一人の状況把握を進める必要があるとの答弁でした。


教育の価値観について


市は、従来の知識や技能を一方向に伝える授業から、児童生徒が主体的に考え、対話を通じて学ぶ授業への改善を進めていると説明しました。


2017年の学習指導要領改訂を契機に、各学校で授業改善に取り組んでいるとのことでした。


また、伊勢原市第3期教育振興基本計画では、子どもたちが夢と希望を持ち、可能性に挑戦する力の育成を目標の一つとしており、今後も先進事例の研究や教職員研修に取り組むとの答弁でした。


3.残った課題


今回の一般質問では、伊勢原市でも主体的な学びや教員同士の連携など、さまざまな取組を進めていることが確認できました。


一方で、次の課題が残りました。




  • 生徒一人一人の理解度に応じた学習方法の充実




  • 自ら学習計画を立て、主体的に学ぶ機会の拡大




  • 宿題や定期テストの目的と効果の継続的な検証




  • 教員の得意分野を生かしたチームによる指導体制の充実




  • 学校現場での創意工夫を生かした教育改革の推進




  • 生徒の自律的な学びと教員の働き方改革の両立





4.質疑応答(要旨)


Q1.麹町中学校で行われた学校改革を、どのように評価しているか。


A.学校教育担当部長


麹町中学校が進めた「自律した子どもを育てる」という改革は、誰一人取り残さない教育の一つの事例として参考になる取組と考えている。


伊勢原市でも、小学校の一部で、児童が教材を選び、自分で学習計画を立てて取り組む自主学習について研究を進めている。


Q2.伊勢原市の中学校では、生徒が自分で考え、行動する力を育てるために何を行っているか。


A.学校教育担当部長


各中学校の教育目標に基づき、生徒会活動や総合的な学習の時間などを通じて、問題解決的な学びや探究的な学習に取り組んでいる。


生徒会では、生徒が自ら課題を考え、役割を分担して活動している。


また、福祉学習やキャリア教育などを通じて、自分の考えを深め、今後の行動につなげる学習を行っている。


Q3.麹町中学校のように、宿題を廃止することについてどう考えているか。


A.学校教育担当部長


宿題を廃止した目的は理解できる。


ただし、宿題は家庭学習の習慣を身につけるための手段でもあり、児童生徒の実態に応じて教員が必要性を判断している。


そのため、一律に宿題を廃止する考えはない。


Q4.中間・期末テストを廃止することについてはどうか。


A.学校教育担当部長


定期テストは、生徒の学習成果を把握し、教員の指導を改善するための手段の一つである。


現時点で中間・期末テストを廃止する予定はない。


引き続き、学習評価を授業改善や生徒の学びの充実につなげていく。


Q5.固定担任制を廃止し、複数の教員で生徒を支える仕組みについてどう考えるか。


A.学校教育担当部長


伊勢原市では固定担任制を維持しているが、担任だけに対応を任せるのではなく、学年職員や専門職員が連携し、チームで生徒を支援している。


生徒指導や教育相談でも、必要に応じて担任以外の教職員が対応する体制を整えている。


Q6.伊勢原市の中学校長にも、大胆な教育改革を行う権限はあるのか。


A.学校教育担当部長


教育課程の編成は、法令や学習指導要領に基づいた上で、各学校に委ねられている。


ただし、校長の意向だけで決定するものではなく、教職員が研究や創意工夫を重ね、全職員の協力の下で編成するものである。


Q7.従来の集団授業では、生徒一人一人の理解度や進度に対応できない場合があるが、どう考えているか。


A.学校教育担当部長


個別最適な学びと協働的な学びを一体的に進めることが重要と考えている。


集団での学びには、他者と協力して課題を解決し、多様性を認め合う力を育てる役割もある。


今後は、1人1台端末の活用や生徒の状況把握を進め、一人一人の可能性を引き出す教育に取り組む必要がある。


Q8.従来の知識を教え込む教育から、子どもの主体性を育てる教育への転換についてどう考えるか。


A.学校教育担当部長


以前は知識や技能を一方向に伝える授業が多かったが、2017年の学習指導要領改訂を契機として、主体的・対話的で深い学びの視点から授業改善を進めている。


今後も先進事例の研究や教職員研修を通じて、子どもたちの主体性や問題解決能力を育てていきたい。


5.所感


今回、麹町中学校の改革を取り上げたのは、宿題や定期テストをなくすこと自体が目的ではありません。


大切なのは、子どもたちが自ら学びたいと思い、自分で考えて行動できるようになることです。


従来の学校教育では、先生が教えて生徒が覚えるという授業が中心でした。


しかし、生徒の理解度や得意分野はそれぞれ違います。同じ内容を同じ速度で教えることが、必ずしも全ての生徒に合っているとは限りません。


麹町中学校の取組は、子どもたちの自主性を引き出すことで、学び方そのものを変えようとした点に特徴があると思います。


一方、伊勢原市でも、チームによる生徒指導や主体的な学習など、既に工夫を重ねていることが分かりました。


特に、担任一人が全てを抱え込むのではなく、複数の教職員が得意分野を生かして生徒を支援する体制は、教員の負担軽減にもつながる取組だと考えます。


今回の一般質問で伝えたかったことは、教育のやり方を変えることで、子どもたちは自ら能動的に学ぶようになる可能性があるということです。


子どもが自ら学ぶようになれば、教員の役割も変わり、働き方改革にもつながるのではないでしょうか。


学校教育の目的は、単に試験で良い点数を取ることだけではありません。


自ら考え、課題を見つけ、解決する力を身につけることが、これからの社会を生きる上で重要になると考えています。


今後も、伊勢原市の子どもたちが主体的に学べる教育環境の充実を求めていきたいと思います。


6.出典


伊勢原市議会 令和5年9月定例会
2023年9月25日 安藤玄一議員 一般質問


2023年9月25日 伊勢原市議会中継


伊勢原市議会会議録検索システム


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を印刷

伊勢原市議会議員

安藤 玄一

あんどう げんいち

安藤玄一

プロフィールを見る▶

BLOG

安藤玄一の政治の村ブログ

  • 成瀬地区体育祭に参加

    2026年10月11日

    本日は、成瀬地区体育祭に消防団員として参加しました!
    秋晴れの絶好の…

  • 街頭活動

    2026年10月8日

    本日、伊勢原駅で行われた西湘地域連合の街頭活動に参加しました。
    神奈…

  • 9月定例会が終了

    2026年10月7日

    今回の議会では、AIを活用する議員が増えたと感じています。一方で、各日…

一覧へ▶