空き家バンク導入へ――6月議会の提案から2024年度の試行運用へ
令和5年12月定例会 一般質問
1.質問の目的
伊勢原市では、管理が行き届かない空き家が増加傾向にあり、建物の老朽化や周辺環境への影響が課題となっていました。
私は2023年6月議会で、空き家の所有者に適切な管理を呼びかけるだけでなく、売却や賃貸などの利活用を促す仕組みとして、空き家バンクの導入を提案しました。
その後、市は2024年度の実施計画に空き家対策を重点事業として位置づけ、全国版空き家バンクの試行運用を進める方針を示しました。
今回の一般質問では、その具体的な仕組みや運用方法を確認しました。
また、空き家バンクは単に物件情報を紹介するだけでなく、売主と買主が安心して取引できるよう、行政が積極的に関わる仕組みが必要だと考え、売買の支援体制についても質問しました。
併せて、空き家条例の制定や特定空家の判断基準について、市の検討状況を確認しました。
2.これまでの経緯
2018年度
伊勢原市は、空き家所有者へのアンケート調査を実施しました。
調査では、空き家バンクを利用したいという所有者の意向は少なく、市は所有者の思い入れや個別の事情が影響していると捉えていました。
2023年6月26日 一般質問
私は、空き家バンクの導入を提案しました。
市は、空き家を売却したい所有者が少ないことを課題としていましたが、私は、売る意思を持つ人が少ないのではなく、売るための仕組みがないことも問題だと指摘しました。
メルカリやヤフーオークションを例に挙げ、売買できる仕組みがあることで、所有者の意識が変わる可能性を説明しました。
市は、空き家バンクの制度を知ることで所有者の意識が変化する可能性を認め、他市の事例を調査・研究するとの答弁でした。
また、所有者への再アンケートや、空き家条例の在り方についても検討する考えが示されました。
最後に市長へ方針転換を求め、高山松太郎市長からも、先進事例を研究し、本市の実情に即した対策を検討するとの答弁がありました。
2023年12月14日(今回)
市は2024年度の重点事業として空き家対策を位置づけ、全国版空き家バンクの試行運用を進める方針を示しました。
今回は、制度の運用方法や所有者への支援、空き家条例の検討状況について、さらに質問しました。
3.主な答弁
空き家バンクを2024年度の重点事業に位置づけ
市は、第6次総合計画前期基本計画の「施策28 住宅」において、空き家の適切な管理に向けた対策を推進することとしており、2024年度の実施計画に重点事業として位置づけたと説明しました。
具体的には、国の交付金を活用した空き家の実態調査や、対策計画を検討するための組織づくりを進める方針です。
その一環として、全国版空き家バンクを試行的に活用し、運用上の課題を確認するとの答弁でした。
全国版空き家バンクの運用方法
市は、国土交通省が構築し、アットホーム株式会社と株式会社LIFULLが運営する全国版空き家バンクを利用する方針を示しました。
想定されていた仕組みは次のとおりです。
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空き家所有者が市に物件の登録を申請する。
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市が全国版空き家バンクに物件情報を掲載する。
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購入や賃借を希望する人から市に問い合わせが入る。
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市が所有者の連絡先を希望者に伝える。
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所有者と希望者が交渉し、契約が成立した場合は市へ連絡する。
この仕組みでは、市が物件情報の登録や紹介に関わりますが、売買や賃貸の交渉そのものは当事者間で行う想定でした。
空き家所有者への再アンケート
市は、前回の調査から5年が経過しているため、2024年2月に空き家所有者へのアンケート調査を実施する準備を進めていると答弁しました。
また、空き家所有者については、登記情報や固定資産税の課税情報などを活用して把握しているとのことでした。
伊勢原版空き家バンクの検討
私は、全国版空き家バンクを利用するだけでなく、市が主体的に運営する仕組みが必要ではないかと質問しました。
市は、2024年度から全国版空き家バンクを試行運用し、その課題を整理した上で、伊勢原市独自の制度構築につなげたいとの考えを示しました。
ただし、この時点で独自制度の導入が決定したわけではありません。
売買を支援する仕組み
私は、空き家バンクに物件を掲載するだけでは十分ではなく、売主と買主の双方が安心して取引できる支援体制が必要だと指摘しました。
特に、不動産の売買には専門的な知識が必要であり、相談窓口の設置や不動産関係団体との連携、契約までのフォローアップなどが重要だと考えています。
市は、他自治体では専門団体と協定を締結し、相談会やセミナー、相談員の派遣などを行っている事例があると説明しました。
本市でも、こうした事例を参考に、空き家の利活用を促進する方策を検討するとの答弁でした。
空き家条例と特定空家の判断基準
空き家条例については、空き家等の対策計画を検討した上で、その必要性や内容を検討するとの答弁でした。
一方、空家等対策特別措置法に基づき、管理不全の空き家への勧告や緊急的な安全措置などに対応できるとの考えも示されました。
特定空家の判断基準については、2023年12月13日に施行された改正法に伴う国のガイドラインを活用し、今後の実態調査や対策計画の検討に反映する方針でした。
4.残った課題
今回の一般質問では、空き家バンクの試行運用に向けた具体的な方針が示されました。
一方、制度を実際に機能させるためには、次の課題が残っています。
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2024年度の空き家バンク試行運用の実施
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空き家所有者への再アンケートと制度への登録促進
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売主と買主を支援する相談体制の整備
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不動産関係団体との連携
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伊勢原市独自の空き家バンク制度の検討
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空き家条例の制定に向けた検討
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特定空家・管理不全空家の実態把握と適切な対応
5.質疑応答(要旨)
Q1.6月議会で提案した空き家バンクが、2024年度の事業計画に位置づけられた経緯と内容は。
A.都市部長
第6次総合計画前期基本計画に基づき、2024年度の実施計画に空き家対策を重点事業として位置づけた。
国の交付金を活用して実態調査を行い、対策計画の策定に向けた検討を進める。
空き家バンクについては、全国版空き家バンクを試行的に活用し、制度運用上の課題を整理する。
Q2.空き家バンクは、具体的にどのような仕組みで運営するのか。
A.都市部長
空き家所有者から市が登録申請を受け付け、全国版空き家バンクに物件情報を掲載する。
利用希望者から問い合わせがあった場合、市が所有者の連絡先を提供し、当事者間で交渉を行う。
契約が成立した場合は市に連絡を受け、物件情報を削除する仕組みを想定している。
Q3.空き家所有者への再アンケートと、所有者の把握状況は。
A.都市部長
2018年度の調査から期間が経過しているため、2024年2月に再アンケートを実施する準備を進めている。
所有者の把握には、登記情報や固定資産税の課税情報を活用している。
Q4.空き家条例の制定や、特定空家の判断基準についてはどう考えているか。
A.都市部長
空き家条例については、空き家等の対策計画を十分に検討した上で、その在り方を検討したい。
特定空家の判断については、国の改定されたガイドラインを活用し、実態調査を進めていきたい。
Q5.空き家バンクで実際の売買を成立させるため、市が積極的に関わる必要があるのではないか。
A.都市部長
不動産の交渉や契約には専門的な知識が必要である。
他自治体では、専門の業界団体と協定を締結して対応している事例もある。
試行運用を通じて課題を整理し、関係団体との調整や連携についても検討していきたい。
Q6.なぜ伊勢原市独自のホームページではなく、全国版空き家バンクを利用するのか。
A.都市部長
全国版空き家バンクは試行運用として活用し、実際の運用で課題を確認するためのものである。
その結果を伊勢原市独自の空き家バンク制度の構築につなげていきたい。
Q7.伊勢原市が間に入ることで、売主と買主が安心して取引できる仕組みが必要ではないか。
A.都市部長
全国版空き家バンクでは、自治体ごとの専用ページが設けられ、市が物件情報を公開・管理していることが表示される。
売主と買主の双方が安心して取引できることは重要であり、制度の検討の中で対応していきたい。
Q8.売主や買主に対して、具体的にどのような支援サービスを提供する予定なのか。
A.都市部長
他自治体では、関係団体と連携した相談会やセミナー、相談員の派遣などを行っている。
本市でも、空き家等の対策計画の検討の中で、利活用を促進する方策を検討していきたい。
6.所感
今回の一般質問では、6月議会で導入を提案した空き家バンクについて、2024年度から試行運用を進める方針が示されました。
これまで伊勢原市では、所有者への管理の呼びかけや通知が空き家対策の中心でした。
しかし、空き家は管理するだけでなく、売却や賃貸などによって再び活用されることが重要です。
そのためには、所有者が売却や賃貸を検討できる仕組みを用意する必要があります。
今回の方針は、その仕組みづくりに向けた前進だと考えます。
ただし、私が重要だと考えているのは、空き家バンクを設置すること自体ではなく、実際に売買や賃貸が成立し、空き家が活用されることです。
不動産は金額も大きく、契約には専門的な知識が必要になります。
単に物件情報を紹介するだけではなく、売主と買主が安心して相談でき、取引成立まで円滑に進められる仕組みが必要です。
また、空き家条例についても、管理が行き届かない空き家への対応を強化するため、引き続き制定を求めました。
空き家問題は、建物が危険な状態になってから対処するのでは、時間も費用もかかります。
所有者が早い段階で活用や売却を考えられる仕組みと、適切な管理を促す制度の両方が必要だと考えています。
今後も、空き家バンクの具体的な運用と空き家条例の検討状況を確認していきたいと思います。
7.出典
伊勢原市議会 令和5年12月定例会
2023年12月14日 安藤玄一議員 一般質問
2023年12月14日 20:00