視察2日目(視察2箇所目)白島国家石油備蓄基地・白島石油備蓄株式会社北九州事業所/2025年度神奈川県議会防災警察常任委員会県外調査
昨日は、山口県下関市と福岡県北九州市門司区を結ぶ関門橋を渡り、福岡県に入りました。関門橋は、1973年に完成した長大吊橋で、若戸大橋に次ぐ日本の本格的な吊橋として位置づけられています。長大橋梁建設技術の発展を象徴する構造物であり、本州と九州を結ぶ交通の大動脈として、経済・物流の双方に大きな役割を担ってきました。
本日の行程(8月20日・水曜日)
北九州市内 → 白島国家石油備蓄基地・白島石油備蓄株式会社北九州事業所 → 九州大学大学院工学研究院附属アジア防災研究センター → 福岡市内泊
白島国家石油備蓄基地の概要と意義(さとう知一メモ)
【備蓄基地の概要】:白島国家石油備蓄基地は、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が管理する、日本における重要な戦略的インフラの一つです。1996年8月に完成したこの施設は、世界最大級の海上石油備蓄基地として知られ、総備蓄量は約560万キロリットルに達します。これは70万キロリットル級の備蓄船8隻を利用して実現しており、日本全体の石油消費のおよそ10日分に相当します。石油の安定供給確保やエネルギー安全保障の観点から極めて重要な役割を果たしています。
主な特徴と詳細説明
- 世界最大級の規模 〜海洋上に設置された国家石油備蓄基地として、世界でも数少ない規模を誇ります。完成当時から現在に至るまで、国内エネルギー供給の安定に大きく寄与しています。
- 巨大な備蓄能力 〜約560万キロリットルという規模は、平時には需給調整用、また非常時には緊急放出によって国内エネルギー供給を支える安全弁の役割を持ちます。
- 浮遊式タンク方式の採用 〜海上に係留された8隻の備蓄船を利用する「浮遊式(洋上タンク)方式」は、従来の陸上備蓄に比べ大規模な土地を必要とせず、自然環境への影響を小さく抑える利点があります。また海上での係留により、耐震性や安全面においても一定の強みを持っています。
- 重層的な安全・防災システム
• 三重構造の漏油防止設備
• 外海の影響を遮断する防波堤
• 火災・爆発防止を目的とした自動消火システム 〜これらによって、環境保護・災害対応能力の双方を確保しています。 - 立地の特性とアクセス制限 〜基地は福岡県北九州市若松区沖約8kmの無人島「白島(男島・女島)」南東海域に位置しています。この特殊な立地は、周囲の人里から隔絶された環境を活用し、災害発生時の被害を最小限に抑えるための工夫でもあります。施設への立ち入りは関係者のみに限定され、一般の入域は禁止されています。
- 防災訓練と地域連携 〜基地では継続的に大規模な総合防災訓練が行われています。訓練は若松海上保安部と連携し、巡視艇やヘリコプターを使用して以下の想定に対応します。
• 負傷者救助
• 火災鎮火活動
• 流出油の回収作業 〜こうした取り組みは、石油備蓄だけでなく「安全を守る拠点」としても社会に貢献している点で重要です。
【まとめ】:白島国家石油備蓄基地は、国内3番目の規模を持つ国家石油備蓄拠点でありながら、世界最大級の洋上備蓄施設というユニークな存在です。単なる石油の貯蔵施設ではなく、日本のエネルギー安全保障を支える戦略的インフラであり、防災・環境保全の観点からも極めて重要な役割を果たしています。

※ 当該箇所では写真撮影が制限されています。撮影が許可された場所でのみ撮影しています。
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(2) 白島石油備蓄株式会社
(調査事項:災害対策及び消防に関する事項について)
白島石油備蓄株式会社が管理・運営している白島国家石油備蓄基地は、日本への石油供給途絶や国内災害時における石油供給不足に備え建設された、原油約560万キロリットルを貯蔵する能力を有する世界最大の洋上石油備蓄基地である。
白島国家石油備蓄基地の防災設備として、中央監視制御室、甲種普通化学消防車、固定泡放射砲、消防艇兼油回収船及び海域監視レーダーシステム等を有し、基地内の各施設は安全を確保するため二重、三重の構造及びシステムとなっており、職員の安全に対する意識と高度な技術で無災害を継続している。本県も、京浜工業地帯に石油コンビナートを有しており、神奈川県石油コンビナート等防災計画を策定し、石油コンビナートの安全防災対策を推進していることから、白島石油備蓄株式会社の石油貯蔵施設の安全防災対策について調査することにより、今後の委員会審査の参考に資するものとする。
2025年08月20日 12:13