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特別市構想について

◆6月25日、市長の諮問を受けた横浜市大都市自治研究会から特別市の制度設計について市長に答申が提出されました。


特別市構想については横浜市会では大方の会派が推進の意思を示しているところではありますが、私はあえて、無所属の立場から、懸念すべき点をこれまで示して参りました。


それは、一層制となることで、行政区における住民自治(住民代表機能)が地方分権に逆行するおそれがあることです。


今回の答申にも、「民主的な手続きを担保することにより、一層制という地方自治制度の例外的な仕組みを立法により創設することは支障ない」とあります。


これは、住民投票で決まれば例外的な仕組みにも正当性が与えられる、ということかと思います。たしかに、民主主義社会において、住民投票で決まることは最高意思決定と捉えるべきもので、そのことに異論はありません。


しかし、その前提として、一層制が持つメリットを説明するのであれば、デメリットについても十分に正直に説明する必要があります。


薬の副作用について十分な説明なく患者が知ることのないまま薬を処方されては患者の不利益になるのと同様に、一層制の持つ副作用についてしっかり説明がなされ、市民が副作用の中身について知ることができて始めて住民投票の正当性につながります。


 


◆答申において、住民自治の確保については、


①区長は議会の同意を得て市長が選任する特別職


②区単位で選出される市議で区常任委員会を設置


③議会の機能のあり方は現行議会の機能を踏まえ要検討


④議員定数の取り扱いや選挙区再編の検討も必要


とありますが、


①は、住民自治機能としては形式的なものになる懸念が強く、区長権限が高まるほど民主的ブレーキが効かなくなります。


②は、市議には区政に関する意思決定権限がなく、これも住民自治としては形式的なものとなる懸念が強いです。また、たとえば横浜市内全18区を4つに分けて常任員会を設置した場合、議員定数の多い区が優勢となり、定数の少ない区は不利となります。区ごとに常任委員会を設置した場合、定数2の行政区では委員長を除けば1名しか委員がいなくなる課題も生じます。


③は、「現行議会の機能を踏まえ」とある部分は、おそらく区選出議員と区幹部との会議体である「区づくり推進会議」のことを指しているかと推量しますが、この会議には意思決定機能はなく、市議と区幹部との意見交換的な役割を果たしていますので、無意味ではありませんが、行政を民主的に選挙された議員が主導できるものではありませんので、住民自治機能としては不十分なものであり、住民自治機能を高める設計の検討が必要だと思います。


④は、区常任委員会の導入のためには、市議選に小選挙区制を導入することが前提になるのではないかと思います。この区常任委員会(コミュニティカウンシル)を導入しているカナダ・トロント市は300万人都市で26名の市議(うち1名は市長)しかおらず、全員定数1の小選挙区制です。市内25区を4つのコミュニティカウンシルに分け、そのカウンシルに一定程度の自由裁量が認められているようです。※詳細について研究中です。


 


◆特別市構想は、すべてが悪とは私は思いません。大都市には大都市特有の課題があり、その解決と解消に向けて、大都市が県を介さず一元的に行政事務を担えるために必要な制度はあり得ると思います。


特別市構想のメリットには、二重行政の解消以外にも、私が思いつくだけでもたとえば防災面では、災害発生時に県を通さず国から市に直接支援物資が輸送され管理できる、ゲリラ豪雨対策として河川の溢水を防ぐ河川管理をすべて市で完結できる(現在も県管轄部分は市では管理できません)、また、警察事務も、自転車走行レーンの設置や横断歩道・信号機の設置、公道上での地域イベント時の手続きの簡素化など、期待できる側面はいろいろ考えられます。


しかし、副作用もしっかり考慮する必要があります。


副作用として考えられるのは、他の市町村への財政的影響と、市内における住民自治の後退です。


行政効率と住民自治は利益相反しやすく、行政は民主主義をコストと感じて効率化の妨げになると見なしやすい傾向があります。そのため、区議会や区長公選を導入するのではなく、すべて市が一元的に所掌できる「一層制の特別市」を前提に構想が進められようとしています。


民主主義をコストと捉える考え方は健全ではなく、行政効率が民主主義を侵害することなく「住民自治の合理性」にこそ基づいて制度設計がなされるべきと思います。


住民自治の進化なくして特別市構想なし、との立場を横浜市は明確に打ち出して欲しいと私は切望しています。その志向性を、横浜市会の特別市・大都市行財政制度特別委員会で今後とも発言して参りたいと思います。


 


♣「特別市の法制化に向けた諸課題と対応方策等に関する答申」↓↓↓


「特別市の法制化に向けた諸課題と対応方策等に関する答申」について 横浜市


 

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横浜市会議員〈西区〉

荻原 隆宏

おぎわら たかひろ

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