一昨日の楠梨恵子議員 代表質問を通じて感じたこと諸々/ともに生きる社会の実現に向けて 他
一昨日の楠梨恵子議員の代表質問 通告した質問項目は、以下の通りです。
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1 人生100歳時代を見据えたコミュニティ再生のあり方について
2 ともに生きる社会の実現に向けて
– (1) 障がい者の高齢化に伴う支援について
– (2) 外国人労働者の受入れに向けた県の取組について
– (3) 県立高校における外国につながりのある生徒への支援について
3 国内観光客の誘致に向けた戦略的な取組について
4 県道の災害情報などをSNSで発信することについて
5 セーリング競技の機運醸成について
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代表質問は、県議団を代表してのものであります。質問の一つ一つは、厚木市にもかかわるものであり、私の問題意識と重なるものであります。私がこれまで、二期8年間にわたり、県議会で取り組んできたことの延長で、現在の3期目となっておりますが、3期目は、新しい仲間たちと共に取り組んで参ります。
今回の代表質問では、「外国人労働者の受入れに向けた県の取組」「外国につながりのある生徒への支援」「国内観光客の誘致に向けた戦略的な取組」「災害情報などをSNSで発信」「東京オリンピックに向けたセーリング競技の機運醸成」等については、私の所管する国際文化観光スポーツ常任委員会にかかわる課題であります。
特に ラグビーワールドカップ2019 や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の機会を捉え、神奈川発の魅力的なコンテンツの創出と発信を行い、そうしたコンテンツの担い手となる人材を育成するとともに、地域のにぎわいの創出に私も所管常任委員会委員として努めて参ります。
多言語支援センターかながわの運営については、本日の代表質問 知事答弁にもありましたが、今月より、対応言語を新たに5言語を追加し、現在は、やさしい日本語を含めた11の言語で対応をしているとのことです。
現在、質問の準備に取り掛かっておりますが、本日の代表質問に引き続き、私の所管する国際文化観光スポーツ常任委員会の他、機会を捉えて取り組んで参ります。
/2016年(平成28年)7月26日未明、神奈川県相模原市緑区千木良476番地にある、神奈川県立の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」に、元施設職員の男(犯行当時26歳)が侵入し、所持していた刃物で入所者19人を刺殺し、入所者・職員計26人に重軽傷を負わせた大量殺人事件、津久井やまゆり園事件から、来月で3年となります。
この事件においての殺害された被害者数19人は、第二次世界大戦(太平洋戦争)後の日本で発生した殺人事件としてはもっとも多く、戦後最悪の大量殺人事件として、福祉の現場のみならず日本社会に衝撃を与えました。
その後(2,019年6月1日)、元農林水産省の事務次官(76)が自分の息子を殺害したと警察に自首した事件がありました。容疑者によると被害者である息子は普段から自宅にひきこもっていることに加え、家庭内暴力を振るっていたとされています。
5月28日、小学生16人と男女2人の計18人が死傷する通り魔殺人事件が起きました。(犯人は川崎市内に住む51歳の男で、自ら首を切って自殺)
このことから「息子を殺人犯にしないための親心」等とネットを中心に被害者を擁護する声も多く散見され、テレビコメンテーターも「やったことは絶対的に悪いが、気持ちはわかる」と複数の方がコメントしています。
~以下、Wikipediaから一部引用~
1、1967年8月7日、生まれてから27年間、心身障害で寝たきりの息子を父親が絞殺し、心中を図った事件があった(心身障者安楽死事件)。一命を取り留めた父親は妻(被害者の母親)と共に自首しメディアでは、障害者施設が無いゆえの悲劇として同情的に報じられ、身障児を持つ親の会、全国重症心身障害児を守る会などが減刑嘆願運動を行いました。その結果、父親は心神喪失を理由に「無罪」となった。
2、1970年5月29日、神奈川県横浜市で母親が介護を苦にして、脳性麻痺者の我が子を絞殺した事件。この事件でも母親に同情的な立場から、減刑や無罪放免運動が起こった。結果として、母親は有罪となったが、懲役2年の求刑に対し執行猶予3年と、殺人事件としては非常に軽い量刑であった。
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この二つ事件は、私が生まれ年(1970年)頃であり、すでに50年近く経ちます。
当時、1970年に障害児を殺害した母親への減刑嘆願が起こったときに、「異議を申し立てた」一人に脳性マヒ障害者の横田弘さんが居られます。
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マスコミは障害児を抱えた家庭を「不幸」であるように報じていること。その「不幸」を報じることで世間に生まれるのは、自分の隣にいるかもしれない障害児への想いではなく、「自分が障害児を生まなかったことへの『しあわせ』」であるということ。その報じ方の中に、障害者を抹殺していく論理が隠されていること。障害児を持つ家族が社会から疎外され、それが障害児殺しにつながったのではないか、ということ。障害児殺しの事件が起きてから減刑運動をはじめ、それが善いことであるように振る舞う人がいるが、なぜ事件が起きる前に、障害児とその家族が穏やかな生活を送れるような温かい態度がとれなかったのか。
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この言葉は重く、知的障害の家族と共に育った私は、今に至るまで、こうした社会にある矛盾を強く感じています。
誤解を恐れずに言えば、50年前と何も変わっていないのではないか、ナチスの重度障害者を抹殺した優生学的思想に対しても多くの人が理解しているのではないかという恐怖を感じてます。
/津久井やまゆり園事件を検索すると「出生前診断を受け、9割が中絶を選択」といった記事も併せて抽出されます。
私たち夫婦は(同じ年齢)、35歳で結婚し、特定不妊治療を経て40歳で長男、43歳で長女を授かりました。高齢出産(高齢初産婦)ですから、染色体異常や胎児の障害のリスクが高くなると言われておりました。
妊婦の年齢が高齢ということは、卵子も高齢であり、卵子が年をとっている分、ダウン症やその他の染色体異常にもかかる率が高いと言われています。妊婦さんの年齢が20歳では約1500人に1人の割合ですが、30歳になると約1000人に1人、35歳だと約400人に1人、40歳では約100人に1人、45歳になると約30人に1人の割合でダウン症の子が生まれます。
閑話休題。当時は、染色体異常を知る「絨毛検査」「羊水検査」という方法が用いられていましたが、胎児が亡くなる危険性(1%未満)もあると聞いておりました。当時は、夫婦で話し合い、染色体異常検査は受けないことを選択しました。
2013年に採血するだけで胎児の死亡リスクがない「新型出生前診断」が登場しました。結果として、出生前診断を受ける人は、この10年間で2倍以上まで増加したとのことです。
ある記事によれば、2013年4月~2018年9月の間に「新型出生前診断」を受けた人は約6万5000人に上る。出生前診断によって胎児の染色体異常が確定した886人のうち中絶を選択したのが819人と、実に9割以上が中絶を選択しているとのことです。
私たちは、障害の有無に関わらず共に生きることができる社会を目指して、共生憲章(ともに生きる社会かながわ憲章)をつくりました。前述、長く記した通り、簡単には割り切れないことも多く、実現は簡単ではありません。
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ともに生きる社会かながわ憲章
この悲しみを力に、ともに生きる社会を実現します
平成28年7月26日、県立の障害者支援施設である「津久井やまゆり園」において19人が死亡し、27人が負傷するという、大変痛ましい事件が発生しました。
この事件は、障がい者に対する偏見や差別的思考から引き起こされたと伝えられ、障がい者やそのご家族のみならず、多くの方々に、言いようもない衝撃と不安を与えました。
私たちは、これまでも「ともに生きる社会かながわ」の実現をめざしてきました。
そうした中でこのような事件が発生したことは、大きな悲しみであり、強い怒りを感じています。
このような事件が二度と繰り返されないよう、私たちはこの悲しみを力に、断固とした決意をもって、ともに生きる社会の実現をめざし、ここに「ともに生きる社会かながわ憲章」を定めます。
一 私たちは、あたたかい心をもって、すべての人のいのちを大切にします
一 私たちは、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現します
一 私たちは、障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除します
一 私たちは、この憲章の実現に向けて、県民総ぐるみで取り組みます
平成28年10月14日 神奈川県
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※ 神奈川県議会では、平成28年7月26日の事件発生後、厚生常任委員会等を臨時開催し、現地調査を実施するなど審議を行って参りました。第3回定例会初日平成28年9月8日の本会議では、冒頭、黙とうを捧げるとともに「県立津久井やまゆり園で発生した事件の再発防止と共生社会の実現を目指す決議」を全会一致で可決しました。
その後、本会議の代表質問や予算委員会での知事答弁、さらには厚生常任委員会等での審議を経て、10月13日には本会議を臨時開催し、知事から「ともに生きる社会かながわ憲章」が提案され、10月14日の本会議において全会一致で可決したものです。
2019年06月20日 10:37