子どもより多いペットたち──変わる日本社会と広がる癒しとビジネスの可能性
皆さんはご存知でしょうか。いま日本では、犬や猫の数が15歳未満の子どもの数を上回っているという事実を。
2023年の統計によると、全国の犬猫の飼育数は約1,584万頭(一般社団法人ペットフード協会「令和5年(2023年)全国犬猫飼育実態調査」)に達し、一方で子どもの数は約1,435万人(総務省統計局「統計トピックスNo.137 我が国のこどもの数」)。少子化が進む一方で、ペットはますます「家族の一員」としてその存在感を増しています。
この背景には、核家族化や単身世帯の増加、高齢化社会の進展など、現代の日本社会が抱えるさまざまな変化があります。
特に注目したいのが、ペットが心の支えとして重要な役割を担っているという点です。
近年、ペットセラピー(アニマルセラピー)の価値が広く認知されつつあります。動物と触れ合うことで、ストレスや不安が軽減され、心の癒しを得られる効果があることが科学的にも証明されており、医療・福祉・教育の現場にも導入が進んでいます。
例えば高齢者施設で犬と触れ合う時間が設けられたり、発達障害のある子どもとセラピー犬の交流が行われたりと、その実例は多岐にわたります。
一方で、ペットは経済的にも大きな存在となっています。ペットフード、動物病院、保険、アパレル、トリミングサービス、さらにはペット同伴OKのカフェやホテルなど、ペット関連市場は2兆円規模とも言われる巨大産業です。
また、最近では「ペット共生型マンション」や、ペット用のサブスクリプションサービスも増えており、今後も市場は拡大が見込まれます。
ペットはもはや「飼う」ものではなく、「共に生きる」存在となりつつあります。
このような時代の流れの中で、自治体や企業がどのように人と動物の共生社会を支えていくかが問われているのではないでしょうか。
子どもより多くなったペットたち。彼らを取り巻く環境は、癒しや安心、そして新たなビジネスの可能性を私たちに示してくれています。
2025年05月15日 07:30