日常の風景と政策のタネ
先日、資源回収の時間にゴミステーションを通りかかると、段ボールが小さな山のように積み上がっていました。わが家でも宅配便で届いた箱が日々溜まっていき、気づけば週末には何枚も束ねるのが習慣になっています。これほど段ボールを目にする暮らしだっただろうかと、改めて考えさせられました。
最近のブラックフライデーでは、佐川急便が一部地域で集荷制限を行うほど飽和状態になったというニュースを耳にしました。短期間に注文が集中するセール時には、配送センターが一気に荷物で埋まり、通常の数倍の処理が求められるそうです。便利さの裏側で、配送の現場がどれほどの負担を抱えているか、想像以上のものがあります。
段ボールの山と配送飽和―― 一見別々に見える二つの現象ですが、その背景には私たちの生活スタイルの大きな変化があります。ネット通販を利用する機会が増え、必要なものを必要な時に少しずつ買う「小口配送」が当たり前になりました。買い物が便利になった一方で、物流の負荷は確実に増えており、その影響が地域の資源回収の現場にも表れています。
段ボールはリサイクルされるとはいえ、量が増えれば回収や運搬にかかる人手や費用も増えます。さらに、宅配量の急増はトラックドライバー不足という社会全体の課題とも密接に結びついています。朝のゴミステーションで見た風景は、私たちの日常の変化が、地域のインフラや働く人々の負担に直結していることを教えてくれます。
便利さを否定する必要は全くありません。むしろ、この便利さを持続可能な形で次の世代につないでいくためには、物流の効率化や資源循環のあり方など、自治体としても考えるべき課題が増えてきていると感じます。
日常のちょっとした光景が、社会全体の動きを映し出す鏡になる時代。これからも、こうした生活の変化を丁寧に拾い上げながら、政策の視点につなげていきたいと思います。
2025年12月12日 07:30

