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「議会AI活用研究所」とは?



※この記事は、私が日頃noteに書いている研究報告の転載です。

「議会AI活用研究所」とは?




 



安藤玄一|議会AI活用研究所


 




本当に研究所があるわけではありません。


でも、議会でのAI活用を日々研究しているのは確かです。
このnoteでは、その研究報告を地道に書いています。


AIによって、地方議員の仕事は再定義できるのか。


研究しているのは、AIで質問原稿を作るとか、文章を整えるとか、調べものを早くするとか、そういう話だけではありません。


※そういう話は本に書きました。
AI×地方議員


私が現在関心を持っているのは、地方議員の仕事そのものを、AI時代にどう組み直せるかという点です。


地方議員の仕事は、外から見えにくく、実際にはかなり複雑です。


市民相談を受ければ、行政に確認し、必要があれば議会で質問する。予算を審査し、決算を確認し、条例や規則まで読み込みながら、地域の課題を政策につなげていく。


一つひとつはバラバラの仕事に見えるかもしれませんが、実際にはつながっています。


市民相談の裏には行政手続きがあり、行政手続きの裏には条例、規則、要綱がある。事業の裏には予算があり、予算の裏には積算根拠がある。決算の裏には執行結果と不用額があり、過去の議会答弁には、その事業がどう説明されてきたかが残っています。


議員の仕事は、本来これらをつなげて見ることにあります。
ただし、これまではそれが簡単ではありませんでした。


市の事業は数百あります。しかも、それを確認する資料は、予算書、決算書、審査資料、例規、要綱、議事録などに分かれています。


資料が公開されていても、どこに何が書いてあるのかを探すだけで時間がかかる。限られた審査時間の中で、すべての事業を横断的に確認することは、現実的ではありませんでした。


だから、この条件下で合理的に審査するためには、これまでのやり方にも合理性がありました。


前年度と比較する。大きく増えた、あるいは減った事業を見る。市民相談があった事業を確認する。議員それぞれの問題意識から質問する。


それは、紙の資料と限られた時間の中では、かなり現実的な方法だったと思います。


では、AIによって何が変わるのか。


AIを活用できるようになったことで、見える範囲が変わり始めています。


予算書と決算書を比べ、過去の議会答弁を確認し、根拠となる条例や規則、要綱を見る。さらに、成果指標や他市の状況とも照らし合わせる。


こうした作業を、AIと一緒に横断的に進められる可能性が出てきました。


もちろんAIは判断しません。AIの仕事は、資料を探し、整理し、比較し、論点を俎上にあげることです。審査をする上で見える範囲を、AIで広げる。議員は、判断材料が広がった中で審査をする。


そういう議会のあり方が、少しずつ現実味を帯びてきています。


ただし、まだ研究段階です。現状の行政資料は、必ずしもAIで分析しやすい形式になっていません。PDFが画像形式で置かれているだけでは、AIはうまく読み込めない。情報は存在していても、つながっていなければ、比較も分析もしにくい。


公開されていることと、理解できることは違います。


だからこそ、資料の構造が重要になります。特に重要なのは、予算と決算です。本来、この二つは別々に見るものではありません。


予算で何を予定し、決算でいくら使い、成果はあったのか。不用額の理由は何か。節約か。サービス不履行か。次の予算にどう反映されているのか。ここまでつなげて見て、初めて事業の流れと姿が見えてきます。


しかし、実際には予算と決算を事業単位で追いかけることは簡単ではありません。事業名が変わることもあれば、資料によって分類が違うこともある。予算書では一つの事業に見えても、審査資料では分かれていたり、逆に複数の事業が一体的に説明されていたりすることもあります。


事業ごとに、お金の流れ、根拠、成果、過去の議事録がつながっていれば、議員の審査は変わる。そして、それは市民にとっても重要なことです。


この事業の目的は何か。効果はあったのか。どれくらいの市民が使っているのか。費用に見合っているのか。


こうした問いを持つのは、議員だけではありません。市が持っている情報は、できる限り市民に見える形にしていくべきだと思っています。


もちろん、「事業に問題がある」と決めつけているわけではありません。
問題は、あるのか、ないのかが見えにくいことです。市民にも見えにくい。議員にも横断的には見えにくい。職員も日常業務に追われる中で、全体を見直す余裕がない。


だからこそ、可視化が必要だと思うのです。


AIは楽をするためだけに使うのではありません。見えなかったものを見えるようにする。つながっていなかった資料をつなぐ。埋もれていた論点を浮かび上がらせる。議員がより深く問えるようにする。市民が税金の使い道の根拠を理解しやすくする。


そのためにAIを使います。


このnoteでは、そうした実践を書いています。


予算審査の記事もあれば、提出書類の見直しの記事もある。AI事業仕分けの記事もあれば、財政の記事も、政治思想に近い記事もあります。


一見すると、テーマが散らばっているように見えるかもしれません。しかし、実際は全部つながっています。


地方議員の仕事は、AIによって再定義できるのか。


この問いに向かっています。


議会AI活用研究所とは、AIの便利な使い方を紹介するだけの場所ではありません。地方議会の仕事を、AI時代にどう組み直せるのか。その問いを、現場から考えるための実験記録です。


では、その実験の先に何を見ているのか。


私が目指しているのは、議会審査を個人技に頼るものから、誰もが検証できる仕組みに変えていくことです。


それは、事業のあら探しではありません。職員を責めるためでもありません。むしろ、職員が説明しやすくなり、議員が審査しやすくなり、市民が行政の根拠に近づけるようにするためです。


事業ごとに、予算、決算、根拠、成果、過去の答弁がつながっていれば、AIはその中から変化や矛盾、確認すべき論点を拾い上げることができます。


その論点をもとに、議員は審査で深掘りする。職員は根拠を示して説明する。市民はそれを見て、納得することも、疑問を持つことも、意見を言うこともできる。


最終的に判断するのは、AIではありません。議員であり、職員であり、市民です。市政を見て、考え、意見を言い、必要なら自分が政治に参加する。そこまで含めて、地方自治だと思っています。


作業はAIに。判断は人間に。


そして、見えなかったものを、市民にも見える形へ。


その方向に、地方議会の可能性があると思っています。




この記事は、私が日々書いているnote記事からの転載です。 


(初出:note「議会AI活用研究所」2026年5月4日)


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伊勢原市議会議員

安藤 玄一

あんどう げんいち

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