• このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を印刷

AIで地方議員は不要になるのか?

AIに議会での質疑原稿を書かせると、あっけないほど簡単に、それらしいものが出てきます。一般質問も、議案の質疑や討論、意見書などの原稿も、指示すればそれなりの形になる。


 


これなら、議員は要らないのではないか。


 


同じAIを使っていても、出力される内容は、作成者によって鋭さがまるで違います。


 


なぜか。


 


AIは、議員の考えをブーストするだけの機械だからです。


 


予算決算のどこに違和感を持つか。事業が存続する意義、誰のための行政サービスなのか。その自問自答と壁打ちの深さが、そのまま質問内容にあらわれてきます。


 


AIに反論させ、それに答えながら、論理を構築する。


 


AIを使って楽になるどころか、むしろ疑問を深掘りしすぎて、頭が痛くなることの方が多い。これは比喩ではなく、事実です。


 


AIには、三つの弱点があります。


 


まず、AIからの出力は、基本的に世の中の平均値です。「鋭い質問を作成して」と指示しても、AIは世の中に無数にある「鋭い質問と言われそうなもの」の平均点を返してくる。


 


また、鋭さとは、誰も気づいていない視点から生まれます。いわゆる「鋭い視点」を生み出すのは、AIの苦手分野です。「何かおかしい」と感じ、掘り、問いを立てる。この出発点だけは、人が担うしかない。


 


さらに、AIは知識はありますが、体験はありません。自治体の事業内容、決算書の数字、議案の裏側。それらの現場を、AIは知ることができません。


 


三つの弱点は強みでもある


 


この三つの弱点を逆に考えると、見え方が変わります。


 


AIは「平均点」を保証してくれる。


 


議員になってから困ること。それは、行政知識が無いことです。特に法的な部分。行政は基本的に法的根拠に基づいて動いている。このことを知らないまま議員になる人も多いのではないでしょうか。


 


議案や条例を読み解き、予算や決算書を分析し、行政の課題を見つけ出す。これまでは、自分で調べるすべがなかった。執行部やベテラン議員からレクチャーを受ける必要がありました。


 


今は、AIがその作業を、ある程度まで補佐してくれます。


 


子育ての当事者。現役世代。福祉の現場を知る人。まさしく体験により現場を知っている人こそ、AIには無い、新たな疑問点やアイデアを持っていると思います。


 


AIの最大の弱点は「体験がないこと」。ならば、多様な経験を持つ人がAIを手にしたとき、議会は一層強くなることでしょう。


 


本当の危機は始まっている


 


ここで現実を直視したい。


 


行政は、確実にAI化していきます。


 


AIチャットボットが住民対応をする。AIがデータ分析をして予算案の根拠を作る。AIが政策立案をする。


 


そのとき、AIを使えない議員に何ができるのでしょうか。


 


行政が1日でAIに作らせた100ページの資料を、紙でめくりながら1週間かけて読む。それで「チェック機能」を果たせるのか。


 


無理です。


 


AI化した行政を、AIなしの議会が監視することはできない。


 


扉は開く。しかし、開いた扉の先で求められる水準も、同時に上がっていく。この現実も直視しなければ、本当の市民福祉向上にはなりません。


 


タスクはAIに、判断は人間に


 


AIは責任を取りません。賛成か反対かの判断は議員。


 


AIは難解な議案書を解説してくれますが、賛否の判断は議員。


 


AIは一般質問のたたき台を作成してくれますが、その内容に、自分自身の思いが込められるのは議員。


 


気持ちがある議員とそうでない議員の差が、AIによって、残酷なまでに可視化されていくでしょう。


 


AIで地方議員は不要になるのか?


 


ならない。


 


なるのは、多様な世代と、多様な人材で構成される議会だと、私は思うのです。


 


https://note.com/gikai_ai_lab

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を印刷

伊勢原市議会議員

安藤 玄一

あんどう げんいち

安藤玄一

プロフィールを見る

BLOG

安藤玄一の政治の村ブログ

一覧へ